追想五断章/米澤 穂信
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米澤穂信さんの 『追想五断章』 を読みました。



叔父の経営する古本屋に「腰掛け」で住み込みバイトをしている菅生芳光は、ある日、北里可南子という女性から、叶黒白(かのうこくびゃく)の書いた小説を探して欲しいと頼まれる。芳光は金目当てに引き受けるが、その小説は5つのリドルストーリー・結末のない五断章で、ベルギーで起きた未解決事件「アントワープの銃声」と関係していることを知る。



オビには、

米澤穂信が初めて 「青春去りし後の人間」 を描く

と、あります。


たしかに、その通りなのだけど、

主人公・芳光は大学休学中で、年齢的にはまだ20代前半。


それなのに、「青春去りし」と言われてしまうのは、芳光は、なんというか・・・・

「あきらめ」が漂っている青年です。だからでしょうか。



時代設定も、現在よりおそらく20年ほど前、バブル崩壊といわれている時代です。


セピアになるほどには色あせていないはずなのに、

この物語は追想だからなのか、時代背景のせいなのか、常に薄暗くくすんだイメージでした。



米澤さんの、とくに高校生を主人公にした作品は、

ちょっとイヤなヤツだとしても、憎みきれない愛すべきキャラが多いのに対して、

この作品は、芳光は、キャラというほどのキャラもなく、小説探しの依頼人・可南子も淡々としており、心象がいまいち見えません。


そこが、ちょっと残念だったかなー。


でも、だからこそ、「普通」な芳光は、「アントワープの銃声」という非現実的出来事に惹かれていくのでしょうが。



結末のない短編小説が、二重三重に意味を成していく展開は、すごくキレイでした。



読了して、また最初の序章を読むと、さらにため息・・・・でした。




KOI