播磨灘に浮かぶ家島諸島を訪れた。
恒例の野外写真講座の「合宿編」である。

風光明媚でおだやかな海。
人懐こい人々。
アッと驚く古代伝説。
そのどれをとっても、離島の風情を満喫するには十分だった。

そんな中でひときわ異彩を放っていたのが、数少ないお土産のひとつ、「のりっこ」だった。
売り物にならない穴のあいた海苔を、グツグツ煮込んで仕上げた海苔の佃煮。
ビンの包み紙をよく見てみると、島の人々のオモイがビッシリ書かれていたのだ。
なかでも、「パッケージに込めた思い」の文章には思わず胸に迫るものがあった。

これほど心憎い仕掛けのあるお土産は早々ない。
危うく捨てそうになってしまった「広報大使」。
素朴な離島にありながら、上質の販促ツールに触れられた気がした。