エピソード22  「光の射す方へ」











      

暗い竹藪に小さな光が射す…そして






「……ハァ…涼しい」








私を包み込むように風が吹いた…。









心地よい風は









私の顔を射していた光をゆっくり動かしていく







「………。」









キラキラ輝く光の線は風に流されながら









倉庫の階段を射し止まった…









「あれは…確か繭を育ててた…」









引き寄せられるように光の線を追いかける。




「カンッ…カンッ…」








倉庫の外階段をのぼると少し錆びた階段は鉄筋の音がした…








「カンッ…カンッ…」









「懐かしいな…ここでよく遊んだっけ…」









幼い頃の記憶が再び蘇る…




































エピソード23「楽園」











「まるでお花畑ですね🌼✨」









今年も庭中に咲き誇るコスモスの花達。






この家は一年中花に囲まれる。









けれど本当は…










目の裏に残る残像を消す為に









花を植え続けた…だけ。









長く長く続いた闇の中の作業は





私の心と身体を蝕んで…いく









どんなに綺麗にしても









吐き気のする残像が









おぞましい光景が消えてくれなかった。




ゴールの見えない道のりに









ひとつ、ひとつ祈りながら









花を植えていく









「どうかもう一度あの家に戻りますように…」










そして気がつけば










私のワンダーランドへなっていた。





ただ美しいだけでない闇の先にあるワンダーランドは









決して揺るがない大地となる…。









暗闇の中にある本当の美しさ…手に入れよう









美しいだけのつまらない世界を飛び出すのだ


































「記憶」  エピソード24












昭和58年。






「カンッ!カンッ!…カンッ!!」










倉庫の階段を駆け足でのぼる。










「おばあちゃん!蚕は?!もう運んだ?」






「この足音はゆみちゃんかな?思ったらやっぱりそうか(笑)」










蚕上げの日。

(※「お蚕上げ」蚕が繭になる前に綺麗な繭玉を作られてる為、蚕を囲の中から箱に移動させる。)









学校が終わると一目散に祖母の家に向かう。









「蚕は?どこ⁉︎」









「もう少しで運ぶから、おじいの所へ行ってみ」








「分かった!」








「カンッ!カンッ…カンッ!」





「そんなに走ったらあぶねーぞ(笑)」









祖父母は大きな農家で蚕と米を作っていた。









「おじいちゃんっ!!手伝いにきたよ!」









「おぅ‼︎ ゆみちゃん来たか!」








「うん!」









私が…私らしくいられた場所





ただそれだけで








「ゆみちゃんは偉いな!」









祖父が私の頭を優しく撫でる









「ふふ…(笑)」









そこにいるだけで良かった…場所





「冷蔵庫にサイダーあるから飲みな」








「うん!」









ここは私のワンダーランドだった…























第八章に続く