2022年1月13日、藤井聡太四冠は順位戦B級1組第11局千田翔太七段戦に112手で敗れ、A級昇級は見送りとなりました。
 
千田さんは藤井さんにAI導入を薦めた棋士です。
 
村山慈明七段の解説では、以前の藤井さんの対局に似た形があって、千田さんが藤井さん側を持っているとのことでした。
 
深浦九段が 2021年10月のNHK杯戦で 藤井さんに勝てた理由は 対局前 周到に戦略を練っていることが挙げられます。

 

千田さんにも同様のことが言えるでしょう。
 
そのAI導入による研究内容を明文化したものが本書です。


将棋世界の2021年1月号~12か月間掲載の『やねうら王と行く藤井将棋観戦ツアー』をまとめたものです。
 
将棋AIを用いて、藤井将棋を解析し、その読み筋や評価値を基に解説しています。
 
ここでは 1局面あたり10億ノード探索しています。
 
序盤、中盤、終盤毎に 分岐となる局面の候補手を挙げ 藤井さんの選択手を示し、谷合さんの解説が続きます。
 
総評として対局全体を通して流れの説明があります。
 
各対局毎の中表紙には、評価値グラフも添えられています。
 
裏表紙には「藤井曲線(評価値グラフ)」の説明です。
 
プロも読んだ『羽生の頭脳  全10巻セット』のように、藤井将棋を研究する棋士は きっと手にしているでしょう。
 
(あとがき)
現代将棋は人間とAIが作り出した芸術だ。 ・・・
 
藤井聡太竜王の将棋は その芸術の中でも傑作と呼ばれるものを数多く生み出している。・・・
 
これは将棋をよく知っている人ほど、どれだけ人間離れした技術なのか身を持って感じていることだろう。
 
本書はそういった藤井将棋の魅力を語る上での、新しい切り口を提示したつもりだ。・・・ (谷合廣紀)
 
 
「藤井さんの選択手」を伏せて 局面から「候補手」を考えれば、「次の一手問題」集です。
 
ただし 上級を通り越した”AI時代の”、”プロ向け” かもしれません。
 
 
順位戦B級1組のA級昇級争いが混沌としてきて、ファンの楽しみが増幅しました。
 
 
 
<もくじ>  
まえがき  
総論 AI時代に藤井聡太の将棋をみるということ
第1局 VS永瀬拓矢二冠
第2局 VS広瀬章人八段
第3局 VS長沼洋八段
第4局 VS杉本昌隆八段
第5局 VS佐藤天彦九段
第6局 VS豊島将之竜王
第7局 VS松尾歩八段
第8局 VS中村太地七段
第9局 VS八代弥七段
第10局 VS渡辺明名人
第11局 VS山崎隆之八段
第12局 VS稲葉陽八段
第13局 VS永瀬拓矢王座
あとがき  
  コラム1  メタコラム
  コラム2  観戦ツアーの生まれ方
  コラム3  締め切り日の水平線(1)
  コラム3  締め切り日の水平線(2)
   
   
  著者: 谷合廣紀
  発行: 日本将棋連盟
  2021/12/31 初版