昨日18日、偽装請負に関する最高裁判決が出ました。


 パナソニックの子会社に勤務していた男性が、「偽装請負」を内部告発した後に不当解雇されたとして、直接雇用の確認などを求めた訴訟の上告審です。


 最高裁は、原告の訴えをほぼ認めた大阪高裁判決の一部を破棄し、被告の直接雇用義務を認めず、未払い賃金支払いの請求の訴えも退けました


 ひとことでいえば、原告側の逆転敗訴です。




 ただ、原告が被告にだけにまわりと異なる作業をさせたことを、「告発への報復」と認めた高裁の判断は支持し、慰謝料90万円の支払いを命じました。


 原告の労働者派遣法違反を指摘し、最高裁として初めて「偽装請負」を認定した判例としては、非常に意義がきいと思います


 最高裁は、「偽装請負」と認められた場合、請負会社と結んだ雇用契約が無効になるかどうかについては、労働者派遣法の趣旨を踏まえ、「派遣法に違反したとしても、特段の事情がない限り、それだけでは請負会社との雇用契約は無効にならない」と判断しました。


 原告と被告との関係については、「採用や給料の決定に関与しておらず、雇用契約は暗黙のうちに成立していない」と評価したのです。




 たとえ「偽装請負」であったとしても、原告と請負会社との雇用契約は有効で、被告との直接雇用は成立しないという最高裁の判断は、きわめて妥当なものだといえるでしょう

 大阪高裁は、「偽装請負」と評価される場合、原告と請負会社との雇用契約は無効であり、被告との間に、直接雇用義務が生じると判断していましたが、これ自体とても問題の多い判決だったと思います。


 


 とはいえ、今回の最高裁判決は、「偽装請負」をめぐる裁判所の判断として、きわめて重い内容のものです。


 今後、全国で提起されている「偽装請負」をめぐる訴訟の動向に、大きな影響を与えていくことは間違いないでしょう。



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