著者は韓国の詩人、リュ・シファさん。
インドを旅したときの出来事や、出会った人たちとのエピソードが綴られている、旅エッセイだ。
本の帯に「インド流究極の悟りー何があってもノープロブレム!」等々書かれているけれど。
登場する人たちが語る言葉は、心の奥にスッとしみこんで、まさに気づかされることばかり。
そんな言葉が書かれたページにふせんを貼っていたら、けっこうな数になってしまった。まだ半分くらいしか読んでないのに!
何ごとにも動じない人、見目麗しい人、心が美しい人、ユニークな人、ちょっとゴウインだけど憎めない人・・・
個性豊かな人たちとの出来事を、温かいまなざしと、ユーモアあふれる文章でまとめあげた、詩人リュ・シファさん。
混雑した汽車のなか、訪れた土地の風景、色とりどりのサリーが行きかう様子、ガンジス川に集まる人々、キンセンカの首飾り・・・
光景が目の前に広がってくる。
たとえば「マンゴージュース」という話し。
汽車がしばらく停車している隙に、駅外にマンゴージュースを買いに行った〝私〟。
時間を気にする〝私〟に、年老いた店主は悠然と対応する。
汽車がいつ発車するかわからない緊迫感と、揺るぎなく自分のペースを守り通す店主のちぐはぐさ。そのハラハラ感といったら!
このさなか、老店主が言った言葉が、後でじわじわと効いてくるのだ。
著者紹介によると、1989年から毎年インドを訪れているそうだ。
文章の行間から感じられる〝信頼感〟は、長い年月を経てこそのものだろうか。それがまた心地良いいと思う。
今私は、インドの旅の途中。
これからどんな出会いが待っているんだろう。
さっ、本に戻らなくちゃ👓