1974年11月 初めて瀧澤武信(早稲田大学大学院生)らがコンピュータ将棋ソフト開発に着手(アマ20級) |
1996年 第1回「コンピュータ将棋選手権」 優勝:「永世名人(アマ2~3級)」 |
2005年 「TACOS」vs橋本崇載五段(橋本勝) : 連盟は対戦禁止 |
2006年 第16回「世界コンピュータ将棋選手権」 優勝: 「Bonanza」 |
2007年3月21日 「Bonanza」vs渡辺明竜王(渡辺一手勝) |
2010年10月11日 清水市代女流王将VSあから2010 一番勝負(86手で「あから」勝) |
2011年 「世界コンピュータ将棋選手権」 優勝: 「ボンクラーズ」(「Bonanza」ベースソフトのクラスタ並列化) |
2012年1月14日 第1回将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖VS「ボンクラーズ(勝)」 |
2013年3月23日~4月20日 第2回将棋電王戦 現役棋士5名VS.5ソフト (ソフト3勝1敗1持将棋) |
2014年3月15日~4月12日 第3回将棋電王戦 現役棋士5名VS.5ソフト (ソフト4勝1敗) |
2015年3月14日~4月11日 電王戦FINAL 現役棋士5名VS.5ソフト (ソフト2勝3敗) |
2016年 第3回将棋電王トーナメント優勝ソフト・ponanzaと、第1期叡王戦優勝者・山崎隆之叡王(八段)の対局 |
2017年 第4回将棋電王トーナメント優勝ソフト・ponanzaと、第2期叡王戦に優勝した佐藤天彦叡王(名人)の対局 |
<<人vsソフト の対局は終了しました。>> |
|
|
投了は敗者に課せられた義務である。 |
好きなときに終わらせることができる、 という意味では権利でもある。 |
|
コンピュータ将棋の特色の一つは、決して最後まで投げないことである。 |
もちろん、一定の評価値(形成判断を示す数値)を超えると投了するように設定すれば、最後まで指すことはない。 |
そうした設定がない場合には、最後まで指し続けることになる。 |
|
電王戦では、開発者に投了の権限が与えられている。 |
|
「わかりやすく言うと、 自分が命をかけていて、負けたら死ぬという状況で、 |
それは投げますか、 と言われたら絶対に投げないですよね。 |
命をかけて将棋を指している、 というのは、そんなにきれいなものではないと思うんです。 |
見ている方で (プロの指し方としては見苦しい、みっともないなどと) そう言われている方は、 |
ゲームとして見ているんでしょうね。 |
注目してもらっている対局で、ゲーム以上の重さはあると思います。 |
確かに将棋はゲームなんです。 |
でも、 そこに命をかけるのが棋士だと思います」 (永瀬拓矢六段) |
|
「負ければ死ぬようなきびしい味がなければならない。 しかし負けて死ぬようでは困る。 |
プロの将棋はこの二つの矛盾した命題を背負っているのです。」 (内藤国雄九段) |
|
|
格上相手に千日手ならば実質勝利、とする考え方もできる。 |
ならば 最初から千日手でもかまわない。 (稲庭将棋のコンセプト) |
(さらに洗練(先鋭化)させ) (対ソフトでしか通用しない考えです) |
「相手の時間切れによる勝利を積極的にめざす」 と明快に宣言しました。 (今野剛人) |
|
「最終的にはですね、 人間の棋譜を使わないで、 ルールだけ知っているという状態から強くさせたいんです。 |
いけるはずなんですよ。」 (西海枝昌彦) |
|
現在の多くの将棋ソフトは、Bonanzaメソッド(機械学習)によって得られた評価関数と、 ストックフィッシュ(stockfish:チェスのフリーソフト)を参考にした探索が、 車の両輪です。 |
|
「ストックフィッシュのソースコードを見たときに、気づいたわけです。 |
彼らはチェスを作ろうとしているんやないんや。 |
彼らは知能を作ろうとしてるんや。 |
彼らは知的な汎用エンジンを作ろうとしてるんです。 |
もっといえば、彼らは人間を作ろうとしてるんや、ということに気づいたんです。 ・・・」(磯崎元洋) |
|
「正直、 後手番が、これほどきついものとは思いませんでした」 (村山慈明七段) |
|
駒の利きの評価と 次元下げ が、評価関数のブレイクスルーとなりました。 |
|
「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、 |
将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。 |
でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」 (羽生善治名人) |
|
|
盤上・盤外を精力的にルポし、 「ルポ電王戦」を書きあげました 松本さんの次書です。 |
Web上には 松本さんの将棋記事で溢れています。 |
タイムリーな記事は いつも楽しませていただいてます。 |
|
<もくじ> |
|
前書き |
羽生名人が予言した2015年 |
第一章 |
幕を開けた真剣勝負 米長邦雄永世棋聖 vs. ボンクラーズ 伊藤英紀 |
|
第1回電王戦 |
|
「Bonanza」の衝撃 |
|
ボンクラーズ誕生 |
|
・・・ |
第二章 |
問いただされた将棋の伝統 塚田泰明九段 vs. Puella α 伊藤英紀 |
|
入玉、持将棋 |
|
名局か、つまらない将棋か |
|
コンピュータ将棋と投了 |
|
・・・ |
第三章 |
「ヒューマンエラー」を排して 森下卓九段 vs. ツツカナ 一丸貴則 |
|
人間のゲーム |
|
将棋の神様 |
|
・・・ |
第四章 |
新時代の参入者たち 斎藤慎太郎五段 vs. Apery 平岡拓也 |
|
居飛車と振り飛車 |
|
電王戦FINAL開催 |
|
・・・ |
第五章 |
棋士としての矜持 永瀬拓矢六段 vs. Serene 西海枝昌彦 |
|
プロの権威 |
|
先手と後手 |
|
千日手をめぐって |
|
稲庭将棋の衝撃 |
|
・・・ |
第六章 |
真のコンピュータ将棋とは 稲葉陽七段 vs. やねうら王 磯崎元洋 |
|
Bonanzaのソースコード |
|
チェスプログラムの開発の先 |
|
・・・ |
第七章 |
コンピュータ対策の真価 村山慈明七段 vs. ponanza 山本一成 |
|
最強ソフト、ponanza |
|
羽生名人との対戦への道 |
|
・・・ |
第八章 |
夢をのせた大一番 阿久津主税八段 vs. AWAKE 巨瀬亮一 |
|
AWAKE誕生 |
|
時代の頂上決戦 |
|
次のステージへ |
|
・・・ |
第九章 |
コンピュータ将棋の功績 開発者たちがつないだ襷 |
|
勝利の三角形 |
|
XデーとYデー |
|
高速道路の向こう側 |
|
後世に残るもの |
|
・・・ |
後書に代えて |
空を飛ぶ夢 |
|
|
|
|
|
|
|
著者: 松本博文 |
|
2014/6/10 初版 |
|
|
|