⑧第三次中東戦争後のパレスチナ地区占領の解決は戦闘から外交交渉へ。 | わかったできたの笑顔がやる気スイッチを押すこじんまりしたこじま塾。

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(イスラエルとパレスチナ立山良司著でパレスチナ問題を考える⑧)
イスラエルの立場
新しい占領地のうち、東エルサレムとイスラエルが安全保障上必要と考える地域は絶対に返還しない。アラブ側がイスラエルの存在を承認し、平和条約を結ぶ意思を示さない限りその他の占領地からも絶対に撤退しない。
占領地を返還しない限りアラブ側はいつか必ず和平交渉に応じてくるというのがイスラエルの読みだった。
アラブ側の立場
敗北者として和平交渉のテーブルにつくことは耐え難い屈辱としてイスラエルとは「講和せず、交渉せず、承認せず」の3つのノーを採択した。
戦争勃発直後にイスラエルとの関係を断絶してしまったソ連の立場
アラブ支持、全占領地からのイスラエルの撤退を呼びかける
アメリカの立場
まず和平交渉があって占領地からのイスラエルの撤退というイスラエルの立場を支持。さらに「全」占領地から必ずしも撤退しなくてもよい、と主張。
アラブ支持国もイスラエル支持国も手順はともかく「占領地との引き換えに和平を樹立する」こと。
国連総会や安全保障理事会の舞台裏で妥協案作りのための活発な工作が始まる。
1967年11月国連安保理決議242議決。
1最近の戦争において占領された領土からのイスラエルの撤退。
2中東地域のすべての国が安全でかつ承認された境界内で平和に生存する権利の尊重と確認。
この二原則が実行されるべきであるとし、さらに国際水路の自由航行、難民問題の公正な解決などもうたっている。
2で「すべての国」と記すことでこの決議を認める国は間接的にイスラエルの国としての存在を認めていることになるという裏の意味を含ませることに成功したのである。
問題は原則1。日本語で単に「占領された領土からの撤退」と訳されるが原文はwithdrawal of Israel armed forces from territories occupiedで領土を意味するterritoriesには定冠詞のtheがついていないため「占領された領土」が特定されずいくつかの解釈が可能になる。 
アラブ側やその支持国は、決議が全占領地からの撤退を求めている、と解釈し、一方のイスラエルは全占領地からの撤退は求めていないと解釈したのである。
ではどこから撤退し、どこまでは撤退しなくていいのかはイスラエル国内でも、米国でも意見が異なっている。イスラエル労働党は西岸、ガザから部分的に撤退してもよいと主張したのに対し、右派政党リクードはエジプトと平和条約を結んだ際、シナイ半島から撤退したのだから、「territories占領地からの撤退」はすでに実行済みで西岸、ガザからの撤退は必要ないと主張。
他方、決議はパレスチナ問題を単に「難民問題」としてのみ扱い、パレスチナ人の民族自決権には一切言及していない。PLOはこれに激しく反発。決議の受け入れを拒否し続けた。PLO議長が決議242受諾を表明したのは20年後の1988年12月。アラファトによってであった。

PLOのアラファト議長、となんの疑問も持たずに名前は覚えていたし進め電波少年で松本明子さんが会いに行ったりしたのを見ていたけど、紆余曲折を今回初めて知ったわけで。そして、今のイスラエルの政権がリクード、ネタニヤフ首相なわけで。
全く古い本に思えない今につながる問題の流れが書いてあったんだな。というか同じ問題がより拡大しているということなんだな。