本年の3月を以て配布を終了した東京地下鉄株式会社(東京メトロ)の広報誌「メトロニュース」は、同社の前身の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)が1960年(昭和35年)4月に配布を開始しました。私が存在を知ったのは半世紀前の1972年(昭和47年)秋の事で、同年の5月より小平市から中野区立桃園第三小学校へ電車通学を始めた私は、中野駅南口に置かれている「メトロニュース」に気付き爾来毎号欠かさずに収集、経年劣化を防ぐ為に早い時期から桐箱(進物のカステラの箱の再利用)に保存して今日に到りました。1990年1月号(第160号)から判型が創刊号以来のB5判より縦長に変更となり、会社組織変更と同時に創刊号からの通巻が廃止され、編集も外注にて内容が一変し浅薄・通俗的になり、余りの激変に投書した程でした。一年程で編集方針も外注先も変更されて大分持ち直しましたが、急に収集意欲も薄れて新居への転居を契機に会社組織変更以降の分は全て処分しました。創刊号から1972年秋までの号は収集開始以来半世紀に亘り探索しており、昨今のネット時代の恩恵により大半を入手しました。都市交通史の貴重な資料であり、広報誌としての使命と自負が備わった時代の号は読み返しても楽しいものです。

 

音楽史研究家 郡 修彦

1972年の9月と10月の号です、当時は不定期発行でした。