はぁっ、、、はぁっ、、、はぁ、、、
男は山を登っていた。
はぁっ、、、はぁっ、、、はぁ、、、
汗をダラダラと流し、息は上がり、
楽しんでいるのではなく、あがいている。



 

どうして山に登るのですか?
目元に色気のある若い女性アナウンサーに、
山のふもとでインタビューされた。
「やっぱり爽快感ですよね、山頂での。
 あの解放感に満たされる瞬間を味わいたいんですよ」

ぜぇー、ぜぇー、ぜぇー
息が続かなくなり、立ち止まって整える。
はあ、はあ、はあ、
水分を補給し、遠くを見やる。
山並みが重なり、遠目のきかない凡風景。
「何を好んでしんどい山なんか行くかねぇ」
食堂のおばちゃんは、毎回否定的意見を浴びせる。
「健康ですよ、血流が整って、
 心肺機能が高くなる。
 長生きの秘訣は運動なんですよ。」

「あっ!」
男は浮き石を踏んでよろける。
何とか持ちこたえるかと思われたが、
堪えきれずに山道に転がる。
手を着こうとしたが
ガケから飛び出していた。
ヤバい、と思う間もなく崖下に落ちる。
イテテテテ、とうめく。
声に出すと、痛みは和らぐのだ。
落ちたのは、1メートルちょいだった。
「そんな運のいい人に最適の
 生命保険ができたんですよ。
 登山中の事故もまかないます。
 あ、登山届けは出しておいてくださいね。
 補償を外すとお安くできますが。」
「そうかぁ。残念だなぁ。
 もう習慣というか、行事みたいなもんだからね、
 行かないと落ち着かないし、
 行けないと暇でしょうがない。」
「大切な人が居るのでしたら、
 保険は最低限の思いやりですわ。」
「重い槍ねぇ。
 遠くに飛ばないんだよね。」

頂上から眺める夕陽は最高だ。
なぜ人は夕陽に見入るのだろう。
自分の儚さを映しているから?
希望の明日を祝福しているから?
「また山に行くの?
 家族を置いて?」
「いつでも連れてくのに」
「ついてくわけないでしょ、
 自分勝手ね」
「家に居れば居たで。
 亭主元気で留守がいいんだろ」
「たまには家庭サービスしろってのよ」

下山が嫌いな人が多いという。
感動したまま終わるなら最高だけど、
いいときばかりではないのが宿命。
「ごめんなさい、
 もう、会えない。」
「好きじゃなくなった?」
「昔も今も、きっと明日も好き!。
 でも、それだけじゃダメなの。」



 

ああ、そうか。
男は、気がついた。
本当に好きなことができないから、
忘れるために、
誤魔化すために
逃げてたのかもしれない。

荷物を車に投げ込みながら、
つぶやいた。

「余計なことを考えちまうのが、
 単独の悪い面だな。」

 

 

<了>

 

「3年なんて早いものだな。
 あいつらも、もう卒業か」
担任のヒロシはそう嘆息して教室に向かう。
思えば長いようであっという間の担任だった。
いろいろと迷惑をかけられたクラスだが、
それも今となってはいい思い出か。
来月になれば、大学生となる生徒とも、
今日でお別れだ。
「また会おうな!」
なんて涙を流して交わした約束も、
ほとんどの場合、忘れ去られしまう。
そりゃ、そうだ。
新しい出会い、都会で洗練された若者、刺激。
昨日までのダサい高校生活の思い出なんて、
めくり返すことのない卒業アルバムと同じさ。

「さ、そういう訳でこのクラスも今日でお仕舞いだ。
 みんなとは3年間楽しい思い出ばかりだったが、
 明日からは新天地で頑張るんだぞ。
 何かあったら相談しに来い。
 何年経とうが、俺はみんなの担任だ。
 元気でやれよ。
 じゃ、・・・」

俺が話を切り上げようとした、その時だった・・・

「先生、最後のお願いがあります!」
と、委員長のサオリが立ち上がった。
クラスの視線が集中する。



 

俺は、ははぁ、と訳知り顔になる。
きっと、クラスからのお礼ですとか何とか言って、
担任を感動させる何かだろう。
まあ、それくらいの気遣いというか、感謝の念を持つというのは、
こいつらもなかなか大人になったじゃないか。

サオリはみんなの視線を集めながらつかつかと前に出てくると、
「先生、私とお付き合いをしてください。
 お願いします。」
と、はっきりと大きな声で宣言したのだった。
「おお、そうか、そうか」と、
プレゼントでも出てくるのかと思っていた俺は、
瞬間、言葉が出なかった。
「は?、お付き合い?、何?、どゆこと?」

頭の中で反芻する。
「先生、私とお付き合いをしてください。」

つまり、俺は告られたということなのか。
恋愛対象として選ばれたということ?
いやいやいやいや、そんな夢みたいなことが起こるはずないじゃないか。
これは、罠か?、ドッキリか?、からかわれているだけなのか?

「サオリ、ずるい。」
色々な思いが錯綜していると、ミユキが怖い顔して出てきた。
「先生、私も先生が大好きなんです。
 サオリと付き合うなら、私とも付き合った下さい。
 じゃなくて、私とだけ付き合ってください!!!」

えええええぇぇぇ~~~、何なんだこの展開は!!!
これは夢なのか、ホントのことなのか、現実なのか。
二人ともクラスの中では可愛い方で、
しかも明るいキャラで、気持ちのいい子たちだ。
一緒に居て楽しくなれるから、男女問わず人気が高い。
そんな二人から迫られている現状に、
ちょっとばかり心が浮つく。

「お前たち、急に何を言い出すんだよ。
 びっくりするじゃないか。
 お、俺をからかったって、何も出ないぞ。」

「本気です、先生!」
「前から先生を愛してました!」

愛してたぁ?、よくそんな恥ずかしい言葉が言えるな。
とは言え、
どうやら二人とも本気かもしれない。目が真剣だ。
どうしたのものか。こういう時にどうすべきかなんて、
想定なんてしていないから、名案も妙案も出てこない。
脳みそがフル回転して、珍妙な対応をしてしまうのが、
人間というものだ。

「そ、そうか。俺って意外にもてるんだな。
 じゃあ、ほかにもいるかもしれないな。」

俺はあっけにとられているクラスを見渡した。
視線が痛い。
どう対応するのか、
好奇心と驚きと奇異の目が並んでいる。

「どうだ、他に名乗り出る人はいないのか。
 居ないなら、どっちかと付き合っちゃうぞ」

我ながら、妙な発言をしたものだ、とは思う。
ちょっとおちゃらけて見せて、
場の雰囲気を変えようとしたのかもしれない。

「ちょっと、まったぁ~!」

大きな声がこだました。
体育委員長のオータが手を上げている。
がっしりとした体躯をラグビーで鍛えた好青年だ。

「な、何?」
俺はそんな趣味はないぞ、瞬間、思った。

「サオリさん、そんなオヤジと付き合わないで、
 俺と交際してください!」 

俺もクラスメイトも、そしてサオリ本人が一番驚いていた。
固まっているサオリに近づくと手を取ってひざまづき、
「お願いします!!」と言っている。
「は、はい」
勢いに気圧されて、サオリはそう答えていた。
「え、そうなの。そういう展開あるの?」
トンビに油揚げをさらわれた格好の俺は、
きょとんとするしかなかった。
でも、まあ、それならそれで、
俺はミユキと付き合うだけだしな、と思考している最中、

「ちょっと待ったぁ~。」
「ちょっと待ったぁ~。」
「俺も、待ったぁ~。」
と複数の声があがった。
1人はサオリの元へ、2人はミユキの元へとかけより、
オータよろしくひざまずいている。

「俺と付き合った下さい」
「一回でいいですから、デートしてください」
「離れたくないです」

男どもは各々勝手なことを言っているが、
言い寄られた2人はどうしていいか分からない、
といった様子で固まっている。
そりゃそうだよな。さっきまでの俺と同じだ。

パンパンパン!
俺は柏手を打って、もう一度視線を集めた。

「なんか変なことになっちまったが、
 とりあえず落ち着け、席に着け。」

さすが、大人だな。俺は自分を褒めた。
何か言いたそうな生徒達だったが、
カオスだったのは事実で、
すごすごと戻っていった。

「あらためて、みんなとは今日が最後かもしれない。
 だけど、明日だって、会う気になれば会えるじゃないか。
 俺は、平等に待っている。
 もしかしたら、誰かと縁があって、
 一生、付き合うことになるかもしれない。
 でも、それは運命が決めることだ。
 さっきの発言は、ちゃんと心に留めておく。
 だけど、もう一度よく考えて行動しような。
 卒業というイベントで、少し興奮してるからな。
 家に帰って落ち着いて、自分の気持ちを確認してみな。
 話はそれからだ。」

それからもう少し何か話をしたが、
自分でも何を言ってるのか、まとまらなかった。
最後は語尾を濁して、打ち合わせがあるとか誤魔化して
職員室に戻ってきた。

誰も後を追ってこなかった。
まあ、あんな後だからな。
でも、サオリとミユキか。
どちらにしても、可愛いには違いない。
最近は教師と生徒と恋愛は御法度だからな、
こんな展開は思ってもみなかった。
とは言え、卒業してしまえばいいだろう。
18歳になれば、成人だからな。
いい、春になりそうだ。



4月。新学期。
初々しい新入生が並んでいる。
あれから、まったく、何の音沙汰もなく、
春休みは終わっていた。
サオリもミユキも、あんなに必死に迫ってきたのに、
一切、連絡が無かった。
こっちから連絡するのもはばかられて、
ついつい、先延ばしにしてしまっていた。

「先生。」
帰り道、なつかしい声に呼び止められた。
サオリだった。
おお、やっと来たか、と振り返ると、
ミユキも並んで立っていた。
「ん?、どうしたんだ、二人とも」
まさか、また、2人での取り合いのなるのか?、
と、嬉しい誤算を期待した。
「あのね、私、オータ君と付き合うことになったの」
「私は、佐々木君と。」
「先生に変なこと言って、迷惑かけてごめんなさい」
「ごめんなさい。ちゃんと謝りたくて・・・」

