22だったかなぁ
二回目の北海道だった
クラブの仲間の誘いを断って
一人だけで自分の誕生日旅行をした
 
誕生日の週末に向け
鬼のように仕事をして
地元から逃げるように北海道に向かって走った。
 
おそらく勘違いだと思うし、今思えば若さだった
今の仕事は自分が支配している…
だから旅にでるんだ
 
直属の上司に休みを取ることを告げ
ATMから必要な金をダブルのジャケットの内ポケットに
封筒ごとしまいこみ
日が暮れる前の高速に飛び乗った
 
車の流れを読んですいすい走っている間は最高だった
最高の誕生日かも…
しばらく走ると
キャンプの道具を積んでいたせいで
普段のようにバイクを走らせられない
気持ち悪さがあった
 
東京に近付くにつれ蒸し暑さが増してきた
雨か…
首都高に入る前に雨が降ってきた
ずぶぬれになった
おまけに夏のダブルのジャケットはめまいがするほど熱い
 
首都高を抜けるためにあらかじめ覚えた
道の番号を追い
東北道に向かったが渋谷に入った瞬間から渋滞だ…
週末の8時過ぎ、都会の人たちがたくさん動いている
なぜこの道を選んだのか…
 
後悔をしても先は進めず、当時ディーゼルの排ガスは
黒煙を吹きまくり、後ろに着いた車次第でヘルメットの中は最低な状態になる
 
いよいよ動かなくなった
首都高にポツンと一人、生身でいると
見過ごされているだろう景色があった
たまたま見上げたビルの狭いバルコニーの椅子
ひと影がうつる壁
殺気だったトラック
誰がつけたのか分からない縁石の傷
いろいろなものに目を向けながらも
重たいクラッチとアクセルを
パクパクさせて足をバタバタさせながら前に進む
田舎に生まれるわけだ…とふと思った。
 
向こう側が自分の行きたいところなんだよなぁ~
 
 
2010の初夏
相変わらず北海道に向かう自分がいた
 
イメージ 1