2015年4月6日

資本主義社会では品質と同時に商品名が会社の社運や方向性を決定する事があります。50年以上の人生を送っていると様々な商品名に出会いますが、今迄で最も印象に残ったのはサントリーの「アプレ」でした。これは「林檎」と「檸檬」を合わせた飲料で、「アップル」と「レモン」で「アプレ」と言う訳ですが、「アプレ」と言えば我々の世代以上では戦後の占領期の「アプレゲール」の短縮語が先ずは思い浮かびます。命名者が若くて「アプレゲール」の短縮語を知らなかったのかもしれませんが、強烈な印象でした。
ところが、「アプレ」を鎧袖一触で蹴散らす凄まじい名前の飲料が先日発売されました。御存知の「お嬢様聖水」!発売元のリバランドは他にも様々な商品を出しており、独特のイラストで既に馴染がありました。先日、東京メトロの駅にて電車を待ちながらホーム壁面の広告を見た小生の目に飛び込んだのは御馴染のイラストと「お嬢様聖水」の文字、同行者を促すと注視して絶句。幻覚や幻想でないと分かり大いに驚きました。早速ネットにて検索して昨日購入して試飲したところ、オロナミンCとリポビタンDとドクターペッパーを合わせた様な風味で、不味には非ざる味でした。宣伝文句の「酵素ほとばしる」に「お嬢様聖水」とは何とも意味深長であり、見事な戦略に感心致しました。後発会社が先発に挑むにはこの位が必要です、レモンジーナも霞む一撃でした。

音楽史研究家 郡修彦