世界の鬼才達 ~ コーエン兄弟 ~ | コイケンの旅

コイケンの旅

大好きな映画の感想を中心とした、日々の感動を思いのままに綴った何でもアリの自己満足ブログです

みなさんも映画館やDVDレンタルショップ等に行った時、
見る映画に悩むことはあるだろう。


そんな時自分は監督で映画を選ぶことが多い。


とりあえず好きな監督の作品の中でまだ見ていない映画を探すのだ。


好きな映画に巡り会えたら監督名を確認し、同監督の作品を見ていくのは
ハズレの映画に当たらないようにするお勧めの映画の選び方だ。


今日はサイコ・スリラー映画の巨匠、コーエン兄弟を紹介してみよう。



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兄:ジョエル・コーエン 1954年11月29日生まれ アメリカ・ミネソタ州
弟:イーサン・コーエン 1957年9月21日生まれ アメリカ・ミネソタ州


兄のジョエルはホラー映画の巨匠サム・ライミと友人関係で、

「死霊のはらわた」の編集助手を務めたことがあるらしい。


サム・ライミ監督作品「シンプル・プラン」を見た時、

コーエン兄弟の作品とよく似ていると思ったことがある。


どちらが影響されているのかは分からないが、

サム・ライミもコーエン兄弟と同じ匂いがする監督だ。


ただコーエン兄弟とサム・ライミが違うところは、

サム・ライミが超常現象を題材とした作品が多いのに対し、
コーエン兄弟は徹底的に異常な人間の心理や恐ろしさにスポットを当てているところだ。


単純に恐怖を煽るのではなく、
どこかユーモラスに演出するのも特徴かもしれない。


デビュー作は1984年の「ブラッド・シンプル」。



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いきなりコーエン兄弟の世界感が満載のサスペンス物だ。


私立探偵のローレンというオッチャンが登場するのだが、このキャラが特徴的で面白い。


コーエン兄弟の作る映画の特徴として「登場人物が個性的」ということも上げられるだろう。


そしてコーエン兄弟の代表作といえば「バートン・フィンク」。

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この作品で一躍スターダムにのし上がった。


「バートン・フィンク」は1991年度のカンヌ映画祭でパルムドール他、主要3部門を受賞した。
3部門制覇は後にも先にもこの作品以外は無い。


登場人物の脚本家がホテルで締め切りに追われて執筆中、

隣りに滞在していた謎の男の出現をきっかけに
狂気の世界に引きずり込まれるという内容だ。


ラストシーンの「箱の中身」については、映画ファンの間でちょっとした論議なるなど

この映画の一つの見せ場として有名だ。


しかし自分はジョン・グッドマンのキャスティングを高く評価したい。



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ジョン・グッドマンと言えばアメリカの典型的な優しいパパというイメージがそれまで強かったが、

バートン・フィンクの中で彼はこれまでにないイメージを開花させ、

ストーリーの重要な鍵を握る人物となっている。


その後、コーエン兄弟は1996年の「ファーゴ」でアカデミー賞の脚本賞も受賞。



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その活躍で巨匠としての確固たる地位を築く。


主演女優賞を獲得したフランシス・マクドーマンドはコーエン兄弟の映画に多数出演。
その後ジョエル・コーエンと結婚している。


1998年「ビック・リボウスキ」ではジェフ・ブリッジスを主演に抜擢。

コーエン兄弟の作風にはとてもマッチしないであろうと思われる、

スマートな二枚目役が板についていたジェフ・ブリッジスをデブのダメ男として起用するところが

にくいキャスティングだ。



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この作品はこれまでの路線と違いコメディ映画となっている。

路線変更が祟ったのか興行的には今イチだったようだ。


2001年「バーバー」では白黒映画という試みをし

散髪店の店主(ビリー・ボブソーントン)の転落人生を見事に演出。



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自分はこの時脇役だった若きし日のスカーレット・ヨハンソンの演技が印象に残っている。



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今の彼女が了承するとは思えない体当たり演技が実はある。
彼女のファンの方は必見だ。


そして2007年。「ノーカントリー」では初のアカデミー作品賞を受賞。



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どちらかというとネガティブな作品は縁遠かったアカデミー賞の作品賞で、
サイコサスペンス映画がアカデミー賞を制覇したのは「羊たちの沈黙 」以来ではなかろうか。


しかしこの映画はそれに見合うだけの傑作だ。


映画史上最強の殺人鬼アントン・シガー(ハビエル・バルデム)が出会う人々の命を次々に
戦慄の恐怖と共に奪っていく。


彼の前では法や道徳、情に訴えることなど無意味だ。


圧倒的な力を持つ悪。


この映画を見ると信念をもった悪がどれだけ恐ろしいか痛感される。


自分はサイコサスペンス映画では間違いなく№1の映画だと思っている。


この映画は奥が深い。


まだまだ書き足りないので続きは別の機会にアップしてみたいと思う。

( 戦慄のサイコ映画 ~ ノー・カントリー ~  )

コーエン兄弟のアイデアはまだまだ留まることを知らない。


大抵の監督は低迷期を続けるブランクの時期があるものなのだが、

二人で作っているだけあってコーエン兄弟はスランプ知らずだ。

このままこの快進撃を続けて欲しい。