2015年8月21日

久々に東京ステーションホテルの酒場を利用しましたが、3年前の再開直後とは大きく接客が異なり 驚きました。
先ずは東京駅南口のドーム南側のホテル入口を入りますと廊下に給仕が立っており、嫌な予感がしました 。果たせる哉、「どちらに御用事で」と問われました。以前は自由に出入り出来たのですが、宜しからざる冷やかしの客が多い故か、一々門番に誰何されるのは不快です。2階の酒場へと言うとすんなりと通れました。
2階の廊下にも2人の給仕が立っており、こちらも嫌な予感がしつつ酒場の入口の扉に手を掛けるや否や呼び止められ予約の有無を問われました。以前の酒場から数えて30年余り利用しておりますが、予約の有無を問われたのは今回が初めてであり、予約の無い一見の客は困る様な事を言われました。瞬間的に立腹して立ち去らんとしますに、カウンターなら可との如何にも予約無しの一見の客にも寛大な御恵みをとの尊大な態度をされ不快でしたが、折角来たので入りました。ホテルの酒場迄予約制とは一体何と世知辛い世となったのでしょうか。ホテルの酒場とは気分で立ち寄り良い雰囲気で酒を楽しむ大人の社交場です。恐らくは満員で断られた客が予約制を提案し、役人体質の上層部が名案と採用したに決まっております。でしたら、入口やHPに「予約者専用、一見お断り」「会員制予約式」とでも表示してある方が余程に精神衛生上好ましいものです。それにしても、ホテルの酒場が予約制とは酒は時間を決めて飲むものなのでしょうか。予約者には時間制限があるのでしょうか。上客は無制限、中客は2時間とかあり、その時間の中で各席を回してゆくのかと飲みつつ考えたので、折角のカクテルも不味に終わりました。
一杯にて辞さんとするに女給仕が「御会計で宜しかったでしょうか」と言うには正しく止めで、ファーストフードかコンビニの接客と呆れました。過去形の表現は一流ホテルの社員が使用して良い言葉ではありません。以前はベテランのバーテンによる一流の接客が嬉しい酒場でしたし、再開後も暫くは良好でした。今回は全て落第であり、規模を拡大したが為に水準の低い社員を大量採用したのか、経営母体や支配人が変わり社風が一変したのかと思いました。商売で接客が悪化して業績が向上した例は見た事が無く、零落・転落の端緒は大体が接客の悪化です。東京ステーションホテルともこれにて縁切りであり、「赤レンガの東京駅を愛する市民の会」の一員として結成から解散まで東京駅の復元の為に挺身した者としては大変に複雑な心境でした。同じ額で良い気分にて酒を楽しめる酒場は他にも沢山あります。これならば丁寧に指導した「キッザニア」の方が遙かにまともと思いました。何とも残念です。

音楽史研究家 郡修彦