「な、なんだ、そんなことか。
 ははは、若いうちはな、そういう勘違いはよくあるんだよ
 大丈夫、先生はもう忘れてたくらいだ。
 何も問題ない。
 若い人同士で、健全にお付き合いするんだぞ」
と、不健全な妄想を抱いていた大人は言っていた。
元生徒達は「それじゃ」とか言ってそそくさと帰っていった。

なんだよ、それじゃ、俺はただのピエロじゃん。
そうは思ったが、今さら、何かできる気もしなかった。
あの一瞬にキラメキが、心に残っただけだ。
まあ、それもいい思い出なのかな。

思い出ばかりで、恋人ができない秘訣ってなんだろう。

 

 

<了>

 

今回のアタック対象は鳳凰山です。

地蔵ヶ岳2764m、観音ヶ岳2840m、薬師ヶ岳2780m

の3峰をもち、鳳凰三山と呼ばれることが多い。
山梨・南アルプスの霊峰です。
埼玉県人としては近場の山ですが、
今まで敬遠してた最大の理由は、
登山プランがきついこと。
一番人気のドンドコ沢周回ルートでは、

 総距離 17km
 高低差 2150m
 時間  13時間50分



です。初老と言っていい自分には、
チャレンジングな登山になりますが、
6月に皇海山を攻略できたので、

少し自信が付いたので、
行く気になったのでした。

でも、後述するけど、

少し、怖さも残ってて、

何度も決断が揺らいだ末の出発でした。

9月14日


出発前に確認すると、

山梨方面は雨模様だったので、
急遽、行き先を変更して、
奥多摩の三頭山で足慣らしをしようかと思い直しました。

朝4時に家を出て、吉野家でお腹を満たし、
さあ、と外に出ると、雨が振ってる。

 え~、(T_T)  

すっかり、意気消沈してしまいます。
雨雲レーダを確認すると、
登る時間帯に雨雲が登山道にかかりそう。

少し悩んだけど、
無理することもないので、
そのまま帰宅し、二度寝(笑)。

すっかり熟睡し、午後3時起床。
天気図を確認すると、明日は日没まで
鳳凰山はくもり予想。
これなら大丈夫かな、と思い直し
23時15分出発。
高速道路を使わず登山口まで
150kmを4時間休みなしで移動。


①青木鉱泉駐車場 3:15
 行動0時間、標高差0m 0km地点


 まだ真っ暗だが、周りの車には動きが見える。
 今回は長丁場なので、夕方にかかってしまう。
 明るいうちに下山したいので、行けるなら行く
 というのが基本方針だ。
 
  いそいそと用意し、
 登山道アプリ(Yamap)のマップを開いて確認する。

   MAPデータがありません。

 なんと、昨日見ていたのは仮表示なのですと。
 計画決定したらダウンロードすべし、
 と書いてある。

 困ったなー、と悩む。
 自分はほとんどの場合、地図を持ってない。
 行動時間が短く、人気の山で、案内板も多く、
 人も多い山が中心だった。
 ざっくりとした方向感覚と山の様子(山容)を
 下調べの時にイメージできれば、
 大抵は迷いようがない。
 (たまにポカをするけど)
 それで困ったことは、ほとんど無い。

 ただ、前々回の皇海山では用意していった。
 夜道を歩くからだ。
 方向感覚は狂いっぱなしだし、見落としも多い。
 事実、3回くらい確認のために使って、
 非常にありがたかった。

 今回も初めての山だし、夜道を歩く。
 仕方なく、10kmの山道を戻ることにします。
 
 下山の途中、突然、車に牡鹿がダイブ(体当たり)してきて、
 サイドミラーが空を向くというアクシデントが。

あー、びっくりした。

 

その後、20分ほど下ったところで電波を拾い、

無事に地図データを落とすことができた。
 でも、これで出発が1時間遅れてしまう。
 遭難事件ではよくある、「出だし」トラブルだw。

①青木鉱泉駐車場 4:30
 行動0時間、標高差0m 0km地点


 4:30 行動開始。まだ真っ暗です。



 

でも、Youtubeで登山口は確認してあるので、迷いません。
 基本的には一本道で、踏み跡を間違えなければ大丈夫。

 この道はやや迷いやすいというデータがあったけど、
 自分的には分かりやすい方じゃないかな、と思う。
 確かに、ピンクテープ見失う瞬間はあったけどねぇ。
 その瞬間、違和感を感じられるかが、ポイントね。
 誤解や思い込みをすると道を外すんですよ。
 事実、このコースでこの7月に、
 70代の方の行方不明者が出てます。
 まだ見つかってない。
 それを知らないままやって来たのは、
 精神的衛生上、好ましいことでした(笑)

 Yamap には、道外れ警告機能があります。
 空からGPSで測ってて、5mも外れると
 「道を外れてます」とか喋る。
 今回、一度も警告がなかったのは、
 マナーモードになってたらしい(汗)

 でも、自分で確認すれば、
 地図上の道と、今居る場所を表示するからね、
 問題ないのさ(胸張り)

 真っ暗闇の山道は怖いです。
 でも、今回も後ろから2人のライトが来ます。
 こんな夜中の山奥を黙々と人がうごめいている。
 人気の山は、実は意外に人気(ひとけ)がある。
 ので、意外に怖いということもないのよねぇ。
 お互いに信頼関係だけで成り立ってますが。
 最近はナイトハイクというのも流行ってて、
 高尾山あたりは24時間話し声が聞こえるとか。
 
  さ、そろそろあたりも明るくなってきましたよ。
 木々の間から、モルゲンロートが見えてきます。

②南精進ヶ滝付近 6:20
 行動1時間50分(やや遅い) 標高差550m 3km地点


 このあたりまでは平均的な山道という感じ。
 楽ではないけど頑張って登っていけるレベル。
 とは言うものの、そろそろ体力の第1限界になる。
 私の第1限界というのは、一気に登れる限界のこと。
 血糖のエネルギーを使い切って、
 筋肉疲労を感じるようになって、
 休憩して行動食とか水分を補充しないと
 動きが悪くなる時間帯。
 3年前は90分が限界だったけど、
 最近は2時間までは一気に行けるようになってきた。

 とりあえず②の南精進ヶ滝までは行くか!

 そこで、ダウンロードしたYamapが役に立った。
 ここは滝まで行って戻る道なので、
 時間短縮のためにスルーする予定だったんだけど、
 周り道があり、そのまま登れることが判明。
 ということで、綺麗な滝を見逃すことはありませんでした。
 やっぱり、有能なツールは使うに限るねぇ。

 滝を観た後で休憩していると、
 3グループに抜かされました。
 いかにも登山者というオジさんに関心は無いけど、
 短パンの若い女性にも抜かされるとね、
 少しばかりふがいない自分に腹が立ちます。

 Yamap には幾つかの機能がついていて、
 「やや遅い 70」なんて表示される。
 んー、じゃ抜かされても仕方ないかぁ、
 この分だと、
 今日の周回コースには時間が足りないかも、
 と、早々に弱気になります。

 inゼリーを飲んで、水分も補給して立ち上がると、
 さらに、少しむかつくような不快感が襲います。
 あー、これは体が眠いんだな、と気付く。
 体力の第1限界に達して、
 体はお布団に入る気になってる。
 気分は一気に帰りたくなってきます。

 追い打ちをかけるように、雨がポツリポツリ。
 去年の、会津駒ヶ岳を思い出します。
 気温7度で登り始め、途中から雨模様になり、
 頂上付近ではみぞれに見舞われました。
 天気予報は確認したんだけど、
 裾野と頂上で天気が違うのはよくあること。
 まあ標高差1000m程度、往復6時間の山だし、
 そのときは気合いも入ってて強行しましたが、
 低体温症の恐れがなくはなかった。
 だが、今回は2800m峰、標高差2000m、往復14時間、
 つまり全部2倍。
 ヤバい感が、嫌な緊張感を誘います。
   ここで、動揺するように、逡巡していました。
 このまま体調いまいちのままで登れるか?。
 登れても雨の中の稜線歩きは、きっとめちゃ寒い。
 雨具はないし、防寒具はウィンドブレーカーのみ
 気温が下がったときに身を守る手段がない。
 天気予報を過信しすぎてたなぁ。

 さらに意欲を萎えさせるのが、
 この付近から続く急坂です。
 足の第1限界を越えてしまい、
 ヘロヘロにしか歩けない状態。

 ここで考えたのは、
 スルーする予定だった
 3つの滝をしっかり観光して、
 行けるところまで行って、撤退する。
 その前でも、雨が強くなったら帰る。
 うまくいったら、第1峰の地蔵岳まで行く。

 そうしておけば、再挑戦の時、
 時間を節約できるからね。
 一気に最高峰の観音岳に行ける。

 そんなことを考えながら登ってたけど、
 気分はもう、撤退モード。
 帰りたい症候群の自分に支配されかかってる。
  でも、もう一人の自分も居るのです。

 「撤退する。」
 「艦長、古代の船が付いてきません。」
 「古代!」
 「沖田さん、僕は嫌です、
  男なら戦って闘って、戦い抜いて、
  一つでも多くの敵をやっつけて、
  死ぬべきじゃないんですか!」
   宇宙戦艦ヤマト第1話より




 一人で無心で歩いていると色々考えたり思い出します。
 中学生の頃、観ていた宇宙戦艦ヤマト。
 リアル戦争の悲惨さや理不尽なんか知らないで、
 ただ、ひたすら正義の為に闘うのが男だとか、信じてた。

