「ピースおおさか」(大阪国際平和センター)へ約10年ぶりの再訪。
大阪府で唯一、戦争と平和に関する展示を行っている施設だ。

当時は、大阪城公園敷地内にあることもあり散歩のついでにぶらりと入ったものの、その衝撃的な内容に圧倒されたことをも記憶に新しい。

入館早々大阪空襲の凄惨な展示で度肝を抜かれ、加害者・日本の視点で紹介された南京大虐殺の生々しい資料の数々、さらには目を覆いたくなるようなドイツ・アウシュビッツ収容所の写真など、戦争の恐ろしさを伝えるには十分だった。

ところが、2年前に「横槍」が入って以来、展示内容は著しく変更・緩和されてしまった。
リニューアルの理由は「子どもたちには残虐すぎるから」。
世の中で最も残虐な戦争の現実から目を背けて何を訴えようというのか。
これでは「はだしのゲン」と同じではないか。

写真パネル中心の展示が主で、決して資料が多いとはいえない。
立派な建物に反して、これではちょっとしたイベント展示レベルだ。
この程度の情報であれば、インターネットで十分取得できる。
運営予算が削られているのか、資料映像も古いし館内の冷房もほとんど効いていない。

日曜日の真っ昼間だというのに、1時間近くのうちに入場者はわずか4~5人程度。
魅力のない施設に、入場者が増えるわけがない。
もしかしたら、入場者不振を理由に施設を廃止してしまう陽動作戦では? と勘繰りたくもなる。

地方行政が固有の文化の火をひとつずつ消してゆく。
国政は足元をみようとせずよからぬ方向に走ってゆく。
事実から目を背けて自国の危機も守れず、「第三次世界大戦」に突入してゆくのだろうか。