2015年4月13日
先頃の週末に話題となった李香蘭の未発表曲2曲は実は私が発見しました。
時は1998年、古賀政男の作曲家生活70年を記念したCD「古賀政男大全集 」の制作過程で確認されたものです。このCDは全曲初出の音源で構成された品で、特にSP盤の時代は金属原盤とSP盤を使用して音質を向上させました。制作過程で古賀政男の遺品を調査して、使用可能な盤を最優先で使用しております。SP盤の元になる金属原盤は全て保存されている訳ではなく 、存在しない作品は市販のSP盤を調達して使用します。その為に殆ど使用されていない遺品のSP盤は最適の音源であり、私がコロムビアの担当者と古賀財団に赴き遺品を調査中に今回の2曲を発見しました。同全集は有名作品の集大成ですので収録は不可能で、何れ李香蘭・山口淑子の作品集が制作される折に収録予定との決定がなされました。
その後、コロムビアは外資となり、復刻盤の制作も低迷して時節の到来は見えませんでしたが、外資を離れて再び活発となりました。 この間に過去の音源の再編集による安直な李香蘭のCDは数点発売されましたが、評判は芳しくありませんでした。私は各社の李香蘭の作品を集大成した通信販売用のCDをコロムビアに提案致しましたが、人間関係の故に直ちに発売されぬまま時間が過ぎました。
そこに、昨秋の山口淑子逝去にて通信販売の部署に前述のCD発売を促しましたが予定なしとの返答で、 次善の策としてテイチクに提案しましたところ、同社の李香蘭の作品のみを集大成したCDとなり、今回の2作品を特別収録して目玉とする方針になりました。ところが、コロムビアから許可が下りず、調べますとコロムビアの市販部門にて李香蘭のCDを予定しており、そちらに収録予定と判りました。そこで、制作担当者に音質の向上を提案し、今回のCDは全曲最上の品質を目指しました。
即ち、金属原盤音源はピッチと音質を調整し、SP盤音源は全曲を新規に新品・新品同様の盤から復刻して従来のCDとは一線を画する出来としました。更には音源の情報も隈なく網羅しており、従来の李香蘭・山口淑子のCDを御持ちの方にも是非とも購入して頂きたい1組となっております。

音楽史研究家 郡修彦