副腎疲労の改善で大事なのは、血糖値を安定させることです。
副腎疲労では、コルチゾールという血糖値を上げるホルモンの分泌が不安定になり、血糖値も安定しなくなります。
コルチゾール不足すると、空腹時の血糖値を保つことができなくなり、低血糖症が起きてしまいます。
低血糖状態では、全身の細胞でエネルギー不足が起きてしまい、様々な不調の原因になります。
疲れてくると甘いものを食べたくてしょうがなくなることはありませんか?
これは、コルチゾールが不足して血糖値が下がりはじめたことで、低血糖による身体へのダメージを防ぐために、身体が糖質を欲しがることが原因です。
正常値な血糖値は、80~140mg/dLといわれます。
血糖値が70mg/dL以下から低血糖は起き始めます。
血糖値が50mg/dL以下になると、脳などの中枢神経がエネルギー(糖)不足の状態になり生命の危機になるため、低血糖が起き始めると血糖値を上げるために、甘いものを食べたいという強く欲求が生まれます。
軽度の低血糖であれば、食事で糖質の補給をすれば、すぐに血糖値の改善をするため、低血糖の自覚ができないことが多いですが、副腎の人が実は低血糖を起こしていたというケースはとても多いです。
たとえ短時間でも低血糖を起こしてしまうと、エネルギーが届かない間に臓器や細胞はダメージを受けてしまうため、低血糖を予防することは、身体の不調の改善する上でとても大切です。
フリースタイルリブレの活用
副腎疲労の改善で大切なのは、血糖値がさがりすぎないように糖質の補給をして、低血糖を予防することです。
ただ、自分がどのタイミングで低血糖が起こしているのかわからないと、いつ糖質をとればいいのかもわからないと思います。
健康診断の血液検査でも血糖値の検査項目はありますが、検査したときの血糖値しかわからないため、日常生活のなかで低血糖が起きているかはわかりません。
そこで、フリースタイルリブレという血糖値を測定する機械があると、血糖値の1日の変動を調べることができます。
低血糖が起きるタイミングを客観的に理解できるため、糖質を摂取する目安がわかってきます。
医療器具ですが、アマゾンや楽天で購入可能です。
糖尿病でなくても、副腎疲労があると血糖値はかなり乱れるため、血糖値の測定をする価値はあります。
センサーひとつで2週間の血糖値を測定できます。
↑ このように1日の血糖値の推移を測定できます。
真ん中の青いラインが、80~140mg/dmlという正常な血糖値の範囲です。
青いラインより上にいけば、その時間は高血糖状態で、下にいけば低血糖状態ということになります。
上の写真は、青いラインより上にいったり下にいったりしていて、とても不安定な血糖値なのがわかります。
実は、これは自分が体調があまりよくない時期に実際にリブレで計測したものです。
かなり低血糖を起こしてしまっています。
慢性的な疲労を感じてはいたのですが、低血糖の自覚はなかったので、実際に計測してみてこんなに低血糖を起こしていることにびっくりしてしまいました。
正常範囲の血糖値
↑ このように、正常な範囲に血糖値を収まるようにできると、エネルギーが安定して全身に巡るので、体調の改善にも繋がります。
このような正常範囲に血糖値を収めるポイントは2つあって、
ひとつは、“ 低血糖が起きてから” ではなく、“低血糖を起こす前” にこまめに糖質を補することです。
これは低血糖を起こしてしまうと、たとえそれが短時間でもエネルギーが届かない時間があるだけで、全身の細胞はダメージをうけてしまうからです。
もうひとつは、1度に大量の糖質を食べないことです。
というのも、副腎疲労になっている人の多くは、食後の血糖値が急激に上昇してしまい、血糖値が大きく乱れてしまうからです。
食事をした後に急激に血糖値が上昇してしまう症状を「糖耐性異常」や「血糖調整異常」などといいます。
この「血糖調整異常」では、糖質の代謝異常があることによって、食事をすると急激に血糖値が上がってしまいます。
高血糖状態では血液がドロドロになり、血管にダメージを与えるなど、身体に負担がかかってしまいます。
そのため、上昇した血糖値を下げるため、すい臓から「インスリン」という血糖値を下げるホルモンが大量に分泌されます。
そこで正常な血糖値になればいいですが、インスリンが大量に分泌されたことで血糖値が下がりすぎて、今度は低血糖を起こしてしまう場合があります。
血糖調整異常によって、ジェットコースターのように血糖値が乱高下してしまうことを「血糖値スパイク」といいます。
↑ 赤丸のところが血糖値スパイクを起こしているところです。
血糖値が乱高下しているのがわかると思います。
