NHKドラマ10「団地のふたり」が2週飛ばしになったので、待ちきれないファンの期待に応えスピンオフストーリーを作りました。
その前に、今週はなっちゃんのご褒美お料理からご紹介します。

NHKドラマ10「団地のふたり」第4話スピンオフでは、土用の丑の日はとっくに過ぎてしまっていますが、うなぎ弁当が登場します。
浜松産のうなぎは身がふっくらとして、多少小ぶりではありましたが、大変美味しゅうございました。
生チューバーなっちゃんの挑戦!

ネットのフリーマーケットに始まり、オリジナルプリントTシャツの販売に手を出し失敗し、一時はどん底に突き落とされた感のあったなっちゃんでしたが、それならばと始めたのが生チューバー。
これならば、自分の姿をネットで生配信するだけなので、経費もあまりかからず人気が出て投げ銭が飛んで来ればまるもうけ。
配信チャンネルに登録し、自分のイラストの宣伝も兼ねて!オリジナルプリントTシャツを身にまとい雑談配信から!
そう考えて始めてみたものの、思ったようにはアクセスは伸びず、お散歩配信や得意のお料理配信、果ては山手線一周徒歩配信と、手は尽くしたものの、来てくれるリスナーは1桁に留まっていました。
野枝も「あたしは映さないでね」と言いながらも、アイデアだけは貸してくれています。
しかし、いつも期待を打ち砕かれる残念な結果でした。
「アクセスどうやっても増えないね。こうなったらあれしかないよ」と野枝。
「あれってまさか、水着配信とかはイヤだよー。」
「誰が50代のおばちゃんの水着姿が見たいと思う?」
なっちゃんは自分のでっぷりとしたお腹を見つめ「それもそうやね」とため息をするばかり。
「わたし、ほかのアクセスの多い生チューバーの人たちの配信を見ていて気が付いたことがあるの」
「どんなこと?」
「アクセスが伸びている配信者に多いのは登山。それも富士山を登る様子を配信する人なのよ。声援がすごいし、投げ銭も飛んでいるのね」
富士登山と聞いて最初、ひるんだような顔をしたなっちゃんでしたが、投げ銭が飛ぶというあたりから身をのりだしてきました。
「でも、登山靴もないしリュックや登山用の服も新しく要るしね」
「それなら大丈夫、うちの親のがあるのよ 最近はもう使ってないみたいだし貸してくれるわよ」
「一人で登らせるつもり?」と奈津子。
「いやいやいやいや なっちゃん知ってるでしょ、あたしはスポーツとか苦手だし、登山なんてとても無理。」野枝は自分で提案はしたものの逃げ腰です。
「もし、あたしが遭難でもしたら太田野枝から進められて登りましたって救助隊の人に言うからね。 よくテレビのNEWSでいるでしょ。救助されてインタビュー受けてる人。」と奈津子の攻勢は止みません。
「じゃ今の富士登山は無しにしてよ」
「あっそう、ノエッチの夕ご飯は明日から無しってことでいいわね」
「それ困る!なっちゃんのご飯がなくなったらあたし何を楽しみに生きればいいの?」
「じゃ、富士登山配信のサポートよろしくね」
「やっぱりあたしも登るの?」
「あたり前田のクラッカー!大丈夫、いまどきのアイドルだって富士山の頂上まで登っているんだから」
「あれは番組企画でしょ。スタッフとかがたくさんいておまけにヘリコプターとかで登っているのよ。きっと」
「もう観念しろ!」
こうして、なっちゃんとノエッチは富士登山配信に挑戦することになったのです。
富士登山当日

