vol.1「さきいかの恋」台本※執筆中 | 大沼孝次のブログ

vol.1「さきいかの恋」台本※執筆中

 

台本『さきいかの恋』※執筆中

 

■     舞台設定

新幹線の車内。

後半に一度、喫茶店の店内。

それにて終了。

音響は、電車の進行音はあってもよし。

なくてもOK!

エンディングに、なんか曲、入れましょう。

                      

■     キャスト

40代の中年男・・・・・工藤新一

女性・20代後半かなあ、かわいい系・・・・ミヤコ(工藤の逃げた女房・サトミ)

※     「ミヤコ」さん演じる女優さんは二役演ります。

 

若い男駅掌・鶏がらのような細身、めっちゃ若い、おどおどしてる・若い駅掌

 

女性・30代前半かな、細身セクシー系?・・・・・マッキー

女性・30代後半、太め・・・・・カズミ

顔がおにぎりに似てる30代前半、男性・・・・オムスビ

 

車内販売員の女子大生・・・名なし

 

公安・・・・銭形警部みたいなやつ

デブ駅員・・・でぶの中年車掌。名前、花岡実太

 

京都から着物姿の老人男・・・着物男

京都から着物姿の老人女・・・着物女

京都から大男・・・・ホッピー若狭

 

外国人風の女ダンサー5~10人※1人は車内アナウンサー役もやる

40代後半くらいのスーツ男1人

 

ネズミ色のジャンバーの初老の男※喫茶店経営者役もやる。

 

青森100年イカの男性社員3名※テレビの競馬中継アナウンサー役、キックボクシングのアナウンサー、解説者役もやる。

 

 

 

■     台本

舞台は新幹線の車内。

これから、もう、ずーと、ずーっと、新幹線の車内ざんす。

そこに突如、しわくちゃなスーツ、よれよれのネクタイ、ぼさぼさ頭の中年男、登場。

彼こそは、このドラマの主人公・工藤新一。

二日酔いなのに、駆け足ダッシュで乗り込んできた感、満載。

両肩で、大きく息をついて。

片手にはコンビニの白い袋。

その袋には、さきいかのパックと缶ビール在中。

こんな中年の状態に関係なく、平然と流れる車内アナウンス。

 

 

アナウンサー「今日も、新幹線をご利用いただきまして、ありがとうございます。

この電車は、のぞみ10号、博多行きです。

途中停車駅は、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪、新神戸、岡山、広島、新山口、小倉、博多の順に、停まります。

Ladies and gentlemen,Welcome to this shinkansen.

This is Nozomi super express.Bound for Hakata」

 

このアナウンスはBGMと同じなので、

黙って聞く必要なく、役者は、どんどん進むべし。

 

工藤「ほえー・・・なんとか間に合ったな、と。ふう。

えーっと、13号車は、ここだよな。C12、C12?」

 

と、座席を探すと背後、窓際の座席に1人の女性・ミヤコ。

はっ、と目が合う2人。

 

ミヤコ「あ、すいません。こっち、ですね」

 

工藤「あ、す、すいません」

 

と、工藤は窓際へ、ミヤコは通路側の座席へ。

 

お愛想笑いが、これまたキュートなミヤコ。

おー、これはラッキーと、照れ笑いの工藤。

発進のベルが鳴り、動き出す新幹線。

とりあえず、という感じで、手に提げていた白いコンビニのビニール袋から、

缶ビールを取り出す工藤。

 

栓を引くと、猛然と爆発する缶ビール。

ぶしゅゅゅゅゅゅゅゅぅーーーーーーーーーーーーーっ、と、もう噴水状態。

もう、まわりは、泡だらけだ。

 

工藤「うわあああああーーー!」

ミヤコ「きゃああああーーーー」

 

工藤、あわてて立ち上がると、頭上の棚に激しく頭をぶつける。

 

工藤「あ、いってえーーー!」

 

と、さらに、片手に持ってる缶ビールをカズミに大量にふりかけてしまうことに。

 

