レーガン米大統領のパレスチナ新提案⑭ | わかったできたの笑顔がやる気スイッチを押すこじんまりしたこじま塾。

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(イスラエルとパレスチナ立山良司著で考えるパレスチナ問題)
西ベイルートからのパレスチナゲリラ撤退完了直後の1982,9/1レーガン米大統領は「新たな出発」と題した新中東和平案を発表した。新たなといってもほぼキャンプデービッド合意と同じだったが、新しい点も含んでいた。
まず第一に中東和平はイスラエルが占領地から撤退することと引き換えによって「のみ」実現できると述べ、西岸、ガザ地区からのイスラエルの撤退をはっきりと呼び掛けたこと。
また、西岸、ガザ地区の最終的な地位は交渉によるというキャンプデービッド合意は踏襲しながらもいずれは何らかの形でヨルダンとリンクさせることが必要だと主張、暫定期間終了後はイスラエルとの占領ー被占領の関係は絶たれるべきだとの考えを示した。
またエルサレムは将来再び分割されてはならないが、その最終的な地位は交渉によって決められるべきであると述べて「エルサレムは永久にイスラエルの首都である」というイスラエルの従来からの主張に明確に反対したのである。
このレーガン新提案はヨルダンやエジプト、サウジアラビアなどアラブ穏健諸国からは概して歓迎され、PLOのアラファト議長は歓迎とも反対ともはっきりした見解を示さずアラブ全体の意見が固まるのを待ち、シリアやPLO内でも強硬派なPFLP(パレスチナ解放人民戦線)などはパレスチナ人国家建設が否定されたとして即座に提案拒否声明を出した。
一方のイスラエルのベギン政権も「新提案はその意図を持っていないにしても結果的にはパレスチナ独立国家樹立につながる」と即座に拒否した。
全く反対の理由で同じ提案を拒否しているわけである。
レーガン提案は米国が投げ込んだボールだった。イスラエル側はこのボールの受け取りを拒否したがアラブ側はこの提案に逆提案で答えた。8日後の9/9モロッコのフェズで開かれたアラブ首脳会議は通称フェズ提案と呼ばれるアラブ統一中東和平提案を採択した。
①東エルサレムを含む1967年戦争(第三次中東戦争)の際の占領地域からのイスラエルの完全撤退②PLO指導下でのパレスチナ人の自決権の完全な行使③東エルサレムを首都とするパレスチナ人の独立国家樹立④パレスチナ独立国家を含む域内のすべての国の安全を国連安保理が保証する。などの8項目からなっていた。
この提案は前年1981当時ファハド・サウジアラビア皇太子の提案とほとんど同じだったが、その時には「域内のすべての国の安全を保障する」とは間接的にイスラエルの国としての存在を認めることになると一部から強い反対があり、結局棚上げされていた。
それが一年後ほとんど同じ内容が正式採択されたことは、レバノン戦争以降アラブ世界の空気が急速に変わったことを意味していた。
レーガン提案はパレスチナ独立国家の樹立には反対していたが、ヨルダン川西岸とガザ地区は将来「イスラエルの占領地ではなく」ヨルダンと結び付ける形で「パレスチナ人の手にもどす」ことを強く示唆していた。
二つの提案をたたき台に米国とアラブの妥協案ができるのではないかという期待感が一気に広がった。

 

思えば今度のハマスのイスラエル攻撃、ガザ報復空爆もサウジとアメリカの接近からの危惧がねっこにありましたね。せっかくの雪解けが逆に火をつけてしまうなんとも皮肉な。