今日(3/26)は、第7期叡王戦本戦準決勝、佐藤天彦九段VS出口若武五段 戦が行われています。
 
両者は初対戦で、勝者は 決勝で服部慎一郎四段と対局です。
 
 
本書は『イメージと読みの将棋観①』に続いて、『イメージと読みの将棋観②』です。
 
「テーマ図」を見て トップ棋士のみなさん(羽生善治・渡辺明・谷川浩司・佐藤康光・森内俊之・藤井猛 )に 状況判断、考え方、指し手を答えていただく形式は同じです。



(まえがき)
将棋の戦法の流行はどうして変遷するのだろう?
それは、プロ棋士が勝ちやすい戦法を求めて使う戦法を変えるからだ。
では、「勝ちやすい戦法」とは何か?
それは、プロ棋士がそのイメージの中で持つ勝率の高い戦法のことである。
長年の経験から、同じ戦法の同じ序盤であっても、持っている勝率イメージは棋士によってかなり違うということが分っていた。
それを数字で示すことができたらどうだろう? ・・・
 
「5五の龍中飛車は成立するか?」
つのだじろう氏の『5五の龍』。
平成8年、☗深浦康市五段が羽生善治王位との第37期王位戦第1局でチャレンジしました。
結果は残念ながら?☖羽生王位の勝ち。
その前もその後も、この将棋はプロ棋戦には現れていないようです。
 
今は ゴキゲン中飛車が主流ですね。
 
「「将棋観」理想の持ち時間は?」(持ち時間が長いほど将棋のレベルは上がると思いますか?)
羽生 「現行制度で、一番納得がいく将棋が指せると思うのは、二日制9時間かなあ」
羽生 「一日制と二日制の将棋では、読みの厚みが違うという実感はあります」
 
佐藤 「持ち時間が長ければ長くなるほど、レベルが上がるというものでもない」
佐藤 「理想の持ち時間は二日制8時間で、朝10時対局開始です」
 
森内 「私は現行の持ち時間で十分です」
森内 「人間同士の対局では、たくさん考えたからいい手が指せるとも思えない」
 
谷川 「持ち時間が長くなっても、即内容が良くなるとは思えない」
谷川 「持ち時間は一日制なら6時間、二日制なら9時間。 これが理想というより限度でしょう」
 
渡辺 「二日制8時間か9時間で納得するしかないと思う。 現状は意外にいいと思う」
渡辺 「一日制だったら5時間か6時間は欲しいと思う」
 
藤井 「理想を言えば、三日制13時間でやりたい」
藤井 「一日制だと6時間がいいところでしょう」
藤井 「以後の国際戦は3時間が主流ですが、3時間は短いと思います」
藤井 「ただ、見ている人は楽。 その兼ね合いをどうするかという問題ですね」
 
藤井さんの三日制以外は 皆さん現状肯定・受入れ派です。
藤井先生、今でも同じお考えでしょうか?
 
「渡辺新手のその後」
平成20年の第21期竜王戦七番勝負第7局。☗羽生名人と☖渡辺竜王の「初代永世竜王」を懸けた世紀の対決で現れた、渡辺新手☖3三銀!
 
羽生 「なかなか先手を具体的によくするのが難しいんですよね」
佐藤 「ああ、これね。これは難しい」
森内 「なんとなく後手が頑張りすぎている気がするから、個人的には先手を持ちたい」
谷川 「これは先手勝率のイメージは52%です」
渡辺 「形勢は分らないけど、データとしては後手が勝っている」
渡辺 「自分の手を他の人にこれだけ指してもらえたら本望です
藤井 「僕は先手不満と見ている」
解説 「テーマ図は平成22年3月末までに21局指され、後手が16勝5敗」
 
「5筋位取りで勝てるか?」
藤井 「5筋位取りが指されないのは、羽生さんが指さないからでもある」
藤井 「居飛車党は贅沢なんです」
解説 「振り飛車党の藤井九段を除く5人の棋士の頭の中には、揃って「これでは勝ちにくい」というイメージがある」
 
「四間飛車に☗4五歩急戦」
渡辺 「普通の居飛車党はほかに有力な戦法がいっぱいあるから わざわざこれをやることはない」
 
「升田、中原をひねる」
渡辺 「升田先生の将棋?むちゃくちゃ強いですよ。 半分以上並べているけど、とにかく手が見える」
渡辺 「攻めの手は、大山先生より見えると思う。 手のなさそうなところに手を作る感覚は抜群」
渡辺 「自分も大山、升田を超えたという実感はない。 羽生さんでどうかなあ」
 
 
(終盤編)
大山、升田の両巨頭、天野宗歩、九代宗桂等々歴代トップ棋士の棋譜からのテーマ図は、先生方の答えが とても楽しめます。
 
指す将の皆さんには、お薦めです。
 
本書は『将棋世界』2006年8月号~2008年11月号、2010年1月号~6月号掲載に新題を加筆。

 

 


<もくじ>
まえがき  
第1章 序盤編
 テーマ1 5五の龍中飛車は成立するか?
  ・・・  
 テーマ15 復活した松尾新手
幕間  テーマ1「将棋観」詰みor必至
   テーマ2「将棋観」理想の持ち時間は?
   テーマ3「将棋観」序盤力or終盤力
第2章 中盤編
 テーマ1 大山-升田の名人戦
 テーマ1 渡辺新手のその後
  ・・・  
 テーマ12 5筋位取りで勝てるか?
 テーマ17 四間飛車に☗4五歩急戦
 テーマ18 升田、中原をひねる
 テーマ19 老名人の勝負術
幕間  テーマ1「将棋観」10年前の自分と勝負
   テーマ2「将棋観」10年後の自分と勝負
第3章 終盤編
 テーマ1 大山-升田の激戦
 テーマ2 升田幸三、驚異の構想
  ・・・  
 テーマ4 天野宗歩の攻め
  ・・・  
 テーマ9 大山康晴、神技の受け
 テーマ10 升田幸三、鬼の攻め
   
   
        著者: 鈴木宏彦/羽生善治・渡辺明・谷川浩司・佐藤康光・森内俊之・藤井猛 
        発行: 日本将棋連盟
        2010/5/31 出版