 以来、撤退は男の恥だと無垢に信じてます。
 だから、今日は初めて撤退する。
 負けを認める。
 負けを認める潔さが、真に強い人間なんだ、とか考える。

 これは精神的な第1限界なのかもね。
 なにかあったら継続する方向じゃななくて、
 いかに自分に言い訳してやめようかと考える。
 すると、負け癖が付く。
 失敗しても、ま、いいや、となる。
 自分はそれが嫌で、
 今までずっとやせ我慢の人生だった、と思う。
 途中で投げ出すことは、自分の行動指針にはない。
 モノを捨てない、彼女を捨てない、のも、
 そこらへんと共通してると思う。

 とはいえ、山で不退転にこだわると、いつか遭難する。
 行くのか帰るのか、決めかねたまま登り続けました。

③白糸の滝 7:40-7:55
 行動3時間10分(やや遅い) 標高差1000m 4km地点



 なんとか②の白糸の滝を過ぎる。
 そしたら、上から人が降りてきました。
 「小屋まではあと1時間くらいですか?」
 「いや、まだまだだよ。私も行ってないし。」
  ???
 その男性は④の五色ヶ滝で雨に降られ、
 登頂は諦めて帰ってきたのだった。
 「ひどい降りでさ、明日も年休とってたんだけど
  今からなら10時頃には降りられるからね。
  ゆっくり観光して、明日は仕事に行くよ」
 「それが正解ですよねぇ。
  俺も降りるかなぁ」  と言うと、
 「五色ヶ滝まで行けば?」  というアドバイス。
 綺麗なんだって。

 そうか、まあ体力的にはまだ登れるしね。
 滝は観てもいいよね。
 ④の滝までは頑張るか。

 と思い直して登っていくと、
 お婆さまの団体とすれ違います。
 「今朝早くまでは晴れてたんだけどねぇ、
  さっきは土砂降りさぁ。」
 「登ってった人も、小屋で雨宿りして
  様子見ながら判断するって」
 と、いろいろ情報が入ります。
 そうなんだよね、この山は一泊が基本。
 そしたらお婆さまでも登頂できる。
 やっぱり日帰りは無茶だったか。

④五色ヶ滝 8:45-9:00
 行動4時間15分(やや速い) 標高差1200m 4.5km地点


 

五色ヶ滝に行くには、沢まで降りなくちゃいけない。
 霧も出てるし、途中で撮影していると、
 後行の若者が追いついてきて、
 「こりゃ、すげー」とか言いながら
 元気に降りていきます。
 呆れて眺めていると、霧が晴れてくる。
 晴れたら降りていって写真撮りたくなるじゃない。
 自分に文句を言いながら、沢まで降りました。

  

 

うん、この滝は今年最高の滝だ。
 これを観ずして鳳凰三山は語れないな、と思いました。

 滝入り口の分岐まで戻ると、
 先ほどの登山者の一人が休んでました。
 「これからのご予定は?」と聴くと、
 「そうなんですよねぇ。
  今、奥さんを待ってるんですが、悩みますよね」
 自分と同じで、雨なら諦める、
 12時までに地蔵ヶ岳まで行けなければ、
 ピストンで引き返す、とか考えてるそう。
 妥当なプランです。なので、
 「じゃ、私はこれで帰ります。」
 とは言いずらくて、
 「じゃ、とりあえず小屋を目指しますか」と
 登り始めてしまう。
 自分の中に、
 撤退という選択肢を選びたくない自分と、
 早く解放されて帰りたい自分が居るのよねぇ。

 そこから30分ほどで、道が緩やかになってきました。
 急登区間を抜けたのです。
 そして、地蔵が岳が見えてきました。


 ここには日本庭園のように綺麗な川床が広がっています。
 鳳凰山は、花崗岩の山なので、
 風化した真砂(白い砂)におおわれてます。
  そして、なんと太陽が顔を出すじゃありませんか。
 えー、雨雲レーダの雨雲はどうなったの?

 「晴れてきましたねぇ」と、
 さっきの登山者も追いついてきました。
 奥さんが追いつくのを待ちきれなくて、
 登ってきちゃったみたい。
 「こうなると、行くしかないですよねぇ」と
 話を合わせてしまい、もう一人の自分を裏切って、
 また、ぼちぼち登ります。
 まあ、ここから小屋までは緩やかなので、
 行かない理由にはならないんですけど。

⑤鳳凰小屋 9:45-10:00
 5時間30分経過(平均タイム) 標高差1300m 6km地点


 なんだかんだで鳳凰小屋に着きました。
 一泊する人は、ここで荷物を置いて地蔵ヶ岳だけ往復し、
 明日に備えます。
  日帰り組は、地蔵ヶ岳に登って戻るか、
 三山を縦走するか、
 地蔵ヶ岳をスルーして周回するか、
  判断時です。

 現在時刻はちょうど10時。
 なんと、自分の当初の予定ペースで登ってました。
 ここから地蔵ヶ岳まで1時間、
 そこで昼食休憩しても
 12時には縦走に向かえます。
 薬師ヶ岳からは下るだけなので、5時間あればいい。
 なんとか周回コースで行けそうです。

 Yamap の「やや遅い判定」も、
 休憩してたときの影響みたいで、
 全体的には、平均ペースを維持してます。
 あれだけヘロヘロになって登ってても、
 なんとか食らいついてる感じ。

  鳳凰小屋には、南アルプス天然水が飲み放題。
 途中で空になったペットボトルに1.5リットルも補充して、
 10:01に地蔵ヶ岳に向かいます。
 撤退モードはもう完全に払拭されてて、
 男なら戦って闘ってモード全開です。

 そうなんだよね。
 体力の第1限界を超えると、ヘロヘロモードに移行します。
 こうなると、速く歩こうじゃなくて、歩けるペースで歩く、
 疲れたら立ち止まる、無理をしない歩き方になります。
 同時に、精神的には無心状態になってきてて、
 嫌々感は消えるのよね。だって歩かなきゃ帰れないので、
 こつこつ、できることをするしかない、諦めモードに近い。
 同時に、登れる、完登できる、制覇できる、という希望が
 心を支配してきます。
 そう、人間って、成功が近くなると、俄然やる気を出すのよね。

 とは言うものの、1時間の登りが10分になることはなくて、
 ヒーヒーいいながら、ヘロヘロと鈍足で登ります。
 さっきの奥さんも追いついたそうで、
 夫婦で後ろからきました。
 さっさと先行してもらい、
 その後を追います。

 地蔵ヶ岳の最後の登りは蟻地獄と呼ばれてます。
 山なのに、砂浜のような砂地です。
 運動部の人が足腰を鍛えるために
 海岸の砂地を走ることもありますが、
 6時間、登ってきた最後の試練が、
 急登の砂地というのは、
 ヘロヘロの足にはきついったらありゃしない。
 なんだけどね、6時間登坂実績の足には、
 わずか30分の追加にすぎません。
 ただ時間の経つのを待てば、いずれ頂上に着くのさ。

⑥地蔵ヶ岳 11:51  オベリスク 11:10-11:40
 6時間40分(やや早い) 標高差1700m 6.8km地点


 

 

頂上の標識に着いたときには、
 少しばかり晴れ間も広がってました。
 下山してしまった人は、見上げて悔しがってるかもね。
 この青い空と光が、3000m級の山の魅力。
 いつも見られると限らないのが難点。

 地蔵ヶ岳のオベリスクは、
 かつてお地蔵様の化身として崇められた岩です。
 尖塔になっていて危ないせいか、今は登れません。
 なので、地蔵ヶ岳の頂上標識はオベリスクの麓にあります。
 昔はクサリがあって岩にも登れたみたいですが、
 自分は途中の鳳凰大神の祠までで登頂としました。

 ここで昼食休憩をして、
 さあ、もう迷わず周回コースに臨みましょう。
 鳳凰三山の一番の醍醐味は、
 ここから薬師ヶ岳にかけての稜線歩きです。
  甲斐駒ヶ岳や昇仙峡が有名なのも、
 この天上の白砂浜のような風景のお陰です。
 推しのYouTuberの動画が参考になるので、
 お時間あれば、観てください。
 当日は観られなかった、甲斐駒ヶ岳や北岳の風景が広がってます。
   

 

 

 
 やっぱり山は、秋の10月~がいいのよねぇ。



 

11:40に出発すると、さきほどのご夫婦も後に続きます。
 もう一組、若い男性ペアが続きますが、
 こちらの1人は山のプロで、元気そのものです。
 連れの若い人をエスコートしてるのでゆっくりですが、
 きっと自分の1.5倍くらいで登れる人です。
 あんな大荷物しょってるのにねぇ。

 稜線歩きは、雲が多かったですが、最高の景色を眺められました。
 白い砂と相まって、心を満たしてくれる一時です。
 ま、足や体力は第2限界の限界値なんですけどね。
 第2限界を超えると、歩けなくなります。
 でも、休むとまた歩けるようになるんですよね。
 我ながら、そこらへんはしぶとい。


 日頃の夕方のランニングのお陰だと思ってます。
 そういう鍛錬をしないで、「若い頃は鍛えてた」という御仁が、
 体力の限界で動けなくなって救援を呼ぶんでしょうねぇ。
 まあ、転んだりして捻挫や怪我は仕方ないにしてもね。

⑦観音岳 13:12-13:41
 8時間40分(やや早い) 標高差1830m 8.5km地点



 ということで、限界値を感じながらヘロヘロ歩いて行きます。
 鳳凰三山の頂上に着いたのは、自分が最後でした。
 気が付くと、私の後ろからは誰も来ない。
 ご夫婦と若者2人組が、唯一の同行者です。
 考えてみると当たり前で、
 これ以上遅く下山すると、降りる前に暗くなってしまう。
 途中でトラブルと、それこそ救援騒ぎになります。
 自分もギリギリ間に合うつもりですが、
 そもそもギリギリで行動予定すること自体が、
 山をなめてると言われかねないのです。

