ROGO SIDESESSIONの「チカブン」を観てきました~音譜

$たかMAXの小劇場日記


夏目漱石の作品をモチーフとした短編オムニバス。

作・演出:古川靖博

西へ廻った日~「文鳥」より~ 
出演:古田直美、二之宮亜弥 

鰹節の味~「永日小品・泥棒」より~
出演:熊谷宜之、永田若葉 他

ヘイ!ジェーン!~「永日小品・クレイグ先生」より~
出演:田口智子、秋山恭子、清水貴子、鈴木眞/古川康大(ダブルキャスト) 他

ピトロクリの谷~「永日小品・昔」より~
三部作「ピトロクリの谷」の第一部として。
出演:春原陽、鈴木達也、中島理都、早坂史子、工藤早希子 他   


初めて観る劇団でしたが、かなりおもしろかったですアップ

全体的に、「動と静」「明と暗」など、状況を作り出す対比的要素が意識的に使われていて、役者は敢えて表情をパターン化し、セリフ回しも抑揚を抑えることで、無機的な雰囲気を作り出している。

4つの短編の中で、自分は最初の「西へ廻った日」が一番、秀逸だと思った音譜

鏡子は幼くして亡くした娘・雛子に何回も語りかける。そして、何度も全く同じやり取りが繰り返される。
母の問いかけに対して、娘は機械のように感情のない口調で返事をする。
意味もなく、母の頭の中で、何度となく繰り返される娘とのやり取りが、絶妙な演出によって表現されている。

雛子のセリフで「死は関係性。だから、子供にはわからない。」という一節があった。
このセリフが妙に心に残った。
子供が死ぬ。それは子供という存在が消えるということではなく、子供との関係性が永遠に失われることを意味している。

他の作品にしてもそうだが、全体的に哲学的で、かつ都会的でスタイリッシュな香りがした音譜


おわり