多くの中国人が中国茶についてほとんど知らないと言うことを知っていますか? | 清香緑韻

清香緑韻

中国茶の茶飲み話。

 私は今、久しぶりにと言っても二ヶ月半ぶりに中国に来ています。

旅の中の出来事から、前回の問題の続きをお話ししてみましょう。


上海浦東空港に着くと迎えに来た友人とまずお茶店へタクシーで向かいます。
「呉さんお久しぷり」
「先生お久しぶりです。新しい店を出したのでちょっと見て下さい。お茶の善し悪しも見てほしいのです」
通訳兼中国茶の研修もかねて、「先生のお茶の旅に供をさせて下さい」と言って同行している友人が変な顔をしています。
「ああ、呉さんの故郷は福建省の南平ですね。閩北(びんほく)(福建省北部)のお茶なら貴方の方が詳しいでしょう。どんな茶ですか」
「でも、前にも武夷岩茶の大紅袍のレベルを教えてもらいましたよ。今度は安渓鉄観音なんです、閩南のお茶ですから」
「泡一下」(お茶を入れて下さい)
「この安渓鉄観音の仕入れは安渓県の西坪でしょう。中堅クラスのものですよ特別良いものとは言えません。安渓鉄観音の高級品なら感徳か祥華のものでないと」
「そうですか友達から仕入れたんですが」
こんなやりとりが続きます。中国は地域性が強く人間関係によって仕入れる場合が多いのでこのようなことになるのです。
「是非一度、感徳か祥華に行ってみて下さい」
 

私たち日本人は、安渓鉄観音と言えば良い鉄観音だと思っている人が多いのですが、安渓は非常に大きな県で、その中でも競争が激しく、現地は毎年進歩変化しているのです。
 実はこのやりとりには、中国の猛烈な時代変化があるのです。五年ほど前に高級な鉄観音の作り方も変化しました。それ以後、村ごとの競争でどんどん良いものが出来るようになったのです。しかし、そんな良いものは高価で日本に来ることはありません。ですからお茶の名前だけ覚えて中国茶が分かったと思ってはいけないのです。
 「中国人もあまり他省へ行きませんし、行っても観光程度ですから、そんなことは分かりません。いい勉強になりました」友人が目を輝かせています。
 1980年代まで中国人が他省に行く場合許可が必要でした。車も特別な許可が無ければ省を出ることは難しかったのです。外国人の旅行でも、省の境界を越えるときは次の省のバスに乗り換えなければならなかったのです。今は緩和され自由になりましたが、商人ですらこのような状態ですから、一般の中国人に中国茶のことを聞いても分からないのは仕方が無いのです。


★私の主催する中国泡茶道篁峰会と中国茶文化国際検定協会はこの秋二つの茶会と国際検定を行います。詳しくはホームページを見ていただくとよいのですが、簡単にご紹介します。


➊京都建仁寺中国茶会。2011.10.15
 京都の建仁寺は栄西禅師が中国茶を日本に伝えたお寺です。中国泡茶道篁峰会は毎年春と秋に建仁寺中国茶会を行っています。本格的な中国茶会に参加してみてください。
第25回中国茶の集い≪中国茶芸の神髄を見る≫
 今回は建仁寺中国茶会25回を記念して、中国民俗学会茶芸専門委員会から派遣される現代一流の茶芸師が中国茶芸の神髄をお見せ致します。このような画期的な中国茶文化交流が実現致しましたのは、中国泡茶道篁峰会の中国における茶文化交流の実績を基に、日本の皆様に中国茶芸の神髄を間近に見ていただきたいという江西省社会科学院と中国民俗学会茶芸専門委員会の熱烈な支持があったからです。中国茶芸における一流の茶芸を榮西禅師が中国から茶を伝えた建仁寺中国茶会で是非ご覧下さい。


➋鎌倉建長寺四ツ頭茶会。2011.10.24
鎌倉の建長寺は開山が大覚禅師(蘭渓道隆)で中国からの渡来僧です。そのようなご縁で毎年10月24日に行われる、建長寺四ツ頭茶会(日本に伝わった茶道の最も古い形といわれる)の中国茶席を担当しています。今年は、宋代の名茶、山谷双井茶を中国茶人の協力を得ておもてなしをいたします。


➌第13回京都中国茶文化国際検定。2011.10.16。
中国泡茶道篁峰会と中国茶文化国際検定協会は、毎年中国茶文化国際検定を行っています。この検定は、真に中国茶文化の教養をはかるもので、中国茶文化の幅広い学習と茶芸実践を求めるものです。中国での職業訓練的な中国茶芸師国家職業標準(規則)とは一線を画して、高い内容とレベルを求め、中国茶文化の指導者を養成するためのものです。受験生には厳しい内容ですが本当の意味で中国茶文化の教養が身につきます。もちろん同時に中国茶芸師国家職業標準(規則)の資格も認定されます。
 中国茶も本格的に勉強する時代になっていると思います。