 ここまで来ると、もう登りはほとんど無くて、
 ひたすら下ります。
 でも、距離的には半分程度なので、
 残り長丁場に備えて羊羹とアミノ酸を摂取します。

 さっきまで同行していたご夫婦も、
 自分が休んでいる間に
 「さよなら」も言わずに出発していきます。

⑧薬師岳 14:00-14:10
 9時間30分(やや早い) 標高差1760m 9.4km地点



  若者2人はまだゆっくりしていたので先に出ましたが、
 すぐに薬師ヶ岳で追いつかれます。
 「ここからは1本道の下山ですか?、
 「そうですか、迷わないなら少し安心ですね」
 とか話しながら、置いてかないでね、と言外に懇願します。
 時刻は14時。まだまだ明るいですが、
 下山コースは4時間30分かかる予定です。
 途中には滝のような見どころもなくて、
 ひたすら山道です。
 若者2人について行けないのは明白なので、
 少し早めに出ます。
 「後ろに誰かいると思うと安心できますからねぇ」
 と、「置いてかないで」感を出しますが、無駄でした。

 降り始めるとすぐに樹林帯に入り、
 周りの風景は木々に囲まれてほとんど見通せません。
 つまり、ずっと山道。
 なぜか、鳥も鳴かない。
 風もないので、木々もザワつかない。
 静寂な中をひたすら下ります。
 登りとは違う筋肉を使うので、ヘロヘロではないですが、
 太ももと膝の軟骨を酷使します。
 激痛ではないものの、痛みとの戦いでもあるんですよね。
 これが4時間半続きます。
 こむら返りや肉離れになると歩けなくなるので、
 慎重に歩くことが求められます。

  40分後、予想通りに若者2人に追いつかれました。
 「お先に~」と、あっというまに見えなくなります。
 どうしてそんなに早くいけるのか?
 山道は木の根や岩がゴロゴロしてて、
 慎重に行かないと転ぶんですよね。 
 今回は3回、1回は完璧に転んで
 痛い目に遭いました。
 年寄りは、日常的に転ぶとか擦り傷なんてない。
 それが山の中では日常的に起こる。
 「いって~、ぐぅぅぅぅ」とか叫んでも、
 誰も居ない。一人で、ただ耐えるだけです。
 孤独や虚しさを感じるわけではないけど、
 誰かに大丈夫?、と言って欲しい気はします。

 雲海をくぐると、下界の明るさを取り戻しましたが、
 すぐに雨が降ってきたり、暗くなったりします。
 それでも、誰も居ない山道を一人で歩くのは、
 なんでこんなことを続けるのか、とか、
  早く帰りたい~、とか色々考えますね。
 だって、他にすることがないので。

 大きな滝や綺麗な景色や雄大な風景に出会うと、
 誰かに見せたいとか思うんですが、
 ずっと、樹林帯の中の山道なので、
 見るべき対象も少ない。
 ベニテングタケ?くらいのものです。

 そして、下りとは言え、4時間も休憩なしは無理です。
 途中で休み休み、水分を補給しながら降ります。
 ふと、山小屋で1.5リットルも汲んできたのを思い出し、
 無駄に重い思いをしてる理不尽さに気付きます。
 でもね、この南アルプス天然水で珈琲入れたいのよね。


薬師岳登山口 17:30
 13時間00分(やや早い) 標高差190m 14km地点



 考えてみると、今回の行程は、
 いつでも離脱できるようには考えてました。
  それが、2時間の時点で撤退を考えたので、
 滝を観て写真を撮ってと、
 余計なことに時間を使いましたが、
 結局、フルコース(したいことをみんなやって)で、
 回ってきてしまいました。
 やり残したことはほとんど無いのです。
 オベリスクの限界まで登らなかったことくらい。

  皇海山に登った実績で、
 これくらいで回れたらいいなとは思ってましたが、
 実際に実行できると、少しは自信になります。
  でもね、今回は出発前に、そうとう悩んだんですよ。
 普通の人は一泊行程なのに、
 体力的に厳しい自分には無理なんじゃないか。
 途中でトラブったら、
  鳳凰山で○○才男性が遭難し、救援されました
 というニュースの主人公になりかねない。
 実際、行方不明者も出してるし。

 スポーツのプロも、試合が怖いという話を聞きますが、
 今回、少し怖じ気づいていました。
 皇海山に挑戦したときは、
 なんかイケイケどんどんだったんですが、
 やっぱり南アルプスとか2800m峰とかに
 名前負けしてたんですかねぇ。

 それをYoutube観たり、Yanapの地図を入れたりして、
 不安要因を消しながら、自分を自分でけしかけてきた。

 で、まあ、車で出発してしまってからは、
 気分は山登りモードに切り替わるので、
 あとは、粛々と、コツコツと、無心に
 ひたすら歩を進めるんだけどね。

 などと、夜の帳の近づいた林道を40分歩くと、
 我が愛車が待ってるじゃないですか。

 


 気が付くと、登り4時間半の山道を3時間半で下り、
 予定通り18時過ぎには戻ってきました。
 さすがにあたりは薄暗くなってましたが、
 ギリギリ間に合った感じです。

青木鉱泉駐車場 到着 18:18
  全行動 13時間48分(平均タイム)、累積標高差 2153m 全行程 17.4km


 少しばかり休憩と荷物を整理して18:30に車を出します。
 14時間歩いても、まだ家に帰るという行程が残ってます。
 再び150kmを休憩無しで4時間かけて帰宅します。
 もう少し早く下山するときは、途中でお風呂入ったり、
 名物を食べたりするんだけど、
 今回は、直行で帰宅しました。

 家でお風呂に入り、夜中の1時に就寝。
 昨日から34時間動き回ってたので、
 さすがにすぐ寝付きました。
 6時間寝たら、起きて仕事だよ。

山登りの感想

 山を登ってていいことの1つは、
 色々な場所に行けること。
 普通の観光地じゃないので、
 珍しい風景や見どころに出会うのが楽しい。
 
  そこで、ちょっとだけ思うのは、
 この感動を分け合う人がいたらなあ、ということ。
 さっきのご夫婦みたいに、
 「すごい綺麗」と、そこで語り合う人が居るのは、
 すごく幸せなことだし、
 「これ、おいしいね」と言いながら食べるのは、
 もっと美味しく食べる秘訣なんですよね。


 私は運転しながら残り物のオニギリ食べたけどねw
 このブログを楽しみにしてくれる人が居ることが、
 自分の幸せだったりするのです。
 
 ということで、私の3連休は終わりました。
 これを書いてるのは2日後なんだけど、
 まだ普通に歩けないくらい、筋肉痛がひどい。
 
 YouTubeを観ると、
 同じコースを10時間位で回ってる人が
 いくらでも居ます。
  それをうかつに信じると遭難しかねないので
 注意が必要です。
 そもそも山登りは、1日8時間位が目安なんじゃないのかな。
 ま、そういう山は残り少ないので、
 もう少し体力つけて、
 余裕を持って挑戦できるようにしたいなぁ。

 今年の100名山はこれで4つ目。
 今年も10座登れるか?

 

 

 

前回の登山ブログは24座目、雲取山でした。

年に10座程度登ってるんだけど、

ブログ書くのもなかなか時間かかって、

ついつい手抜きしてました。

昨年の登攀記録は次の通りです。

 

25座目 5月19日    甲武信ヶ岳
26座目 7月26日    至仏山
27座目 8月 4日    燧ヶ岳
28座目 8月12日    木曽駒ヶ岳
29座目 9月16日    乗鞍岳
30座目 10月13日   八甲田山
31座目 10月14日   岩木山
32座目 10月22日   八ヶ岳(赤岳)
33座目 11月3日    荒島岳
34座目 11月14日   恵那山

 

今回は、日帰り最難関との異名も高い

皇海山(すかいさん)です。

この山は標高はそこそこですが、とにかく、

遠い

平均コースタイムが14時間くらい。

体力的に持つのかという問題と同時に

エスケープルート(脱落コース)がないので、

もたもたしてると

暗くなって帰ってこれない恐れがあるのです。

しかも、鎖場の難易度も高く、

滑落の危険性もあります。

 

なので、

体力や天候に恵まれないと克服できない。

百名山を回ってる人も

後回しにすることの多い山です。

かくいう自分も、

関東近郊のお手軽な山は

だいたい登ってしまったので、

そろそろ

きつい山にも挑戦しないとなんですが、

今年はまだ登山2回目なんですよ。

5月18日に1回目行っただけ

 

多摩湖~備前山~鋸山~大岳山~御岳山の

縦走コース、

 

18km:9時間:累積登り1734m 

 

でした。

降りてきてまだ少し余裕があったので、

これは日頃のジョギングの効果が出てきたのかな、

と少し自信を付けての挑戦です。

 

Yamapで下調べをしたところ、

皇海山クラシック周回コースは、

 

24.5km:14時間36分:累積登り2308m

 

です。2~3割増しだと思えば、

行けそうな気がしてきたのです。

あまり暑くならないうちにということで

6月3日に行くことにしました。

 

6月2日午後10時に自宅を出発、

駐車場に2:40に着きました。

3:30に出るつもりだったんだけど、

すでにスタートしているチームも有り、

早めに行動開始すれば早く降りられるので、

とっとと2:45歩き始めました。

 

2:45 銀山平駐車場発

ここから4kmほどは暗闇の林道歩きです。

1kmほどは舗装ですが、

その後は砂利道になり、荒れてるので

小石の散らばる河原を歩くような感じです。

途中、沢水が溢れ、

泥の水たまりが何カ所かあり、

登り始める前から靴の中は泥水浸しです笑い泣き

 

3:43 一の鳥居

真っ暗 こえ~

ここから山道に入ります。

予定だと

この辺で明るくなるはずだったんですが、

早めに出た関係でまだまだ暗い。

ヘッドランプは持ってきたので

問題ないですけどね、

初めての暗闇登山となりました。

しばらく登ると

後ろから追いつかれたんですが、

道を譲っても

「暗いうちは一緒に行かせて下さい」

と進言され、前に行こうとはしません。

この人(A氏)には、

また後で会うことになります。

 

そのうち、前を行くご夫婦?

