稼頭央がこのごろしゃべらない。
「ごぁん」といって、毎回ごはんを催促したのに、このごろは「にゃーにゃー」とネコみたいに鳴く。
いつからだろう。。。
これって「魔女の宅急便」のジジの状態と似ていて、さみしい。
稼頭央は獣医さんが保護していた♂ネコで、9か月で譲り受けた。
ちょうど松井嫁頭央選手がニューヨークメッツに移籍した年、
名前を決めかねていた先生がひらりとめくったスポーツ新聞に
「稼頭央」の文字が躍っていた。
名前はあっさり決まったらしい。
虐待のあとがみられることと、凶暴すぎて
一度もらわれたおうちから返された子で
その境遇があまりにもかわいそうで、譲り受けた、というのでは決してない![]()
たまたま友達のニャンがかかっていたその病院に
つきそっていって、勧められ、
断りきれずにもらうはめになった、だけのことで
だけど、もらってはきたものの、稼頭央は部屋のすみから唸り声をあげて
近づくと襲いかかってくる。
その日から私の手といい、足といい、リストカットしたような傷が絶えることなく
つきつづけた。
この子とどうやって付き合えばいいのか。
毎日考えて、毎日悩んで、
しつけに精をだしたこともある。
もともと人間なんて信じていないような子に
そんなことは逆効果で、溝はますます深まった。
そのときに勧めてもらったのが「子どもが育つ魔法のことば」という本。
一日一回抱きしめてあげましょう。
褒めてあげましょう。
「愛している」といってあげましょう。
苦肉の策、ということばはまさに字のごとくである。
流血の惨事のなかにいた私を救ってくれたのだから。
膝に自分から乗ってくるようになるまで半年あまり。
稼頭央のつけた歯型のあとは、7年たっても、まだ私の手に残っている。
そっか、魔法が切れたのだ
にゃーとネコみたいに鳴いても、明日からは残念がらずに褒めてあげよう。
スキを見つけて襲いかかったりせずに、ちゃんと抱きしめてあげよう。
呼んで返事をしなくても、なんで?ときかずに
愛しているといってあげよう
