★『高齢化問題/元厚労事務次官の辻本氏が2020・30年問題を指摘
~高齢化、単身化が大都市を襲うと警告』~~その2

大前研一学長が試算したところ、高齢者人口の増加により、2030年には、介護従事者が325万人不足します。(※2030年における75歳人口に対する、介護従事者の割合が現在と同じ20%になるように計算)

現在の経済規模を日本が維持していこうとすると、2030年には労働力人口が介護とは別に約1000万人も不足します。

合計で、1300万人超もの労働力が不足することが、国立社会保障・人口問題研究所の資料から避けられない予測できる事実として明らかになっています。今から出生率を高めようとしても2030年までには現実問題として間に合いません。

すなわち、解決策は「移民」で補うことなしには考えられません。今から毎年、65万人ずつもの大量の移民を受け入れていかなければいけない計算です。

ところが、移民受入に対する拒否反応が根強く話題にも上らないのが現状です。本来なら、優秀な「移民」を厳選して、受入教育しながら少しずつ慎重に受け入れていくべきなのですが、いつかの時点で、日本国民だけでは社会を支えきれなくなります。
 
窮余の一策として一挙に大量の「移民」を受け入れざるを得ない日が日本に来るのは必至なのです。

★ 『移民を受け入れて共生する道をドイツに学べ』   

中規模国家ではドイツほどグローバル化に成功した国はない。私の見るかぎり、この15年ぐらいでドイツ国民がいちばん英語がうまくなったと言ってもいい。TOEICなどのテストでは、トップの常連である北欧やオランダに迫る勢いである。

結局、グローバル世界での武器の1つは世界共通言語の英語だから、ドイツ人とはいえ英語の勉強に必死になった。さらに、ドイツのグローバル化について説明しよう。ドイツではもともと大学の資格を得る「アビトゥア」という試験がある。

これは、この試験にさえ受かれば、大学はいつ入学してもいいというもので、これがドイツ人の学生に自由に与えている。

つまり、彼らは「アビトゥア」を取った後は、世界に飛び出し、世界中を見てまわる。世界どこをみてもバックパッキングをしているドイツの若者が多いのはこのためだ。

もう1つ、ドイツは移民大国である。これまでドイツはトルコ人をガストアルバイター(ゲスト労働者)として大量に受け入れてきた。その結果、ドイツの主要都市ならどこでもモスクがあり、トルコ人街があるようになった。

このトルコ移民たちに、ドイツは徹底してドイツ語とドイツ文化の教育をして、世界のどの国よりも温かい移民政策を取ってきた。今ではトルコ系の国会議員なども誕生している。

実際問題として、工場で働きたくないドイツ人の代わりに働いてくれるのは、トルコ人などの外国人であり、彼らはドイツに税金を払ってくれるうえ消費もしてくれる。
ドイツ国内は、これで活性化する。したがって、ドイツ人は彼らと共生することを学んできたのだ。

つまり、この2つのことにより、ドイツにはもともとグローバル化に対応できる下地があったのである。さらに移民問題で言えば、現在のEU経済を底辺から支えているのは、旧EU圏外からきた移民はほかならない。

たとえば、スペインは北アフリカなどからの移民を積極的に受け入れて産業振興を図った結果、急成長を遂げた。

しかも、2005年には、不法滞在外国人の約80%を合法化して受け入れている。これは窮余の一策としてもこうせざるをえない事情があったからだ。

もし、移民を受け入れず、自国民だけでやろうとしたらどうなるか?EU加盟国の中でも人件費がケタ違いに安い、たとえばルーマニアなどに、企業はどんどん工場を移転してしまうだろう。

したがって、ボーダレス経済においては、柔軟な移民政策で産業の振興を図り、消費や人口さえも増やしていく以外には生き残れないのだ。

そして、移民、異文化と共生することにより、国民意識が変わらなければ、国の繁栄は望めないということなのだ。われわれがドイツから学ばなければならないのは、この点である。

異文化を受け入れ、移民も受け入れ、共生できる社会をつくる。そのノウハウは、アメリカにもあるが、ドイツやスペインから同じような中規模国家として学ぶべきことは多いはずである。

もちろん彼らの引き起こす社会問題も無視できない。日本からこうした国の移民の実情視察に行くと、
必ずマイナス点ばかりを羅列して帰国報告する。

しかし、こうした国々が学習をし、前に進んでいっているのも事実なのだ。異なるもの受けいれ、共生する。これが21世紀の最も大切な学習のテーマなのだ。


★What does this all mean?~要するに何なのか? 

何時かの時点かで、人手が足りないことが大騒ぎになり、付け焼刃的に門戸を開放し、教育も受けていない、日本語が分からない、日本の社会風習を知らない移民が大挙して入国することになるのでしょう。

人手不足でどんな社会変動が起るのか、その先何時、移民に対して門戸を開放せざるを得なくなるのか、移民を大量に受け入れた後、どのような社会になるのか誰も正解を持っているわけではありません。

 過去の歴史や他国での事例や日本の状況を踏まえて、総合的に考えなければならないのです。
 
【今週のポイント】
・ドイツは移民大国である。トルコ移民たちに、ドイツは徹底してドイツ語とドイツ文化の教育をして、世界のどの国よりも温かい移民政策を取ってきた。

・ボーダレス経済においては、柔軟な移民政策で産業の振興を図り、消費や人口さえも増やしていく以外には生き残れない。

・移民、異文化と共生することにより、国民意識が変わらなければ、国の繁栄は望めない

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高齢化問題/元厚労事務次官の辻哲夫氏が2020・30年問題を指摘
高齢化、単身化が大都市圏を襲うと警告』
 
「国立社会保障・人口問題研究所 2008(平成20)年3月推計」によると、2030年の推計で、単身世帯が37.4%にまで増えると予想されています。

いま現在すでに、日本で最も多いのは単身世帯ですが(推計で31.2%)、今後もそれがさらに加速するわけです。

単身世帯が急増している原因は次の通りです。若者の未婚化・晩婚化のほか、若者だけでなく熟年であっても夫婦の離婚(離婚によって単身世帯が2世帯が生まれることがあります)や長寿化により、配偶者が死別してしまった世帯が増えています。

驚くことに、世界を見ると、日本を上回る “単身世帯先進国”が存在します。
 
 スウェーデン(46%)、
 ドイツ(39%)、
 ノルウェー(38%)、
 デンマーク(38%)
 ――がそれです。()内の数字は単身世帯割合。

これら、北欧諸国を中心とする“単身世帯先進国”の暮らしぶりは、日本のこれからの参考になるでしょう。
 
大前学長の解説は、以下の通りです。(約4分18秒)
 
  (11年01月09日放映「大前研一ライブ」より)

国立社会保障・人口問題研究所 2008(平成20)年3月推計