(Bさん、C氏)に追いつきましたが、

ちょうどいいペースだったので、

少し間をおいて、

ついて行くことにしました。

庚申山荘までは、

昔の猿田彦神社の参道らしいのですが、

そこそこ荒れていて、

大きめの石がゴロゴロしているし

大きな段差もあります。

難路というほどではないですが、

気軽なハイキングというほど

整備されてもいません。

庚申山から先は点線になる

バリエーションルート扱いなんですが、

後々、奥多摩の道が

いかに有り難かったかを知ることになります。

 

5:00 庚申山荘

 

概ねコースタイムで到着。順調です。

先行してた団体さんが

ヘルメットを装備してますが、

横目で眺めながら山道に進みます。

後ろの岩山を迂回しながら、

庚申山を目指します。

 

ここからが本格的な山道で、

庚申山までは急登が続きます。

道も若干わかりにくくて、

1度ロストしました。

滑落の危険箇所もそこそこあるのに、

こんな所を暗い中登る人も居るのには

驚きです。

 

 

6:37 庚申山

ここまでは順調ですね。

ここで休憩しないで、5分歩くと

この風景が堪能できます。

中央の山が目的地の皇海山。

まだ遠いですが、こうして眺められると

行けそうな気がしてきます。

 

ここから先は

地図上で破線になってしまう

バリエーションルートですが、

皇海山へは基本この道しかないので、

踏み跡もしっかりしてます。

若干わかりにくいところや

細いところはありますが、

それほど難渋することはないです。

 

 

木の画像には、熊の爪痕が確認出来ます。

上に古いのが、下に新しいのが付いてます。

こんな急斜面を上がってくることは

ないとは思うものの、

熊鈴は必需品です。

尾根筋は登り下りがつらいですが、

でもまあ、順調です。

7:43 地蔵岳

8;12 薬師

この辺では、庚申荘まで一緒だった

BさんC氏と一緒でした。

 

この辺りで撮影したシャクナゲ。

ピンクのが多いですが、赤紫のがきれい。

太陽がちょうど出ていて、

今回、最高の1枚。

 

8:31 白山

写真など撮っていて少し遅れていたんですが、

ここでご夫婦に追いつきました。

なぜかというと、ドーン!

 

この鎖場が急で長くて、

一人一人、順番に降りるからです。

こりゃ、団体山がヘルメットかぶるのも

納得です。

庚申山から鋸山までは

11ピークあるらしいですが、

ここから4回くらい、

こんな登り下りを繰り返します。

これは、上の鎖場から見た次の峰の全貌。

赤線に沿って

鎖やロープにすがって登りますが、

70度くらいはあるんじゃないかなぁ。

 

8:45 緊急事態発生

10分ほど待って、鎖場を降りていきました。

事前の調べだと

ほぼ90度とか書かれていましたが、

つかまり立ちできる箇所が多いので、

そんなには難しくないです。

でも、手を離して降りるには高すぎるし、

落ちたら大けが間違いなしです。

場所にもよりますが、

両神山裏ルートの方がやや厳しいかな。

 

で、難なくこなし、

さっきの赤線ルートを

登り始めたときのことです。

突然、右足太ももが悲鳴を上げました。

太ももの前面内側の内側広筋が

つってしまったのです。

裏側のハムストリングスも同時に痛み、

ちょうどその場にあった倒木にまたがって

呻きました。

「いでてててて~っ(>_<)」

つるとね、力を入れられないし、

宙に浮かせても痛いときは痛いし、

少々パニックになります。

 

じっと我慢して、ことの重大性を悟ります。

ここまで6時間登ってきたわけですが、

行くのにも戻るのにも崖を

登らなくちゃならない。

登れたとしても

6時間の距離を歩く必要があります。

痙攣を起こしてる足で帰り着くのか?、

という状況。

 

痙攣には水分不足が考えられるので

まずお茶を飲みます。

そして特効薬の

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を

取り出して飲みます。

慌てたので、

お茶のペットボトルを2mほど下に落とします。

こんな時に、と思うけど、

間の悪いときはこんなもんです。

後続の人に

足がつっちゃったんでお先にどうぞ

とか伝えて先に行ってもらいます。

 

さて、これからどうしたものか。

最悪、歩くのも難しいようなら、

ここでリタイヤ。

ヘリコプターの要請でもしないと

帰れません。

でも、そもそもスマホの電波は届かない。

なんとか動けるようなら、

10時間かけてでも、

自力で下山できれば御の字です。

でも、この壁みたいな鎖場を、

踏ん張れない足で登れるのか?

 

5分ほど休み、マッサージもして、

さあ、立てるか?

お、なんとか立てました。

そして本能的に先に進みます!!!(嘘!)

戻らなくていいのか?、

自殺行為なんじゃないのか?

内心、逡巡してますが、きっと大丈夫!、

と自分を鼓舞します。

 

カタツムリのようにそろそろと歩きながら、

判断間違いである可能性を、

遭難して真夜中の暗闇の中で

後悔する自分を想像します。

 

でも、戻るにしても先の鋸山から迂回して、

平坦なトラバース道の方が無難じゃないか?

でも、目の前には

頼りないロープの垂れ下がった崖が。

足の方は、

力の入れ方を間違えるとつりそうです。

慎重に足を持ち上げ、

痛くないように力を加減して、

一歩一歩、

一足一足、這いつくばって登ります。

 

何mか登ると、ゆっくりとなら、

何とかなりそう、と感じました。

これが普通の急登だと、

逆に足を負担をかけたかもしれません。

崖なので、

腕の力に頼る部分が大きいことが、

幸いしたのです。

たぶん10分もかからず登れる赤線部分を、

20分以上かけて慎重に登りました。

ただし、登れたのがよかったのか、

戻った方がよかったのか、

この時点では不明です。

無事に家にたどり着くには

どう行動したらいいのか、

頭のなかでぐるぐる考え続けますが、

足は勝手に先に進みます。

 

 

 

 

その後、行くべきか戻るべきか悩みつつも、

そろりそろりと先に進みました。

画像のように、

そこそこ高く急な斜面を登り降りしていきました。

踏ん張るところで痙攣したら、

腕の力で宙づりです。

なかなかスリリングなひとときでした。

 

10:00 鋸山着

1時間半格闘して、なんとか、

やっとの思いで鋸山に着きました。

時刻は10時、すでに7時間15分経過です。

▲西側 残雪があるのは武尊山

▲北側 皇海山 右に残雪のある日光白根山

▲東側 登ってきた尾根筋 

3時間半かかりました

 

深田 久弥は

なぜ鋸山を百名山にしなかったのでしょう。

恨みますよ。こんなに景色がいいのに。

ここから

展望のきかない山に、

150m以上降りて登り返して行き、

また、再びここに戻ってこなくちゃならない。

でも、このまま下山するというのが正しい判断。

 

時刻は10時。ここまでで7時間15分。

今、降りても、5時近くになるでしょう。

十分に遅い時間です。

 

悩んでいると、一人、皇海山から帰ってくる人が。

なんと、朝、同行していたA氏でした。

 

「もう、皇海山まで行ってきたのですか?」

「はい、これでピストンで戻ります」

皇海山まで往復2時間として、

5時間でここまで来てたことになる。

速いなあ。

そういう人でないと、来ないよね。

 

お話を聞く限り、ここからの登り降りは、

さほど崖みたいな急登ではないらしい。

 

「そうですか。実は足がつっちゃって、

 どうしようか迷ってるんです」

「すぐそこですよ、往復ゆっくりで3時間」

「行けますかねぇ。」

「元気そうだし、大丈夫ですよ」

「え、そうですか?」

 

こんな時に

他人の言葉を信じちゃいけません。

どう考えたって、

このまま帰るだけでも大変なのに、

プラス3時間の山歩きを

強要する理屈はあり得ない。

繰り返しますが、今は歩けてる。

でも、いつ歩けなくなるか分からない。

むしろ、その可能性がそうとう高い。

今なら、

A氏に頼んで救援要請してもらえるのに、

残されたら連絡手段さえないのですよ。

 

「じゃあ、ちょっと頑張っちゃおうかな」

 笑

 

笑、じゃないですよ。

こういうのを自殺行為というのです。

これを読んだ人は、

絶対真似しちゃ駄目です。

 

とか、考えながら、また、

そろりそろりと

皇海山目指して下りていきました。

先行した人が次々と戻ってきます。

今からなら、

明るいうちに下山できるでしょう。

でも、自分は予定より2時間遅れてる。

しかも、

足は限界を超えて痙攣一歩手前。

それなのに、なぜ、

もっと先に進もうとしているのか?

狂気にちかいですよね。

こういうやつが遭難して

命を散らしているんだろうなぁ。

 

鞍部に降りるのに50分かかりました。

計画では30分。やっぱり遅いです。

登りは60分の予定だけど、どうでしょう。

慎重に、無理のないように歩を進めます。

あと0.4㎞の案内板を過ぎると、

またまた急登になりますが、

もう、手をつき岩にしがみつきながら進みます。

 

11:58 皇海山到着

ゆっくりゆっくりが功を奏したのか、慣れたのか、

なんとか9時間15分で皇海山完登です。

やったぁ。

▲ゴールデンペアーが可愛い。

 

もうおなかはペコペコでした。

稲荷寿司とゼリー飲料とコーヒー牛乳とお茶と

スナックを食べてエネルギー補充。

展望は無いという噂でしたが、

日光白根は見えるし、

その北の雪をかぶった燕巣山?

などもすかして見えます。

散り際の山桜も見られて、

これはこれでなかなかの眺望でした。

 

12:30 皇海山発

おお、休んだせいか足が軽い。

なんと36分で鞍部まで降りました。

この調子なら40分位で鋸山いけるか?

 

なんて、調子にのるからいけない。

またまた右足がつってしまい、

しばらく悶絶します。

やばい。

薬を追加したのにつるとは。

つった足をかばうと、

足裏までつり始めます。

へんな格好で座ると、

腹筋までつりそうに。

もう、体中の筋肉が限界に近いようです。

 

でも、歩かないことには帰れません。

20cm位の歩幅で、少しずつ歩きます。

こんな状態で、

壁に近い岩場やザレ場を登れるのか?

