2012年10月1日

 本日、東京駅丸の内駅舎の復原工事が完成しました。1945年5月25日夜半に姿を消して以来、実に67年半を要して漸く竣工当初の姿に復した訳ですが、外観ほぼ完全復原(厳密には中央3階の屋根部分が硝子に変化している)、内部は部分復原です。
 小生は三回に亙り復元の画龍点睛を指摘しましたが、同一の指摘は皆無で、ネットでは復原礼賛の提灯持ち記事ばかりが横行しており、日本人の文化水準を見る思いがしました。批判的に事象を捉える視点を持ち合わせていないのは民族的な特徴で、西洋人と大いに異なるところです。尤も明治時代から戦後暫くまでは新聞・雑誌は随分と批判的な論陣を張っておりましたが、昨今は全て体制迎合の戦時下の報道と大同小異です。
 東京駅の南北ドーム1~2階部分の完全復元は次の課題として取り組む必要があり、現状が後世に伝わる事は回避する必要があります。小生が所属している「赤レンガの東京駅を愛する市民の会」も解散どころではなく、内外の完全復原に向けて更に運動を継続する必要がありましょう。
 それでも、外観がほぼ復原し得た事は欣快置く能はざる快挙であります。

音楽史研究家 郡修彦