2013年3月6日

新宿伊勢丹の正面入口が1933年の竣工当時に復原されましたが、既に一年前に盟友との会話にて予言した事が的中しました。しかしながら、竣工当時の写真と比較すると完全復原ではなく、東京駅や浅草松屋で御馴染みの部分復原です。正面入り口と天井は完全復元ですが、床部分の寄木細工風の模様は復原されておりません。又、両面が全く違います。竣工当時はショーウインドウと照明器具と装飾硝子窓でしたが、竣工当時の入口の1スパン(柱と柱の間)では狭い為に戦後の改装で両脇のショーウインドウを撤去して3スパンとし、今回も踏襲しましたので両脇は入口になっています。そして、その高さが竣工当時のショーウインドウとは異なり高い為に、装飾と照明器具と装飾硝子窓の位置が高くなり全体の均衡を欠いております。
折角復原するのであれば、入口を竣工当時の1スパンに戻し、両脇のショーウインドウを復活させ、設計当時の完全な均衡を甦らせるべきです。入口を3スパン確保したい場合は、竣工当時のショーウインドウの高さを維持した天井の高さとすべきです。
どうも、昨今の設計者は完全復原が嫌いな様で、高い見識を持つ事が真の文化を築くのです。