 

足がつらないように

不用意に足を上げたり、

踏ん張らないようにして、

そろりそろりすすみます。

岩場に来ると、足の力を使わないように、

岩や木に手をかけて、腕の力で登ります。

「ふんぬ!」と息を詰めると、

「はぁ、はぁ、はぁ、」と、

いちいち30秒ほど深呼吸します。

酸素不足の水槽の金魚のような状態です。

 

14:03 鋸山帰着

鋸山には、14時過ぎに戻りました。

A氏の言うように3時間では無理で、

結局4時間かかってしまいました。

ここから駐車場までは早くて5時間。

今のペースだと7時間はかかるので、

21時かぁ。ちょっと泣きたくなります、

 

帰りは、来た道をもどるコースと、

周回コースがあります。

周回コースは平坦な道が多いけど、

4㎞ほど長くなります。

しかも迷いやすい

熊笹で覆われた山道が有名なので、

体力のある人はピストン(同じ道)で

帰ります。

 

でも、自分の足は限界で

ここまで登り返しを克服してはきたけれど、

無理は禁物です。

踏ん張り所でつったりしたら、

滑落するしかないです。

長くても歩いていけばいつかは帰れる、

周回コース一択でした。

 

クマザサ天国

 

この風景のどこに登山道があるのでしょうか。

わかんないですよね。

普通なら踏み跡をたどるんだけど、

踏み跡がそもそも薄いし、

クマザサが覆ってしまい

ロストするところも多々。

これは道迷い必至間違いなしです。

 

まあ、だいたいの方向は分かってるので勘で進み、

ピンクテープか、下の表示を発見できればOK。

 

とは言うものの、

100mも進んで見つからないと

やっぱり焦ります。

30分先行していたBさんC氏に

追いついてしまうほどでした。

最終的にここで遭難した話は聞かないので、

何とかなるんでしょうけど、

一人で行動するには勇気がいるかも。

 

15:27 六林班峠

峠で折り返すので一安心と思ったら、

六林班峠から最初の沢までの間は、

まったく道がありません。

赤黄の目印も遠くて見つからない箇所も。

自分はYAMAPの地図をスマホに入れてたので、

迷っても進行方向はロストしなくてすみましたが、

地図アプリ無かったら、

ちょっとぞっとする道です。

 

▲最初の沢で、水を飲む。

この時のためだけに持ってきたカップ。

 

沢まで降りれば、基本的に平坦な道です。

渡河するのに多少の上り下りはあるけど、

数mです。

ただし、

ここから庚申荘までの道のりは長いです。

ここだけで8㎞位あるんじゃないかな。

つった足だけど、

降りてきて酸素濃度が上がったのか、

登りが無くなって使う筋肉が変わったのか、

とりあえず普通に歩けるようになってました。

沢まで50mくらいある

崖っぷちみたいな箇所もあるので

油断は禁物ですが、

あとは時間との勝負になってきました。

新緑が綺麗でした。

眺めは悪くないけど、果てしなく続くので、飽きる。

これはシロヤシオ。

日陰にも愛嬌のある花が

 

18:27 庚申山荘

いつ果てるともない

トラバースを歩くこと3時間、

やっと庚申山荘に着きました。

ここからは朝登ってきた道なので、

暗くなっても何とかなるでしょう。

特に赤黄の目印は夜光なので、

暗闇で光ります。

ヘッドライトを付けて、いざ下山。

 

20:02 一の鳥居

下山なのに、登り60分のところを

90分かかってしまいました。

3回ほど道ロストしちゃったんだけど、

原因は湧き水です。

朝は歩いていた参道に、

昨日の雨が湧いていて、

道がはほとんど小川状態になってたのです。

こんなところに川があったかな?

という違和感はあるものの

川に入る方向が正しいとは思えず、

しばらくウロウロしました。

結局、判然としないので、

またまたYAMAPを取り出すと、

川の真ん中を指し示します。

そう、川と思っていたのは、

参道そのものだったのです。

結局、湧き水は一の鳥居まで続き、

靴をずぶ濡れにしながら

林道に出たのでした。

もう、真っ暗だったので、

またまた

鳥居の写真撮影はできませんでした。

 

何はともあれ、YAMAPのマップに2度3度助けられました。

 

21:06 銀山平駐車場

それから、さらに1時間の林道歩きです。

もう、山は降りましたけど、周りは真っ暗、

歩くのは自分一人、逆に怖い夜道でした。

鹿が一頭飛び出してきたのには、

一瞬身構えました。

朝より湧き水が増えたのか、

またまた泥水に足を取られ、

駐車場まで戻りました。

とはいえ、一時はどうなるかと

戦々恐々の登山でしたが、

なんとか完登・帰還できて良かったです。

当日のYAMAPを見ると

8時間程度で周回してきた人も居るし、

鋸山の手前で引き返した人も居るし、

ほぼ同タイムで百名山完登して人も居て、

本当に悲喜こもごもの山でした。

 

結果

踏破時間   18:16 +α

標準タイム   13.14

難易度      52 きつい

踏破距離     24.4km +α

登り         2295m +α

消費カロリー     4431cal

 

足がつったとはいえ、

私の走破時間は最低ランクです。

とても皇海山に挑戦できるレベル

じゃなかったです。

今回はたまたま運良く下山できましたけど、

救援要請になってしまってもおかしくない

状況でした。

山は引き返す勇気が重要。

これで自分の山の行動時間は

最大18時間となりましたが、

文字通り、

墓穴を掘らなければいいんですけどねぇ。

 

コースの感想

日帰り最難関の看板は伊達じゃないですが、

道が悪すぎます。

悪路好きという人も居るカモですが、

六林班峠の前後はほぼ道がない状態。

深田久弥が来た頃はきっとこんなだったろうと思いますが、

彼の追体験がしたいわけではないのでねぇ。

どうして彼は鋸山を百名山にせず、皇海山を指名したのか。

鋸山の方が小さいし独立峰ではないのでねぇ。

鋸山の鎖場も十分なものではなく、

よく事故が起きてないな、という印象。

まあ、こんな山に初心者がくることは

ないとも思いますが、

紛れてきたら、

その危険度は高いと思います。

というわけで、

百名山のピークハントが目的でないなら、

庚申山の辺りの風景で

満足するのがちょうどいいでしょう。

 

体力について

前日の16時まで寝てて、

26時間の活動時間でした。

車の運転は

行きも帰りも各3時間(休み無し)

長野だと5時間以上かかるので、

まだ近いくらいです。

そろそろ山小屋泊が必要なんだけど、

2日目は筋肉痛で動けないのよねぇ。

今回の学びは、冬でなまった体は、

もう少しリハビリしてから登りましょう。

特に、逃げられないコースは危ない。

今回は、運良く生還できたと

身に染みないといけません。

 

とはいうものの、少しずつ強化しないと、

いつまで経っても

難易度の高い山に行けないし。

レベルアップの難しさだよねぇ。

 

 

 ものを集めるのが好きで、
 腕時計やマグカップや、
 サイダーの瓶や缶コーヒーの缶や
 手ぬぐいや河原の石ころなど、
 思いつくものを集めている。
   ま、高額商品でないところが、
   庶民のささやかさを表している。
 中でも本は知的好奇心が刺激されるので、
 読み終わっても読まなくても、
 その表紙を眺めているだけで
 賢者の気分になれるのがいい。

 とは言うものの、
 家庭内でも職場でも山を築いていると
 風当たりが強い。

 へび年だし、脱皮をするのも悪くない。
 そろそろ終活も意識し出す年頃でもあり、
 「この部屋なんとかしてもらわないとねぇ」
 という後押し(嫌み)に背中を押されて、
 渋々、片付け始めたのでした。
 すると・・・

 50年も前の本が出てきた。
 「三匹荒野を行く」である。

 知ってる人の方が少ないと思う。
 映画にもなったようだが、

 自分もこの本以外で出会ったことはない。

 この本を古本屋で買ったのは父だった。
 経済的に厳しかったはずなのに、
 父がなけなしのお金をはたいて、
 30分もかけて選んでくれた本だ。
 でも子どもはさほど興味が湧かず、
 1年ほどたった頃に、一度読んだきりだった。

 今年になってふとそれを思い出して、
 なんとなく読みたくなった。
 ネットで探したら1万円もするので、


 さすがに諦めていた矢先だった。
 思いがけない過去の自分からの贈り物に、
 心が躍った。

 あの時、父は何を自分に託してこの本を選んだのか。
 図書館の本より、
 この本の思い出が残っていたのはなぜなのか。 
 こんな日がくるとは、
 しまい込んでいた自分も予想していなかったに違いない。

  ということで、断捨離はまた少し先になりそうだ。

 

 

 

心よ折れよ、と言わんばかりの月日だった。

今年は初夢から縁起が悪くて、
パソコンのハードディスクが飛ぶとか、
部下の不祥事に巻き込まれるとか
やっかいな仕事やらトラブルやらの連続だった。
とはいえ、
自分の立場や健康や経済状況には、
たいした悪影響があるわけではない。
もしかして、これは修行なのか?
一山越えてはまた峠が出現する、みたいな・・・。
どっちにしても、
運命に虐められている。



それが報われたのか、
今日は楽しい時間を過ごしている。
長い間、音信のなかった彼女と、
こうして山道を散策している。
会えただけでも心は躍り、
同じ空気を吸うだけで安心する。

 

 



はにかんだ笑顔が愛おしい。
まじまじと見つめることができなくて、
横顔をちらっと見ては、嬉しさをかみしめる。

あの頃と同じようにおしゃべりをし、
風景を眺め、
見知らぬ道筋をたどっている。
あてがあるわけでも目的地があるわけでもないので、
あうんの呼吸で歩いて行く。

小高い峠を越えてしばらくいくと、
前から乗りたかったローカル線に出会った。
いい機会だからと、座席に座る。
列車は、着た峠の方に向かって走り出すと、
突然、ジェットコースターのような急坂を駆け下りる。
胸ポケットのスマホが落ちてしまいそうだ。
その余韻と惰性で川沿いを少し走ると、
列車は歩き出した道のそばで停車した。
「こんな所に駅があったんだ」
小さな冒険みたいに町歩きをしていた、
あの頃が懐かしい。