ノエチは、父の昌夫から借りてきた軽自動車の助手席になっちゃんを乗せて、富士山御殿場口新5合目に向かっています。
3つある富士山の登山ルートのうち一番傾斜が緩やかとのネット情報を見つけ、ノエチが提案したコースが御殿場ルートでした。
なっちゃんも、吉田ルートは団体客が多くて混み過ぎるし、富士宮ルートは傾斜が急で初めからキツそうだし、生配信するには空いている御殿場ルートが一番いいわ!と簡単に決まったのです。
そのことで思いもよらぬ結末となるとは、二人はこの時、考えもしませんでした。
午前7時に御殿場口新5合目の駐車場に車を停めると、ふたりはノエチの両親から拝借してきた登山靴、ヤッケ、登山ズボンを身に着け、それにリュックを背負いとツバの大きい帽子をかぶって登山用のステッキを持ちました。
7.9合目の山小屋・赤岩八合館に泊まる予約をしているのでリュックの中身は、比較的軽い持ち物でいいと考えていたのですが、昌夫から夏と言っても富士山の標高では防寒具は必須だとか、山小屋止まりでもシュラフがないと湿気のある布団に寝ることになるとか、いろいろアドバイスされて、結局リュックはパンパンに、背負うとヨロケルホド重くなってしまった。
「こんな重いのムリだわ」ふたりとも車の中に防寒具とシュラフは置いて、
「天気もこんなに快晴だし、こんなもの要らないでしょ、お弁当とペットボトルの水があれば十分や」と歩き始めました。
駐車場からしばらくは砂利の混じったゆるい傾斜の登山道が続きます。
「ピクニック!ピクニック!富士登山って思ったより楽勝じゃん」ノエチの声が弾んでいます。
なっちゃんは、登山路の脇に下向きに咲く釣鐘状で青紫色の可愛らしい花をみつけ、摘もうとしています。
「ホタルブクロよ きっとこの花」メルカリで買った富士登山のガイドブックを見ながらコラム欄の花の写真と目の前の草花を見比べながら言った。
そこにノエチのとがめる声が「なっちゃんダメダメ!国立公園内の高山植物を摘んだら捕まるよ!」
「えっ、そうなの?帽子の飾りにひとつだけ付けようとしただけなのに...................」と残念そうな声でなっちゃん。
「そんなことしてたら、花摘みましたって言っているようなもんじゃないダメ!」ノエチはキビシイのです。
そんなこんなで、ならばとなっちゃんはスマホで花や風景写真を背景にツーショット撮影しながらふたりは、標準ならばゆっくり歩いても10分で着く大石茶屋までの500m弱の距離をなんと40分もかけて歩いています。
ピクニック気分のふたり、「♪丘を越え行こうよ~♪口笛ふきつつ♪空は澄み青空 牧場をさして♪歌おう ♪ほがらかに ♪共に手を取り♪ ♪ラン ララランラン ララ.................♪」
実はなっちゃんもノエチも、初めて富士山に登る興奮で生配信することをすっかり忘れていたのです。
そのことに気が付いたなっちゃんは、途中から駐車場まで戻り、生配信をスタートしたのでした。
ノエチは戻らず待つことに。
ようやく大石茶屋に着くころには、ずっと喋りながらの配信ですっかり喉が渇いてしまったなっちゃん。
「ここで一回休憩入れてちょうだい!」なっちゃんが叫ぶようにノエチに訴えます。
「仕方ないわね 5分だけよ」実はノエチもちょっとだけ栄養補給がしたかったのです。
どっかと、大石茶屋の前に設えられたベンチに腰を下ろしたふたり。
リョックから水を取り出し、飲むふたりでした。
そして、ペットボトルを戻す時、ふと思いついたノエチ。
「荷物ちょっとだけ軽くしたいね。お弁当重くない?」
なっちゃんの方も、それには大賛成。
ふたりともリュックの中から、なっちゃんの作ったお弁当の箱を取り出し、開けています。
「わーご馳走じゃない うなぎのお弁当!やったー!」ノエチは大はしゃぎ。
そして、ちょっとだけ軽くするはずのお弁当は瞬く間にカラッポに。
「茶屋でおにぎりでも買って、持っていけばいいか」となっちゃんのうなぎ弁当も空になります。
ペットボトルのお茶も買い足して、再び配信登山開始。
ノエチが数メートル後ろでサポートする体制で配信はまた始まりました。
ところがなっちゃんの歩きがおかしいのです。
まだ登山道はほぼ平坦なのですが、前に進んでいないのです。
どうしたのかと、ノエチがなっちゃんの様子を見ていると、なっちゃんは振り返り両手で✕印のサインをノエチに送ってきます。
何があったんだろう?
ノエチはなっちゃんのいる場所まで進むと、足が路面に沈んで同じように前に歩けないのです。
そこは砂地の始まりでした。
御殿場ルートの難点は、砂が深くて地面に足がのめり込んでしまう事です。
しかも2、3歩、歩いただけで、砂が登山靴の中にまで入り込みとても気になります。
よく見ると、追い抜いてゆくほかの登山者はみな地面の硬い踏み跡を選んで歩いています。
しかもみな砂よけのスパッツを足に巻いているのです。
「あれ持って来てないよ」ふたりは後悔します。
親から渡された登山用具入れの段ボールの中に確かにスパッツらしきものは入っていたことを思い出すノエチでした。
「やっちまったね」なっちゃんも立ち止まったまま後ろを振り向いています。
「うん そうしよう!」二人の意見が一致しました。
大石茶屋に向かって大股で引き返し、ベンチに座るや否や大声で、「ビールをジョッキで2つお願いします!」
朝の9時前でしたが、ふたりだけの大宴会はここから始まりました。
もちろん、今夜は車中泊。
まとめ
「生配信で朝の富士5合目から大宴会!」そのタイトルで配信された酔っ払いふたりの姿は全国に流れ、なんと!過去最高となる4桁アクセスがありました。
山小屋はキャンセルとなり予約金没収、入山料も返してもらえませんでしたが、配信中ずっと飛び続けた投げ銭で取り戻したそうです。