試写会「呪怨 バンデミック」
とにかく怖いという噂のシリーズ。
意を決して見に行きました。
というのもワタクシ、筋金入りの怖がり者。
どれくらい怖がりかというと、子供の頃、子供たちだけでよく行った浅草花やしきで、スリラーカーという乗り物に乗るタイプのお化け屋敷で、ずーっと目をつぶって下を向いていたくらい。(何のために乗るんや!)
夏の夜の怪談噺では、いっつもトイレに行けなくなってたし、天井の木目がいろんなものに見えてなかなか眠れなかった。
映画でも『リング』を劇場で観た時は徐々に後ろの席に下って行ったし、『シックス・センス』を観た後は、家のバスルームで目をつぶって頭が洗えなくなった。
今度は何ができなくなるんだろう?
どうやら伽椰子というのが怖いらしい。
その息子の俊雄も。
そこまで覚悟して観に入ったわけです。
で、観た感想は……「なんか可愛かった」。
確かにびっくりしますよ、突然顔が出てくれば。
いつの間にか足下に子供が座っていてもドッキリですよね。
でもね……出すぎ。
日本的に言えば「間」がないんですよ。
鈴木光司さんの小説で「仄暗い水の底で」という傑作があります。
ホラー短編の連作なんですが、その最初の表題となっているエピソードが、すご~く怖いんですよ。
僕は満員の山手線の車内で読んだのに、怖くて仕方なかったくらい。
だからといって、何も出てこないんです。
何も出てこないのに、出るかもしれないものがものすごく怖い。
本当の恐怖は見えないものにあるんです。
でも、今回の伽椰子さん、大サービス。
子供も大忙しです。
「出るな」と思うとこにはちゃんと出るし、思わないところもサービスで出るし。
クマのできた目ですら「働きすぎじゃない」と突込んでしまいそうなくらい大活躍です。
段々見ているうちに、人って慣れるもんで、なんか可愛く見えてくるんですよね。
試写会の後、話した宣伝会社の人も「伽椰子“ニャー”とか言ってましたよね」と盛り上がってしまったくらい。(猫ひろしか!)
まあ、もう5作目だから仕方ないんでしょうけど。
5回もやってたら、そんなに奥ゆかしくやってられないですよね。
はっきり言って、今回怖くないのが失敗だとしたら、作らせたヤツが悪いです。
でも、ジェイソンみたいな路線ならありですよね。
『13日の金曜日』も、最後はジェイソンがアイドルになったし。
伽椰子や俊雄がアイドルになるなら、このシリーズはありですよ。
とりあえず、僕にとってはトラウマにならなくてよかったです。
で、第1作とかはやっぱり見ないようにします。
トイレに行けなくなったら困るしね。
★☆☆☆☆
試写会「幸せの絆」
大ヒットした中国での謳い文句は「“大催涙弾”映画」(すごいベタさ!)。
2500万円という低予算の製作費で大作『HERO/英雄』に、興行収入で勝ったそうです。
幼い孤児の女の子と優しいおじいさん。
舞台は中国の貧しい農村。
行き倒れの少女をおじいさんが引き取って……。
まあ、それは泣けるわな。
高をくくって見に行ったけど、案の定いきなり泣かされました。
とにかく主役の小花(シャオファ)が、かわいいんですよ。
見た目がかわいいだけじゃなくて、性格も良くて、笑顔がかわいくて。
分かりやすく言うと、すっごくかわいくしたチャングム(韓国ドラマの『チャングムの誓い』です)の子役っていう感じ。
ストーリーも古典的な、主人公いじめられモノ。
主人公の苦難を優しい人たちが救うのも泣けるんだけど、それ以上に女の子がかわいいというだけで、こんなにも泣けるものなのか。
子供の笑顔だけでこんなにも胸に迫るものなのか。
登場人物、泣きすぎやろ!
