JRA(日本中央競馬会)は農林水産省所管の全額政府出資の特殊法人です。競馬法では、「競馬の健全な発展を図つて馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため」に競馬を行う団体とされています。
 
馬券の売り上げのうち、25%が控除されます。そのうち、10%が国庫に納付(第1国庫納付金)され、残りがJRAの運営に充てられます。更に、各事業年度において余剰金(利益)が発生した場合には、その額の50%が国庫に納付(第2国庫納付金)されることになっています。
 
馬券の売り上げからこれらの経費を差し引いた余剰金が畜産振興事業に流れています。しかし、この余剰金の99%超が農水省の天下り法人に流れているのです。こうした畜産交付金は40億円程になります。
 
つまり、JRAの畜産交付金が農水省の天下り利権を支える構図となっているのです。競馬愛好家の負けた金が天下り官僚を養う資金に化けているのです。
 
この畜産交付金はいったん全額が「全国競馬・畜産振興会」に渡り、その後、事業を実施する各法人に交付される流れとなっています。
 
こうした法人は主なものでも、「中央畜産会」、「畜産技術協会」、「畜産環境整備機構」、「家畜改良事業団」等
多岐の法人に及びます。これらの法人には数多くの農水省OBが天下っており、強固な農水天下り王国を形成しています。
 
平成24年のJRA売上高は約2兆4000億もの巨額にのぼり、約3000億円程度の第1国庫納付金が納められています。
 
そもそも、このJRA自体が農水省OBの有力な天下り先となっています。そして、JRAには競馬場の維持管理等を独占的に担うファミリ企業が多々あります。これらの企業との契約のほとんどが随意契約となっていて、余剰金が蓄積される仕組みとなっています。これらのファミリー企業にも多くの農水省OBやJRA職員が天下りっています。
 
独占発注という形でファミリー企業に流れる資金は1000億とも言われています。郵政事業や道路公団と同じ天下り利権の構図がJRAにも存在しているのです。
 
近年、JRAは売上が低迷しており、第2国庫納付金はあまり国に納められていません。しかし、JRAとファミリー企業との癒着の構図をぶち壊して、競争入札を徹底して新規参入を増やせば、合理化が進みます。更に、業務の合理化、100億円以上のコマーシャル料を削減すれば、かなりの余剰金が発生して第2国庫納付金が大幅に増えるはずです。
 
談合防止法を厳しく適用したり、公認会計士による外部監査の義務化等のガバナンスを向上させる改革を断行し、合理化を徹底すべきです。そうすれば、多額の埋蔵金を発掘するだけでなく、農水省のJRA天下り利権をぶち壊すことができます。
 
JRA国庫納付金は建前上は一般財源ですが、ほとんどが特定財源で農水省の財布となっています。この利権を完膚なきまでに叩き潰すためには、JRA国庫納付金の一般財源化にも踏み込む必要があります。
 
競馬にも日本を蝕む利権が潜んでいるのです。この利権にも光を当てて撲滅する必要があります。