1989年2月26日ー深夜の思い出ー
きのは、がんばっていたね。
夜、人の寝静まった時に勉強する心地よさというものが、
わかってきたろう。
それに、少し、大人になったような気もする。
自分だけが、だれにも支配されない独自の時間を
生きているんだという感じかな。
むかしは、深夜放送などなかったから、一層孤独を
楽しみ味わった。
忘れられない思い出もある。
高校の受験のため徹夜の勉強しているときだった。
昭和18年ごろかな。
寝静まった街のどこからか、若い男の歌う声が聞こえた。
「湖畔の宿」 という、その当時、高峰三枝子が歌って
ヒットした物悲しい歌謡曲だ。
窓から見ると歌っているのは、隣の問屋さんの
住みこみの若い店員さん。
翌日、彼は召集され戦地に行った。
真夜中、街に別れをつげていたのだ。