心の中で突っ込みながら、ハンカチが放せないワタクシ。
モノが少ないほど、人って大事なものが分かるんですよね、きっと。
貧しい村で、玉子や米がいかに大事か。
自分を守ってくれるおじいさんを、心から愛しているか。
家を守ってくれる子供がどれだけ貴重か。
大事な人がくれた思い出の品が、何者にも代えがたく暖かいか。
なーんてことは今だから考えますが、その時はじいさんと小花を、うるうる応援してました。
それにしても、じいさんが生きているっていいなー。
★★★★☆
試写会「傷だらけの男たち」
先日紹介した「消えた天使」でハリウッドデビューを遂げた、アンドリュー・ラウ監督。
主演は「インファナル・アフェア」のトニー・レオンと、日本でもおなじみの金城武。
かつては刑事として上司と部下だったヘイ(トニー・レオン)とポン(金城武)。しかしポンは恋人が自殺したことにショックを受け、警察を辞職。アル中の私立探偵に成り下がっていた。
そんなある日、ヘイの義理の父親である億万長者のチャウが、使用人と共に惨殺される。
犯人として浮かんだのは2人のチンピラ。
警察が突き止めた頃には、2人は仲間割れで死んだ後だった。
しかし父の死に不審を持つヘイの妻・スーザンはポンに事件の真相の調査を依頼する。
ハリウッドでは勝手が違う感じだった監督。
やっぱり香港だとのびのびしている感じですね。
慣れ親しんだ感じで生々しい血糊やら、殴り殺すリアリティーやら、インファナル・アフェア・ワールド全開です。
実は新犯人は、観客にはあっさり明かされるのですが、ドラマはそれからが始まり。
悲しい物語が、次第に浮き上がっていきます。
トニー・レオンの深い絶望感に満ちた表情が、どこかお気楽な金城武と対称的で印象的です。
僕だけかもしれませんが、それにしても、中国系の名前は区別がつきにくいです。
ヘイ(本名はラウ)、ポン、チャウ、チョイ、フォン……だんだん誰が誰だったか混乱してきます。
しかも今回は、名前が大きなプロットになっているので、そこを間違えると肝心な部分で戸惑います。
これから見る人は注意しましょう。
ちなみに、もうディカプリオ(最近レオ様って言わなくなりましたね)でのハリウッドでのリメイクが決まっているそうです。
★★☆☆☆
試写会「スクリーミング・マスターピース」
モーニングに時々掲載される『不思議な少年』というマンガが好きです。
時空を超える能力を持つ少年が、いろんな時代のいろんな人生に出会う話です。
前回はこんな話でした。
現代の学生である少年はいかめしい大学教授に「人類最大の発明は何か?」と問われます。
その発明の誕生を見届けに少年が訪れたのは、まだヒトが言葉すら持たない原始の時代。
部族同士の殺し合いが日常の時代に、争いを好まない若者がいます。
でもある日、敵が攻めてきて、その若者は敵と戦わないうちに大事な女性を殺されてしまいます。
「お前もついに戦うのか?」
少年は問いかけます。
男は涙を流しながら女を肩におんぶし、大木を登っていきます。
天にまで届くような大木です。
すでに事切れた女を大事に抱え、木のてっぺんに到達した男は、天に向かって叫びます。
その声はいつしかメロディーとなり、戦う男たちは戦うことを忘れて立ちすくみました。
現代に戻った少年は教授の質問に答えます。
「歌です」
「なんてあきれた答えだ! 正解は宗教だよ」
教授は一蹴しますが、少年の耳には太古の男の歌が聞こえています。
この映画も、古い神話の歴史の遺伝子を持つアイルランド音楽のドキュメントです。
正式国名アイスランド共和国は、わずか人口30万人の小国。
面積は北海道より少し広いくらいで、首都はレイキャビク。
9世紀にノルウェーなど北欧からやって来た人たちが、同時に連れてきたアイルランドやケルト系の民族を伴って建国したとか。
驚くのはアイスランドの音楽人口。
わずか30万人の人口の国で、音楽学校が90校、交響楽団と軍楽隊が400団体あり、合唱団員が6000人いるのです。
加えてロックバンド、ジャズ・コンボDJは数知れず。
アイスランド人にとって、音楽は聴く以上に、自らパフォーマンスするもののようです。
オープニングの大自然を空中から映したスピーディーな映像にかぶさるのは、リームルというアイルランド特有の歌唱法。
北国の神話や歴史を語り継ぐ伝承芸術で、朗々と力強く、祈りのように神秘的です。
この伝統が音楽のベースにあることが、続々登場するミュージシャンを聞くとよく分かります。
この映画ではアイルランドのインディーズ・シーンをメインに、世界で活躍するミュージシャンも登場しますが、やはり白眉はビョークです。
呪術のようなメーク、神への祈りのような声、野生動物のような動き……すべてが神聖で、我を忘れて引き込まれます。
マジで、ビョークを聞くだけでも価値のある映画です。
その彼女が嫌いな歌があるそうです。
「世界の国歌って、どれも一緒。
排他的で好戦的で。
どれも同じ歌の変奏曲だわ」
「君が代」は平和的な歌詞だといわれていますが、元の歌の「君」は「民」のことだったとか。
それが最近の国旗国歌法で「君は国民の象徴としての天皇」と規定されたそうです。
でも、日本には外国人も住んでるし、いろんな民族もいるし。
彼らにとっても祖国ですよね。
グローバル化なんて言葉のなかった昔にそう決めるなら分かるけど、今の時代に決めるかなー?
