「出向社員を派遣することは許されるのでしょうか?」
最近、こんなご質問を複数いただきました。
疑問に思っておられる方も多いと思いますので、ブログでもご紹介します
出向社員は、出向元と出向先との間に二重の雇用関係にあるので、原則的には出向社員を派遣社員にしても問題ありません。
しかし、派遣法の趣旨から考えると、
派遣の実態にあるものを形式上出向扱いとして、出向先の業務を処理するために出向料をとって派遣するという出向の形態の場合
は、やはり問題が出てきます
出向は、もともと法律によって禁止されている労働者供給事業の一形態ですが、
営利目的とはいえない企業グループ間の人事交流や技術提携などの目的がある場合
には、例外として適法化されてきました。
しかし、出向によって出向料を稼ぐというような営利目的の場合は、労働者供給事業として処罰の対象となると考えられます。
したがって、出向社員を派遣先に派遣してそれによって派遣料を稼ぐという場合は、
営利目的のための出向とみなされる可能性が高く、労働者供給事業を行っているものとして違法となる
という可能性が高いのです
仮に、転籍社員の場合には、もともとの会社との雇用関係はなくなり、今の会社とのみの雇用契約となるので、労働者供給事業であるという疑いが持たれることはなくなります。
しかし、派遣終了後はもとの会社に復帰するという契約であった場合には、実質的には「在籍出向契約」があったとみなされる可能性が高いです。
その場合、出向(転籍)契約は、
派遣先に派遣することを目的に出向で労働者を受け入れたということで、やはり労働者供給事業を行っているものとして違法となる
と考えられるでしょう
ちょっとややこしいですが、
出向や派遣の実務に関わる方には、押さえておいていただきたいものです