血糖値スパイクの特徴として、血糖値が下がってしまったときに頭がまわらなくなり、眠気やだるさに襲われてしまうことがあります。
食後に必ず眠くなってしまう人は、血糖値スパイクが原因かもしれません。
副腎疲労の悪化する悪循環
さらに問題なのは、血糖値スパイクで低血糖を起こすと、今度は血糖値を正常値に戻すため、コルチゾールやアドレナリンを大量に分泌することになります。
余計なところでホルモンを使うため、食事のたびに血糖値スパイクを繰り返す生活をしていると、副腎疲労はどんどん悪化します。
副腎疲労が重度になってくると、コルチゾールもアドレナリンも分泌できなくなってくるため、代わりに甘いものを食べて血糖値を上げようとします。
そのため、さっき食べたばかりなのに、また食べてしまうということが起きます。
そして、甘いものを食べたことで、また血糖値スパイクを起こして低血糖になり、また甘いものを食べるという負のスパイラルに陥ってしまいます。
食欲が抑えられない人、やたら甘いものばかり食べてしまうひとは、重度の副腎疲労により血糖値スパイクが起きている可能性を疑った方がよいです。
血糖値スパイクを防止する糖質の捕り方
副腎疲労がひどくなると、ちょっとしたことで血糖値が乱れるようになります。
少量の炭水化物を食べただけで血糖値スパイクを起こしてしまう場合もあります。
そのため、1度に食べる糖質の量を制限しなければならない場合があります。
ただ、糖質の量を減らしただけではエネルギーの不足になるため、食事の合間に補食をとることで、1日に必要な糖質の量を補えるようにします。
1度に食べる量を制限する代わりに、食べる回数を増やすことで、栄養不足を防ぐのです。
血糖値スパイクを起こしてしまう糖質の量は、副腎疲労の度合いによって変わってきます。
そのため、1度に糖質を食べると血糖値スパイクを起こしてしまうのか、フリースタイルリブレを使って客観的な数値で把握することは、血糖値コントロールする上でとても有効です。
リブレがない場合でも、食後に眠気に襲われるのは糖質のとりすぎです。
最低でも眠くならない量の糖質量に抑えるようにしてください。
●血糖値スパイクを起こさない食事例
副腎疲労がひどいと少量の糖質でも血糖値スパイクを起こすため、 1度に食べる糖質の量を減らす分、補食をとる回数を増やすことになります。
もう少し具体的に書くと、1日の糖質の摂取基準量は、約250~300g(1000~1200kcal)とされます。
※ご飯お茶碗一杯で約50g、食パン一枚で約20~30gの糖質です。
3食で平均すると80~100g位ですが、糖質代謝が正常であれば、このくらいでは血糖値スパイクは起きません。
健康な人はこの量の糖質を食べても、血糖値の上昇は正常範囲の中で収まります。
糖耐性異常があると、少量の糖質でも血糖値スパイクを起こすため、一度にとる量を制限する必要があります。
血糖値スパイクを起こさない糖質量が50gの人の場合、一度に食べる糖質を50gに制限します。
朝昼晩の3回を糖質50gづつ食べると150gなので、1日の摂取量250~300gから150g 引いた残り100~150gを、食事の合間の補食として食べることになります。
残り100~150g も血糖値スパイクを起こさないために数回に分けて食べるようにします。
こうすることによって、同じ量の糖質を食べても血糖値スパイクを起こさずに補給することができます。
50g以下の糖質でも血糖値スパイクを起こしてしまう場合は、1度に食べる量をさらに減らして、その分補食の回数を増やしていきます。
副腎疲労がひどくなればなる程、1度に食べる糖質の量は少なくなり、その分食べる回数を増やしていきます。
かなり重度の副腎疲労の人は、くず湯などの糖質を含んだ飲み物を、ほんの一口だけ飲むということを15分ごとに行います。それを1日中続けます。
想像するだけでも大変ですが、重度の副腎疲労だと、それ位少量の糖質を細かく摂取する方法でないと、正常な血糖値を保てないのです。
ここまでしないといけない人は、かなりまれですが、副腎疲労がひどい人ほど、こまめな糖質補給が必要になると覚えておいて下さい。
かなり根気のいる食事法ですが、安定した血糖値を保つことで副腎機能は改善していきます。
そうすれば、補食などをしなくても、血糖値を安定させられるようになってきます。
血糖値が安定して、エネルギーを全身の細胞に供給できれば、身体の弱っていた機能の改善も期待できるので、しっかり取り組んで下さい!
補食については↓ も参考にどうぞ
https://miyazawaclinic.net/hypglycemia/introduction-of-food-supplement/