工藤「あっ、ああああうー!」

ミヤコ「うひょーーーーーーん!」

 

工藤、ポケットから、使用済みのしわくちゃなちり紙を取り出して、

ミヤコの頭や服に飛び散ったビールを拭く。

 

工藤「ああ、ああ!こりゃ、これは、ああ、すいません、すいません、すいません!申し訳ございません!」

ミヤコ「それ、これ、なに、それは、いやーん、うひょーん、やああああああーーーー」

 

少し離れた斜め前の座席の、PCに向かって必死こいて文章を書いてたオムスビ、突如、立ち上がり、振り向いて怒鳴る。

 

オムスビ「うるさいうるさいうるさーい!おい!うるさい、んだよ!!」

 

びっくりしてミヤコと工藤、その場に直立。

工藤、またしても頭を痛打。

 

工藤「あっ、いってえーーー」

 

思わず笑い出してしまうミヤコ。

が、しかし、オムスビ、さらに激怒。

 

オムスビ「なにやってんだ、おまえはよお!静かにしろ、って言ってだよお!」

 

工藤「あ、ああ、すすすす、すいません」

 

頭をおさえて、ゆっくり座る工藤。

その姿を横目にしながら、くくくくく、と、ビールまみれなくせに必死で笑いをおさえるミヤコも、ゆっくり席に腰を降ろす。

 

工藤、あ、と再び気づいたように片手に握りしめていたままのティッシュで、またミヤコの服を拭こうとする。

が、しかし、ミヤコは、だいしょうぶ、という仕草で、自分のバックからハンカチを取り出す。

 

 

工藤「あ、そうだ。コンビニで、めずらしいサキイカ、買ってきたのですよ。青森100っていう。なんだか、わかんないんですけど、おいしそうですよ。たべます?」

ミヤコ「ああ、いいですね。ビールにあいますね」

工藤「あ、そしたら、ビール、買いましょう。ちょっ、ちょっと待って」

 

ここに若い駅掌、めちゃくちゃ、おどおどしながら登場。

 

若い男子駅掌「すいません、乗車券を、拝見させていただきますう・・・」

 

工藤、ミヤコも、それぞれに乗車券を提示。

赤い判子が押される。

斜め前、オムスビ、イラつきながら乗車券を示してる。

ミヤコはハンカチでスカートなんかを拭いてる。

 

工藤「ほんと、なんか、すいません」

ミヤコ「いーんですよ。これくらい。あたしなんか、もう、どーなったって、いーんですから」

工藤「えっ?」

ミヤコ「どちらまで、いかれるんですか?」

工藤「小倉まで」

ミヤコ「あ、あたしは博多まで。それじゃ、ずっと一緒ですね」

工藤「あっ、そうですか・・・ああ、あ、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。あ、ご実家が、博多なんですか?」

ミヤコ「いえ、ぜんぜん」

工藤「えっ?では、なぜに?」

ミヤコ「めんたいこ、食べにゆくのです」

工藤「めんたいこ?」

ミヤコ「とんこつラーメンも食べます」

工藤「はあ?」

 

 

ミヤコ「失恋しました。もう、やけ食いです。10キロぐらい、ふとってやります。もう、食いまくりまくって、もう、飲みまくって、道端に倒れます。こんなわたしでも、拾ってくれる人がいるかも知れません」

工藤「えっ!そんな!そんなヤケを起こしてはなりませぬぞ姫!」

ミヤコ「えっ、なんで時代劇?」

工藤「ああ、すいません、残務整理で、徹夜でやってまして。そんときテレビで『隠し砦の三悪人』やってて。なんか、みちゃって。まあ、そんなことは、どーでも、いーんですけどお。そのお、あなたのようなね、超絶かわいい方が、ですよ。決して道端に倒れたりしてては、決してなりませぬぞ!」