なんか変だよな~。
★★★☆☆
試写会「ラッキー・ユー」
ポーカーをテーマにした、父と息子の親子ドラマです。
ラスベガスでプロのポーカープレーヤー(ラスベガスでは職業なんですね)で生計を立てる若者・ハック。
普段はポーカーフェイスで勝ち続ける彼のコンセントレーションにも、弱点がひとつあった。
やはりポーカープレーヤーである父親だ。
ハックの父、LC・チーパーは、ポーカー世界選手権を2度も制覇したことのある世界的プレーヤー。
元は大学教授であったが、ポーカーにのめりこんだ揚げ句、妻の財産まで使い果たして離婚した過去を持つ。
その母親は、離婚してほどなく亡くなってしまった。
ハックにしてみれば、母親と自分を棄てた憎き父親だ。
それまで冷静に勝ち続けていても、父親の顔が見え、超初的に口を出した途端、冷静さをなくし有り金を失うこともしばしば。
分かりやすく言うと『美味しんぼ』の海原雄山と山岡の関係を思い浮かべてもらえれば、そのままです。
恋愛にもクールなハックが、ふと魅かれてしまう女性・ビリーが、山岡の同僚・ゆう子。
『巨人の星』で言えば(年齢が分かるなー)一徹と飛雄馬と明子姉ちゃん。
国境や時代を越えて通用する、古典的テーマなんですね。
分かりやすいストーリーとありがちな展開。
ありがちなエンターテイメントかなー、と思って見ていたけれど、予想外に段々と引き込まれてしまいました。
その理由はポーカーの勝負の臨場感。
この映画で取り上げているのは、テキサス・ホールデムというポーカー。
ルールは手札にブラインドで2枚のカードを持ち、場に3枚のカードをオープンする。
場のカードはプレーヤー共通で、それと手札で役を作る。
ベットしながら1枚ずつ2枚のカードを新たに場に開き、その度にコールかレイズか降りるかを繰り返す。
最後に勝ったものが掛け金を総取りできる。
7枚のカードから5枚で役を作るので、大きい役ができやすい。
しかも5枚のカードは見えているので、そこで相手のカードを読む心理戦が勝負のカギになる。
ラストの世界大会のシーンは圧巻だ。
スタッフロールを見て納得した。
本物のポーカープレーヤーたちが自分役で、山のように出演しているのだ。
野球映画にボンズやジョンソンやAロッドが、相撲映画に朝青龍や白鵬や式守伊之助がそのまま出演しているようなものだ。
巨額の掛け金が瞬時に動くポーカーの迫力に、映画を忘れて見入ってしまった。
おしゃれで洒脱で女に優しくて、ポーカーでは容赦しない強い父を演じるロバート・デュバルが実にカッコいいです。
こんなオヤジになれたらいいなー。
でもって、恋人役のドリュー・バリモアがやっぱりかわいいです。
「ラブソングができるまで」でも思ったけど、彼女はアメリカの無邪気でストレートで、情にもろくてかわいい女を演じさせたら、ピカイチですね。
帰って息子とポーカーでもやるか!
★★★☆☆