振り出しに戻れれば、またスタートできるものね。
終点のない散歩のようにいつまでも一緒にいられたら、
どんなに幸せな時間を過ごせるだろう、と思った。
夢なら覚めないでくれとは、よく言ったものだ。

隣にいるはずの彼女の姿は、
その時にはなかった。
「ああ、そうか。」
それが夢の中の出来事だと、
夢の中で悟った。
それでも、幸せだった心は、
その夢体験に感謝している。
夢の中でもいいから、彼女との時間を過ごしたい。
ノートを取り出して、

 会いたい、会いたい、会いたい、会いたい、会いたい、
 会いたい、会いたい、会いたい、会いたい、会いたい、
 会いたい、会いたい、会いたい、会いたい、会いたい、

と、何度も書き綴った。
これくらい念じれば、また会えるに違いない。
自分の夢なんだから、
好きな夢を見られる能力を身に付けたいな、
と思って、目を覚ました。

彼女は、俺に言う。
「いい夢が見られるといいね」

 

 

<了>

 

 

ほとんど実体験です。

10年以上も前に別れた彼女とのひとときを

今朝、追体験することができました。

夢の中って、純粋に嬉しくて幸せな心地になれる。

その楽しい時間の感覚を忘れたくなくて、

ここに残すのです。

画像は生成AIで作りました。

似てないけど、雰囲気は似てるかな。

<追記>

けさ、また続きの夢を見ることができました。

前回のようなぎこちなさもなくなって、

いっぱい好き合ってたあの頃のように腕を組み、

自然にキスをすることもできました。

夢の中なんだけど、

ホントにうれしくて楽しいひとときだった。

起きてすぐは余韻に浸れるんだけど、

少しするとどんどん忘れてしまうのが悲しい。

キスの感触だけは何回も反芻して

忘れないようにしないと。3/25

 


太一郎が歩いていると、

同級生の浩治が声を掛けてきた。
 

「ちょっとさ、今、

 暇なら手伝って欲しいことがあるんだけど、

 いい?」
 

いいも悪いも、

職探しをしている太一郎は

常に時間を持て余している。
 

浩治もそれは分かっているので、

返事も聞かずに先に歩き出した。
 

「今日は、何かね?」
 

太一郎は農繁期には農家に乞われて、

わずかな手間賃や米・野菜をもらっていた。

何回か続くと、太一郎から声を掛けたりして、

それなりに付き合いのある家もあった。
 

「おめい、字が上手かったよな?」
「字?」
「ああ、実はさ、

 来月爺様の13回忌があるんだけど、

 引き出物に熨斗つけなきゃじゃん?。

 オラの字だとね、ちょっと体が悪いのよ。」
「そんなの気にすることもねえんじゃねえの。

 自分の字でいいんだよ」
「まあ、そうなんだけど。数も多いし、

 今、ちょっと忙しくしててさ、

 手伝ってくれよ」
「ん、それは全然かまわないけどね」
 

その日は日が暮れるまでかかって、

熨斗を書き上げた。

手間賃をもらうほどの労働でもないので、

太一郎もそれは期待してなかったが、

握り飯は空きっ腹に旨かった。

帰りには、

夕飯代わりだと言って芋と野菜を持たされた。

家に帰ると、夕飯の支度ができていた。

といっても、飯と菜のみそ汁。

漬け物ときんぴらの残りだ。

ま、いつもの通りだったが、

食べ終わると清恵が耳打ちをしてくる。
 

「あんたさ、お米がもうないの。

 明日の朝は今晩の残りで何とかするけど、

 夕飯までにお米を買ってきて欲しいの。」
「ああ、そうか。わかった。」
 

太一郎は芋と野菜を手渡して、

最悪の場合は、これが明日の夕飯になるなぁ、

と考えていた。

米びつが空に近いのは、

女房から先週から言われていた。

金があるならとっくに買ってきたかったのだが、

今日まで何の手伝いにもありつけなかった。

明日は、どうにかしてお金を工面しなくては。

翌日、

遠くの知り合いまで出かけて御用聞きをしてみたが、

何の甲斐もなく終わった。

いよいよ今夜の飯が遠のく。

米屋もいつまで開いてる訳も無く、

太一郎は最終手段に出ることにした。

少しの不安はあったが、その作戦は功を奏し、

太一郎は米を手に入れることができた。

これでまあ、半月は何とかなるだろう。
 

米を抱えて帰ろうとすると、

またまた浩治が声を掛けてきた。
 

「あれ、太一郎じゃね?。今日はお使いか。」
「はは、まあな。

 だけどこれは買い物じゃなくて借り物だ。」
 

太一郎は、照れ隠しに、

ついツケで買ってたことをほのめかした。

米屋では、財布を忘れた振りをしたのだ。

本来、米屋は掛け売りをしていないので、

明日持ってくると嘘をついた。
 

「そうかあ、だけどそれじゃ米屋も困るべ。

 これ貸してやるからさ、今、払ってきちゃえよ」
「え、それはわりいよ」
「いーから。昨日も助かったからさ。

 後でちゃんと返してくれりゃいいから。」
 

浩治は財布から大枚を取り出すと、

太一郎に押しつけて行ってしまった。

米代を払っても、かなり残る。

しばらくのしのぎには有り難い額だ。

気を遣ってくれた友の後ろ姿が、目に染みた。

 

 

その晩は、

夕飯に茄子の田楽がおかずに付いた。

お代わりをした。

 

 

 

-了-

埼玉県で一番名が知られてるのが雲取山

           (個人の感想)。

埼玉の最高峰でもないし、

100名山では甲武信岳の方が高いし、

なんだけど、印象は埼玉の最奥端という感じ。

だから一度は行ってみたいと思ってた山。

有名な三峯神社のある三峯山からも行けて、

東京都側(厳密には山梨側)に降りられるんだけど、

山小屋に泊まらないと縦走できそうもないので、

行くチャンスの無いまま、この年齢になりました。

 

11月21日に荒れ模様の丹沢山に登り、
今年の目標100名山10座登頂は、果たして、
その上で、もう一座行くか、ちょっと悩みました。
けど、まあ、天候が晴れ予想だったのと、
登れる時に登れるのなら登るべきだと、
11月23日もどこか行くことにしましたよ。

で、登る候補は大菩薩嶺だったんですが、
標高差も少ない山なので、
こういう山は家族と行くべきかな

という思いは変わらず。


次に浅間山を検討しましたが、
すでに降雪・凍結という情報があり、断念。

で、あと降雪がなさそうなのが雲取山でした。
でも、雲取山は埼玉側からは遠いのよ。

で、山梨側の小袖登山口からも概算で 

 往復20㎞・標高差1600㍍・標準10時間
なんですね。
今年、きつかった甲斐駒ヶ岳が
 往復9㎞・標高差1200㍍・標準9時間で、
前々々回の越後駒ヶ岳が、
 往復15㎞・標高差1400㍍・標準8時間

  標準11時間という資料もある
なのですよ。



▲データは投稿者のものだけど、ほぼ同じかな

 

 

ザラ場、根っこ、岩場、鎖場の有無とか
登る斜度の違いとかあるので
単純な比較はできないんだけど、
夜の帳の降りるのが早いこの時期に
10時間コースはどうかなー、と
躊躇してしまいます。

でも山容の近い越後駒ヶ岳は
標準8時間を7時間半で行ってきたので、
プラス1時間半ってとこかなー、と皮算用をしてみます。
と、すれば9時間あればなんとかなるか?
朝6時から登って3時に帰り着く予定。
猶予される時間は90分くらい?。
こんな感じで行き先決定しました。
天候は午後遅くにならなければ大丈夫そうね。

自宅から丹波山村の駐車場までは60㎞程度。
200㎞以上走ってた今年の山々に比べれば、
庭みたいなもんです。
と、甘く見ていて、牛丼食べたり、
お握り買ったり、6㎞ほど行きすぎたりして、
駐車場着は6:30、駐車場の残りは3台程度
になってしまいました。
危ない危ない、急いで6:37出発です。


▲最初の5㎞の林道 帰りに撮影

 

登り始めは杉林の中の山道です。
廃屋があったりして生活感も残ります。
斜度はそこそこですが、平坦な場所もあり、
今年、一番歩きやすいかもです。

前を歩く人も意外に速くて、なかなか追いつけません。
ランをしていた2人と2組には抜かれましたが、
それでも行きで5組8人ほど抜きました。
今回は頑張れたと思います。
 

▲8:11 マムシ岩 ここで帰りにトラブルが・・・

 

休憩無しで中間地点のマムシ岩に着きました。
5.4㎞を1時間34分でした。
この先斜度がきつくなるでしょうけど
あと2時間程度で着きそうです。
これなら10時間はきれるかな?
と、少し光明がひらけます。


▲8:47 運命を分ける分岐

 

七ッ石山と巻道の分岐では、
ショートカットできる巻道をを選びました。
これは大正解で、七ッ石山経由だと、
30分ほど余計にかかりそうです。
まあ、帰りに楽をした方がいいんでしょうけど、
時間を気にしてたので、これは仕方ないです。


▲9:10位 ブナ林から少し行ったところ 小雲取の急坂が心を挫く

 

巻道を登るとブナ坂という分岐点で合流します。
ここからヘリポートの先までの2㎞ほどは
ほぼ平坦といっていいでしょう。
ヘリポートに着くと、どーんと小雲取の斜面が広がります。
今年登ってきた山々に比べれば、
この程度の斜面は屁でもないですが、
それでも気合いをいれて、はあはあ登ります。

後ろから煽られていたので、
ヒーコラ言いながら小雲取の上まで来ました。
ここで休憩を取りたかったのですが、
後続の人に場所を先取りされてしまったので、
もう少し先まで進みました。

