著者 :大崎善生
編集 :日本放送協会・NHK出版
発行 :NHK出版
2011/2/1 発行
 
 
2011年度のNHK番組で”知楽遊学シリーズ”は、 月:極める!、 火:歴史は眠らない、 水:こだわり人物伝、 木:仕事学のすすめ の各講座が放送されました。
 
こだわり人物伝の11人目として2月に登場したのが『升田幸三』でした。
 
 
案内役は 元『将棋世界』編集長の大崎善生氏です。
 

 
<今も聞こえてきそうな「ヴァッカモン!」>
 
<中学時代の「升田幸三」との出会い>
 
<「名人に香車を引いて勝つ」>
 
・・・この逸話にはちょっとした裏話があります。
 
・・・全文は「この幸三、名人に香車を引いて勝ったら大阪に行く」だと伝えられています。
 
・・・升田本人は、当時の心境については覚えていないと言い、あの世に旅立ってしまいました。
 
しかし、升田の書いた物差しの実物は、現在、妻の静尾さんが保管しています。
 
それを確認すれば真実がわかりそうなものですが、どうやら何か事情があるらしく、公開されていないのです。
 
私は、静尾夫人による升田の回想録(『好妻好局』)の編集を担当したことがあり、升田家にも何度も足を運び、ゆかりの品々も見せていただいたのですが、この物差しだけはだめでした。 ・・・
 
 
<「名人に勝つ」から「名人になる」>
 
升田が家を出た1932年当時、関根金次郎が(終生)名人として君臨していました。
 
升田は、大阪の木見道場に入門を許され、1934年(昭和九年)には晴れて棋士として認められます。
 
そして、翌1935年、関根名人が自ら名人位を退き、実力によって名人を決める「名人戦」がスタートしたのです。
 
 
<木村名人との「ゴミ・ハエ問答」
 
<「東」に対する「西」の激しい対抗意識>
 
<「木村よ、生きとれ!」>
 
「スズメ伝説」
 
<写真を撮ったら「ヴァッカモン!」>
 
<・・・「陣屋事件」
 
<「超名人」「名人の上」>
 
<「大山の息のかかった者か?」>
 
<背景にあったスポンサーの対立>
 
<升田はロマンを求め、大山は勝負に・・>
 
<序盤の升田、終盤の大山>
 
<升田にとって大山は不可欠な存在だった>
 
<時代が升田に追いついた>
 
「未来を見据える視点」と「常識を疑う姿勢」
 
・・・
 
 
多くの升田伝説がありますが、大崎さんが端的にまとめられています。
 
「升田幸三略年譜」 と 「谷川浩司九段が選ぶ升田将棋の一局」×4局 が添えられています。
 
升田先生の入門書としてお薦めのテキストです。
 
 
 
先ほど届いた『文藝春秋 新年特大号』巻頭随筆で、藤原正彦先生が 「将棋の世界を藤井聡太君が席巻している。・・・」 と書き出しています。
 
締めには”升田幸三元名人”の登場です。
 
将棋ファンには感動の一文でした。
 
 
 
大崎善生氏の著作は 「聖の青春」 を始め以下の作品もあります。