2015年8月29日

今月公開の大作「日本のいちばん長い日」を観ました。原作は中学生の時に読み、1967年の東宝版は企画上映・TV・VHS・DVDにて繰り返し見ました。
今回の作品は結果から言えば完敗。役者は各自上出来ですが、作品としての構成力が足りません。説明不足が目立ち、近衛師団や東部軍は予備知識が無くては理解が難しいでしょう。それから、殆どがロケ撮影ですが、実際とは全く異なる場所ですので別世界での「日本のいちばん長い日」を見ている感があります。1967年版では可能な限りの再現を心掛けていますが、今回は最初から再現は無視する方針と見ました。日本放送協会のスタジオを占拠する場面も倉庫の様ですし、放送を拒否する職員の服装も真夏の外出着では無く(1967年版では髪型が長髪で違和感がありましたが)、全体的に個人の主観で制作した映画と言えます。
かくなる上はアニメーションかCGアニメの方が忠実に当時を再現出来ると考えました。70年前の事ですから資料は豊富ですし、最新の技術を用いれば容易な事でしょう。どこかアニメ版「日本のいちばん長い日」を制作する会社はありませんか。

音楽史研究家 郡修彦