ポップスのアレンジャーの僕がクラシックを学ぶためにやった10の事 | こおろぎさんち(旧)

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僕がクラシックを勉強し始めてから2年ほど経ちましたが、
やっと自分の出したい音が出せるようになってきました。前回のの作品はこちら

そこで、ポップスのアレンジャーの僕がクラシックを学ぶためにやった10の事
を書いてみたいと思います。

「クラシックをどうやって勉強したらいいかわからない」という方の参考になればいいな!


1 あらゆる作品を聴く
有名な曲、気になった曲を片っ端から聴きました。
好き嫌いをせずに、あらゆる編成、時代の物を。Wikipedia、Youtubeもかなり参考にしました。
あと、ナクソスミュージックライブラリーという聴き放題の音楽サービスに入会して、気になった曲をすぐ大量に聴ける状況も作りました。

2 好きな作曲家を見つける
1でやったとおり多くの作品を聴いていくと、好きな作家の一人や二人見つかるものです。
人間好きな事じゃないとモチベーションが上がりませんから、好きな作家の作品ばかりを研究する事にしました。

ぶっちゃけ、バッハや、モーツアルト、ベートーベンなどは退屈じゃないっすか(´・_・`)。好きな人ごめんなさい・・・・

ちなみに僕が好きな作家はドビュッシー、ストラヴィンスキー、バルトーク、ジョン・ウィリアムズです。わりと近代。

3 オーケストラの楽譜を買う
ポップスと違ってオーケストラは耳コピーするのが困難なので、楽譜を買って分析しました。
これは楽器の使い方、楽譜の書き方、各国での楽器の表記の仕方まで、あらゆる事を学べます。
是非理論と平行して見ておくべきです。あと著作権の切れた楽譜はペトルッチ楽譜ライブラリーにありますので、自由にダウンロードしても大丈夫・・・なはず。

ちなみにスターウォーズ等でおなじみ、ジョン・ウイリアムズの楽譜は一曲一万円超えます。うわぁ・・・

4 小編成のものは耳コピーする
編成の少ないものでYouTubeに映像があるものをコピーしました。聴き取れなくても見れば大体はわかりますからね。
ピアノを弾いて、DAWに打ち込んで流れも確認しながらやっていったんですが、
この効果は絶大です。ただスコアを追うより作品への理解が深くなる気がします。

5 和声法、対位法、管弦楽法を勉強する
音楽理論(和声法、対位法)は天才と言われた人たちが数百年かけて積み上げてきた歴史でありまとめです。ルールじゃありません。←ココ重要。
数百年分の天才の試行錯誤がすっ飛ばせるなら、学ばない手はないです。

基本はポップスの理論が細かくなったものと思えばいいです。
大きな違いは、ポップスは縦の響きで考えていくんですが、クラシックは横の響きを重視します。
和音同士ののつながりじゃなくて、メロディの重なり。


あと管弦楽法は必読です。特に楽器法を知らないとどうしようもないです。
まあ、当たり前か・・・・

クラシックの理論はポップスにも応用が利くので、自分の能力の底上げにもなると思います。

6 コード進行の概念を捨てる
前回も書いたのですが、ポップスの「コード進行」という様式が染みついてるので、それをぶっ壊すことにしました。

そのひとつが対位法を発展させて横の流れの重なりを複雑にしていく方法ですが、
そうするとコードを定義するのが無意味になってきます。

例えばこの曲。


ここまでくると変態の仲間入り。

7 クリックを使うのをやめる
クラシックは常にテンポが変動しているので。テンポ情報を書き込むのがめんどくさい。
ってのは本音で、建前は人間らしくするためにクリックを使わずに作る事にしました。

8 実際に生演奏を聴く
毎年ゴールデンウィークに開催される音楽祭、ラ・フォル・ジュルネに行くようにしてます。
楽器毎の音量など、生で聴かないと掴めないと思ったので。無料で聴けますし。
オーケストラアレンジはフェーダーやつまみで音量変えられないですからね。

例えばフルート2人とバイオリン14人の音量が同じくらいで、フルートの方がダイナミクス(音量の大小)が少ない。
んで、そのフルートをfffで吹いてもホルンのfにはかなわない。
みたいな事が本には書いてあるんだけど、実際に鳴らして経験をつまないとわかんないかもしれないです。こればっかりは。

9 曲を書く
やはりアウトプットしないとね!ということで、ちょいちょいクラシック風の曲を作る事にしました。
使わないと勉強したことを忘れちゃうらしいっすよ!

10 いい音源を買う
やっとこのブログらしくなりましたw
愛用の音源、LA Scoring stringsが美しく鳴るおかげでモチベーションがあがります。実はかなり大事。他の楽器もいいものを揃えていく予定です。



というわけで、ポップスのアレンジャーの僕がクラシックを学ぶためにやった10の事をお送りしました。

そもそも、きっかけはこの曲のイントロを分析したところからはじまりました。


それまでの知識だと分析出来ない音使い。
このアレンジをしている富田恵一さんを超えるにはオーケストラを学ぶしかないと思ったわけです。
あと、のだめカンタービレにハマった。ただのミーハーです。


実際に勉強で使った本

ピストン/デヴォート和声法―分析と実習


ピストン 対位法 分析と学習


ピストン 管弦楽法

色々出ているので悩む所ですが、なるべく新しい物を購入するのがポイントだと思います。
昔の書籍だと言葉づかいが古すぎて理解に時間がかかります。
例えば、和声―理論と実習 (1)は文章が理解しづらい上に連続5度などの禁則を厳格に「守るべきルール」として書いてあるので、現代にはマッチしないと思います。この点では上に挙げたピストン著の物が柔軟で音楽的なのでオススメです。

意外とこっちの対位法はわかりやすかったです。逆に厳格な所が初心者には理解しやすいかもしれない。ピストンのは「変なことしてもいいけど自己責任なwww」っていう感じなので。



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