1989年1月3日ー宮尾登美子「春燈」- | LETTER

1989年1月3日ー宮尾登美子「春燈」-

「春燈」はどうだった。

あのような世界が、日本にも、わずか、43年ほど

前まで、あったんだよ。


あれを書いた宮尾登美子も、自分の育った家が、

あんな商売をやっていたことに、ずっと憎み続け、

それを小説(「春燈」の前か後かに書いている。名前は少し忘れた)

に書くことで、肩の荷をおろしたという。


自分の娘を、ああいうところに売らなければならなったのは、

当時、ほとんど東北地方の人たちだった。

寒さのために、米の不作が続き、

その日その日の食べるものもなかったのだ。

「おしん」にも、そういう場面があったね。


いま、日本は豊かになり、あれほどの悲惨さは、東北にもない。

また、あんな商売も、戦後、法律で禁じられた。


昭和というのは不思議な年代だ。

明と暗とが、これほど見事に描き分けられた年代はあるだろうか。