ブナ坂から左手にはずっと富士山が見えます。


 

前回の丹沢山から蛭ヶ岳もこんな感じなんでしょうかね。
小雲取には巻道がありますが、
この風景を楽しむために、
ここは無理しても登る価値があります。
頂上からも見事な富士山が見えますが、
ここで眺める富士山が最高です。

▲10:09  小雲取から

 

ここで振り返ると、頂上近くの避難小屋も見えます。
1時間くらいかかるかと思ったのですが、
3つ程の坂を登り、20分ほどです。

10:31、3時間54分で頂上に到着しました。


▲富士山をバックに 丹沢山のリベンジを果たす

 

越後駒ヶ岳も往復標準10時間超という資料が多いのですが、
4時間弱ほどで登れました。
これは自分が速い訳ではないです。
標準時間の算出方法は知らないですが、
ここのは、全長距離から単純計算した数値かなあ。
しかも歩きやすいので、他の山より早く登れます。

 

頂上からは遠く、

今年制覇した甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳が見えます。


▲富士山の右側で見える



浅間山や両神山は木の陰でよく見えません。
気温は5度くらいかな。
指先が冷たくなってますが、
風も弱めで富士山が奇麗に見えました。
前回の丹沢はガスで展望ゼロでしたからね。
良かった、良かった。

少し長めに写真など撮って休み、
11時に下山開始です。

11:32 小雲取の下
11:47  ダンシングツリー
11:54  ブナ坂

と1時間足らずで2時間の登り分を戻りました。
余裕が出てきたので、七ッ石山にも登りましょう。
 

▲ブナ林手前から七ッ石山の登りを撮る

 

標高差は100㍍ほどありますが、14分で登りました。
でも、ほんとやっとこさって感じです。
来る時は時間短縮で巻道で回避しましたが、
七ッ石山頂上からは雲取山の全容が見えるので、
行きで登った方がいいかもしれません。
気持ちの問題ですが、先行きの見通しが立つのは良いことです。


▲12:09 七ッ石山頂上付近から雲取山を望む

 

ここで10分ほど休憩をして、
七ツ石神社にお参りをして、
七ツ石小屋を経由して降りて行きます。
巻道と小屋の分岐から小屋までの登りは少しきついですね。
ここを登ると足に来て、
七ツ石山頂上で休むことになるでしょう。
でも、タイミング的にはそれでいいのかもしれません。

七ツ石山からマムシ岩までは50分ほどですが、
実は、この経路で2回道迷いをしました。
道迷いと言っても、尾根筋なので、
ちょっと外れただけですが。

1回目は前の人が間違えて直進してしまい、
自分も付いていってしまいました。
どこかで曲がって、
巻道と七ッ石山との分岐点に出るはずだったのですが、
道が薄いなあと思っていたら、
マムシ岩の地点に出てしまいました。
これはちょっとビックリです。


▲13:10 二回目の道迷い 中央に尾根筋を登れるようなトレースがある

 

2回目は、前の人も居なくて、
ちょっとショートカットしたのが原因です。
もしかしたら、その近道らしい道もどきは、
かつての尾根道なのかもしれません。
きっと誰かが見つけて、
近道しようとした痕跡があったのです。
自分は途中で外れたことに気づき、
無理矢理、登山道に戻ったのですが、
直進していれば尾根の上の場所に出てきたはずです。

尾根筋から外れると、残りはひたすら山道です。
下りだし歩きやすいので、自然と早足になります。

▲樹林帯の山道の谷側は急で、落ちたら止まりそうにない

 

でも、残り5㎞は思いのほか長くて、
いつまでたっても着きません。
同じようなくねくね道を果てしなく歩く感じです。
このあたりは歩きやすいのだけど、
谷側が意外に急で、落ちたら痛いじゃすみません。
注意書きもあるけど、
暗くなったりランしてる人は要注意ですね。

帰り道は、結局一人も抜かず、抜かされずでした。
(休憩してた2組を除く)
自分もそこそこ早歩きだったはずですが、
みんな速いのねぇ。
下山は14時15分、3時間15分(休憩込み)です。
往復21.6㎞をトータル7時間42分(休憩込み)でした。
8時間を切るということは、両神山より楽?

万歩計は4万歩を越えてました。

5㎞で1万歩くらいなのね。
 

自分でも少し戸惑うほどの早さでしたが、
足が慣れてきてるのですかねぇ。

最近、YouTubeをみると冬山にも興味があるのですが、
一応、今年の山行はこれでお仕舞いかなあ。



▲今年の最高写真 空中の落ち葉がポイント

 

なんだかんだ今年は、百名山を11座登れました。
来年はもう少し早くから山登りをして、
足慣らしをしてから遠いところに行きましょう。
まだ元気なうちに、
皇海山、平ヶ岳、光岳あたりを制覇しておきたいものです。

帰りは山梨側の道の駅に行って、
丹波山温泉 のめこい湯に浸かり帰りました。
日帰り温泉も今年は、20か所行くことができました。
今年も残り1か月、
温泉はあと2~3ヵ所増やしたいですね。
 

-了-

去年もそうだったんだけど、

今年の登山も終わり、とか思うと、

もう少し登りたいという気持ちと、

足が慣れてきて、「行ける」気がしてくるのよね。

 

で、次の休日の11月23日は天気が良くて、

どこか行く気になってたんだけど、

天気も良く21日も休めそうなので、

欲張って行くことにしました。

 

で、山梨の大菩薩嶺は候補なんだけど、

こういう簡単な山は後に取っときたい。

 

ということで、今回は雪のない丹沢に決めました。

 

とは言うものの、人気の海側から登るのは、

片道5時間だそうで、ちょっときつい。

調べていると、裏側から登るのが簡単らしい。

ちょっと駐車スペースが少なそうなので、

平日だけど、今回も早めに出ました。

 

▲タイムと距離は投稿者のもの。

 実際の距離は、片道8kmくらいかな。

 

今回の登山の特徴は、舗装された林道が長いこと。

上の地図だと、上側の直線部分5kmが舗装です。

 

▲紅葉が奇麗なのはいいですねぇ。

 舗装はされてますが、そこそこ登りがきついです。

 

ここを1時間ほどで登り、左(地図では下)に折れて、

1時間半ほどで頂上に着きました。

海側からの登りも階段が多いそうですが、

最後の階段は、なかなかの難物です。

▲登り切ると、また階段があるのがつらい。

 

 

▲頂上 背景に富士山が見えるはずなんですが・・・

 

ほんとなら、こういうすばらしい眺望のはずが、

頂上付近のみ、ガスって何も見えない。

風もけっこう強くて、気温は2.5度でした。寒い。

 

ということで、9時に登れたので蛭ヶ岳も行ければ、

とか思ってたんですが、今回は遠慮しました。

頂上で話をした若者は、海側の大倉駐車場から

4時間かけて登ってきたそうですが、

このまま行くそうです。

カレーが有名らしいです。

 

でも帰ってきてから調べると、

一時期、みぞれも降ってきたそうで、

早めに撤退したのは正解かもしれません。

 

▲登山途中の唯一の鎖場のあたりから

 下の望遠の写真は、横浜かと思ってたんだが、

 左に見えるのは東京のスカイツリーかな?

 

というこで、休憩もそこそこに下山しました。

下山したのは12時すぎ、6時間余りの登山でした。

往復16㎞ほど、今回から持ち歩いた万歩計は、

3万歩を越えてました。

 

下山してからは、

清川村ふれあいセンター 別所の湯で汗を流し、

道の駅でお土産を買い、

昨年、山ビルに悩まされた坂東6番長谷寺と

9番の星谷寺、座間神社などを参拝して帰りました。

 

-了-

 

 

11月も後半になり、

アルプスはおろか、

群馬の山々も雪が怖くて近寄れません。

 

ということで、関東最南端、伊豆半島の

伊東温泉から登っていく天城山に来ました。

 

11月14日は埼玉県民の日なので、

平日でも来られたのです。

 

ここの駐車場はゴルフ場が整備してくれてるみたいです。

ゴルフ場の誘導路に入っていいか分からず、

ちょうとだけ困惑しました。

でも、トイレも整備してあるし、有り難いです。

 

今回のコースは登山と言うより、

ハイキングくらいのつもりでした。

 

標高差も少ないし、標高も低いし、

周回で5~6時間です。

 

▲タイムは投稿者のもの。自分は5:15でした。

 

登山道は、根っこを避けながら歩くのが大変でした。

削れやすい土なのか、登山道のえぐれ方がひどいです。

特に、万二郎岳(ばんじろうだけ)までは登山者が多いらしく、

山には優しくないですねぇ。

▲万二郎岳から河津方面(たぶん)海が間近に見える山は貴重

 

万二郎岳から万三郎岳へは平坦かと思ってたんですが、

これが意外に上り下りが大変でした。

ま、そもそもそんなに高い山でもないので、

文句を言いながら登山を楽しんだという所です。

 

▲万二郎岳を少し下った所から、麓は沼津、三島、伊豆の国市付近

 今回のコースで富士山がよく見えるのはここだけ

 

ただ、雪を避けて伊豆に来たのに、

残雪があったのにはビックリでした。

 

▲紅葉と残雪と常緑のハーモニー

 

▲万三郎岳、天城山のピーク。

 

帰り道は山の北側に下り、山麓をトラバースしたんですが、

道が少々荒れ気味で歩きにくいかなぁ。

眺望もないので、ひたすら山道をさまよう感じ。

ピストンは面白くないという人も多いですが、

これならピストンの方が気持ちいいカモです。

 

帰りは伊東の道の駅で温泉に浸かり、

海鮮丼とウツボ丼を堪能しました。

やっぱり、海の近くはいいねぇ。

 

さて、慌てて百名山の簡易報告してるんですが、

今回の最高の風景は、行きの熱海の海で見た日の出ですね。

日本人は、日の出と夕日が大好き

 

-了-