通常、最近の写真集の撮影は短くても4~5日かなと思う。

ちなみに「moon&sun」は二回に分けたので、二週間弱だった。

今回、テーマどおりの2泊三日。

とても濃い時間だった。


二日目。

思い返してみても、撮った順番を思い出せない。

それだけハイスピードだった。

篠山先生は、とにかく撮影が早い。

私は必死についていく。


二日目、日暮れ前。

写真集の山場となるシーンを撮る。

初老の男と娘くらいの年の女が結ばれる

・・・・・・それが初夜なのか、十数年連れ添った仲なのか、

見た人のイマジネーションに委ねられる。

写真の素敵な所は、

シチュエーションを自分の空想にて、

色づけ出来る所だと思う。


先生はライティングで素敵な夕暮れを作っていた。

部屋の中で撮ったので、

実際の自然光だけでは、暗すぎる。

ライトや障子の加減で作られた夕暮れの和室は、

なんとも危ない香りのする、切ない空間に仕上がっていた。


私はこの中でどう表現すべきか。

愛する人の前でどんな顔をするのか。

そんな事を考えながら、ひとつ、お願いをする。

『日本酒飲んでもいいですか?』

しなやかなに動きたい。

ちょっと意識を、飛ばしてみようと思った。


私はほろ酔いになりながら、

立ったり座ったり、丸まったり、寝転んだり、壁にもたれたり。

なんだか楽しくて切なくて。

シャッター音が響く部屋の中。

とろけそうな意識と、瞬間に集中する意識と、

両方を楽しんでいた。


さて。

ちょっと酔った私。

一応?先生にも日本酒を勧めてみる。。。

『先生も、一杯いかがですか?』

もちろん、先生が飲むわけには行かない(笑)


さて。

先生は・・・・・。

飲んだふりをしてくれた(笑)

酔っ払いの困った女と思ったであろう。


後で先生に笑われました。

『ちょっとずつ飲めばいいのにさ~。ぐいぐい飲むからさ~』


撮影終わって、夕飯の時には、なんだかぼーっとしていた。

スタッフさんがおいしそうにお酒飲んでて。

私はもう先に酔い覚めしていて。

おいしく旅館の海の幸を頂いた。


さて、その後。

先生は旅館の周りを視察なさってたらしい。

仕事大好き、先生である。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく