2012年7月30日

1912年7月30日、畏くも明治天皇には崩御あらせられ、同日に皇太子嘉仁親王殿下が新帝として大正時代が始まりました。本日は正しく百年目の記念すべき日に当り、あの明治時代の終焉から百年を閲したとは歳月の速さを痛感して感慨無量なるものがあります。1968年に明治百年として過去へ目が向けられた事は高度成長期にも温故知新を日本人が忘れなかった証左であり、当時6歳の小生も世相を覚えております。爾来44年、6歳の幼児は50歳の中年となりましたが、この時間が日本が近代国家として封建体制から脱却し、日清・日露の戦役に勝利を収め、不平等条約を改正して国家としての安定を確固とした時間に等しい事になります。明治時代が如何に長かったかを自らの時間と重ねて痛感し、君臣一体となり独立近代国家としての目標へ邁進した時代に思いを馳せました。
本日は遠き明治に思いを馳せ、夏目漱石の「こゝろ」の名文を初版本にて読み返し、また、歴史絵巻として秀逸な映画「明治天皇と日露大戦争」をDVDにて鑑賞し、祖父母が生まれ育った遙かな明治を偲びました。

音楽史研究家 郡修彦