この一年大相撲をよく見るようになった。

 

 

 思い起こせば私が幼稚園に通う頃、かれ

これ60年近くも前の話にさかのぼるのだ

が、名古屋場所の時にオヤジはよく相撲の

稽古場へ連れて行ってくれた。

 

 

 オヤジは家庭サービスなどというものと

はほぼほぼ無縁な人で、小さい頃に遊びに

連れて行ってくれた記憶があまりない。

 

 

 生活に余裕がなかったこともある。

 私が3歳のころに能登半島の珠洲市にあ

るオヤジの実家に預けられたのも生活が苦

しかったからに他ならない。

 

 

 そんなオヤジが連れて行ってくれたのが

相撲の稽古だったから記憶が鮮明に残って

いる。

 そう、大鵬の時代だ。

 

 

 オヤジは色紙とマジックを持って行って

力士にサインをねだってくれた。私のため

に。

 何枚かもらったのだが、あのサインはど

こへ行ったのだろう?

 

 

 そんなこともあって、私は相撲を見るの

が好きになったのだが、現役時代はテレビ

中継など見られるはずもなく、退職してか

らよく見るようになった。

 

 

 自宅では晩飯を作るためにキッチンにい

るので、リビングの音量をかなり大きくし

て相撲を見るというより聞きながら調理し

ている。

 

 

 実家では晩飯作りから解放されるので、

早めに風呂に入り、晩酌の準備万端でテレ

ビのスイッチを入れる。 ニヤリ 

 

 

 前号で書いた通り今場所は”尊富士”

史的快挙を遂げるかもしれないということ

で、昨日もビールを飲みながら見ていた。

 

 

 そりゃあもうびっくりしたのなんのって

あの瞬間は思わず奇声を発してしまった。

 

   ギョエーッ!

 

 今日、尊富士が相撲をとれるのかわから

ないのだが、決して無理はしてほしくない

と思う。

 その一方で歴史的快挙を見たいという思

は相変わらずあるので、”大の里”の結果

次第では優勝の可能性もまだ残されている。

 

 

 大の里は石川県出身でオヤジと同郷。

 能登半島地震の被害を受けた人々に元気

を与えるためにも逆転優勝するというのは

喜ばしいことだ。

 

 

 ということで、今現在の私の心中はなん

とも複雑なのだが、今日も準備万端にして

大相撲中継を見ようと思う。笑