ミヤコ「あたしなんて、そんな、かわいいわけないですよ」

工藤「いやいやいや、そんなことは、ない!」

ミヤコ「かわいーわけないですよ!だったら、フラレるわけないから」

工藤「それは、その男が、ばかなんです!」

 

オムスビ「うるさい!うるさい、って、いってんだよ!」

 

工藤「ああ・・・すすすす、すいません・・・はあはあ」

ミヤコ「あ、お、怒られ、ちゃいましたね」

工藤「それにしても・・・なにをイラついてやがんのかなあ」

ミヤコ「はい?」

工藤「だから、あいつですよ・・・オムスビみたいなツラしやがって」

ミヤコ「あは!あたしも、ずーっと、そう思ってました」

工藤「あはは・・・やっぱり」

ミヤコ「うっしっしっ」

 

 

通路に車内販売が通過する。

 

女子販売員「品川名物、かめやまんねん堂のあほなは、お菓子のホームラン王です。品川名物、かめやまんねん堂のあほなは、お菓子のホームラン王です」

 

工藤「ああ、すす、すいません。ビールを。ふたつ。はい」

 

と、こーして、缶ビール2本買いました。

そして1本を、ミヤコに渡す。

 

ミヤコ「あ、いーんですか?」

工藤「もちろんですとも。あ、じゃあ、ま、乾杯」

ミヤコ「真昼間、この、ぷしゅっ、ていうの、いーですね!休日感、満載ですね」

工藤「あはは、あっ、サキイカ。あ、あれっ?なんだこれ?あきまへん。あっれー、なんで、これ?むーん・・・・」

ミヤコ「ん?ちょっと、貸してみてください。ん?あれっ?んーーーーーーー!」

 

と、チカラをこめてサキイカの袋を引っ張る。

と、手がすべって、右手に持っていた缶ビール、そのビールが、どばっ、と工藤の顔へ。

 

ミヤコ「あっ!」

工藤「わあ・・・」

 

思わず、笑い出す2人。

 

工藤・ミヤコ「あはははは!」

 

オムスビ「おい!」

 

工藤・ミヤコ「あっ、はい。すいません・・・」

 

工藤「うっししし。こっちはねー、こんな美人さんとねえ、いちゃいちゃラブラブしてるもんだからねー、やきもち焼いてやがんの。オムスビ」

ミヤコ「小倉へは?お仕事、ですか?もう、仕事なんかやめて。あたしと一緒に、めんたいこ食べにゆきませんか?」

工藤「えっ!」

ミヤコ「ずっと、一緒に、のみまくり、くいまくりまくって、2人で体重増やしませんか?」

 

その一言を聞いて、もう、工藤、呆然自失状態。

 

アナウンス「この電車は、間もなく新横浜に到着いたします。

This train soon will be arrive at the Shin-Yokohama.」

 

ゆっくり、ミヤコが工藤へカラダを向ける。

ゆっくり、密着してゆく。

思わず、抱きしめてしまおう、と工藤がした瞬間、ミヤコのほうが、がばっ、と窓へ。

 

ミヤコ「マッキー、カズミさーん!」と、ホームに向かって手を振っている。

 

マッキーとカズミ、乗り込んできて、向かい合って2人の前に座る。

マッキーが工藤の正面。

空間が狭くなったし、ああ、なんで、おれは、まだ、このビールの空き缶を持ってるままなんだろうか、と我にかえったような感じで、その空き缶を自分の足元へ。

工藤、前屈みになります。

すると、そこにミニスカ・マッキーのふともも。

まるで、パンツを覗きこむような体勢になってしまった工藤。

なに?という感じで、ちょっと眉間にシワを寄せるマッキー。

あっ、あらら、こりゃ、すんません、みたいな工藤。

あれっ、誰なんだろう、という感じで、マッキーとカズミは工藤に向かって愛想笑い、軽い会釈みたいな、そんな雰囲気。

 

カズミ「あのう・・・どーゆー・・・」

と、すずしい顔のまんまのミヤコに囁く。