昨今、ネットにて「小さくなったお菓子」と題する同一商品の容量変更に関する写真や記事があり、見ると改めて納得の出来事です。見慣れた物は中々気が付かないものなのか、見慣れているので直ちに気が付くのかは関心の度合いでしょう。特に子供は敏感に思われます。
今回は私の少年時代の事です。当時の高級チョコレートの「森永ハイクラウン」は煙草の箱を模した洒落た意匠で、4本のチョコレートが夫々独立包装された品でした。箱上部の色の部分で味を示しており、赤がミルクチョコレートで、他に黒、青、山吹色がありましたが、小遣いでは買えない額でしたので食べた記憶がありません。その「森永ハイクラウン」ですが、1973年の石油ショックによる不況で「小さくなったお菓子」と化したのです。写真の箱は1972年の品と1974年の品で、並べますと若干小さくなった事が歴然としており、しかも定価も改訂ですから値上げと減量が同時に行われたのです。当時は全く話題にもなりませんでしたが、私は直ちに気が付き箱を保存したのでした。
箱の中身は当時の収集品と保存品で、シールは左側の如何にも1970年代初頭の品が富士フィルムのカセットテープの販売促進品で、擦ると柑橘系の香りが出る仕掛けでした。右側は文房具店で販売されていた一般品です。もうひと箱は当時在学していた小学校の開校五十周年記念品で、2022年には我々は60歳で創立百年を迎えるのかと同級生と話しておりましたが、あと3年に迫りますも小学校自体は都心部の過疎化により統廃合となり現存しておりません。なお、写真の下敷きの市松模様の布は小学校時代の給食時に机の上に敷いた物で、現在ではターンテーブルのダストカヴァーの上に敷いてあります。1974年に配布されましたので実に45年前の品です。

音楽史研究家 郡修彦