多くの中国人が中国茶についてほとんど知らないと言うことを知っていますか? | 清香緑韻

清香緑韻

中国茶の茶飲み話。

私は2009年6月、北京で中国人向けの『清香綠韻・中国茶文化の素顔』という日本語版の本を出版しました。中国茶文化についての本を日本人である私が、何故中国茶文化の故郷である中国で出版したのでしょう。


 この本は「主に中国人で日本語を勉強している人が日本人から聞かれることが一番多いのが、中国茶文化のことなのです」そのとき、中国茶文化について中国人が日本語で説明するためのテキストなのです。何故かというと大きく分けて二つの問題があります。
一つ目は日本語を勉強している中国人の多くが中国茶文化を知らないことです。
二つ目は日本語と中国語は同じ漢字を使っているから、中国語のままでも話せると思っている人がいるからです。自分の国の文化を相手の国の言葉で話すことは非常に難しいと言うことです。
 

 外国の文化が伝わると言うことは、言葉だけではなく民族の習慣や感覚の違いによって分かっていると思っていても違う意味が伝わることが多いものです。
私たちは、日本語の話せる中国人を見ると、すぐに中国茶文化のことを聞いて「中国人が言ったのだから間違いない」と思い込んでいませんか。実は中国茶文化についてその全体像を熟知している中国人はほとんどいないと言っていいと思います。

その理由は、
 ①あまりにも広大な国家のため、自分の住んでいる省のことぐらいは分かるのですが、外の省のことはほとんど知らないのが現状です。
 ②現代中国の歴史の変遷は激動が続きあまりにも早い変化に翻弄されて、中国茶文化について考えることが少なかったのです。
 ③中国人の民俗習慣として人に聞かれて知らないと言うことは、恥ずかしいことですから自分の知っている範囲で答えてしまうことが多いのです。
 ④中国人のほとんどは故郷自慢の人が多いため、人に聞かれると必ず故郷は一番と答えることが多く、客観的に全国を比較して話してくれることはまれです。
 ⑤中国茶文化の専門家でも、中国茶文化全体を研究している人が少なく、専門の分野や地域の知識中心の説明になることが多いのです。
 

 このようなことは、鵜呑みにしてしまうと気付かないことが多いのです。では何故、中国人は中国茶文化のことを知らない人が多いのでしょう。いろいろな角度から考えてみるとよく分かるのです。
 


 今日は①について少しお話ししましょう。
中国の面積は、ヨーロッパ全土より広いのです。福建省の人に四川省の中国茶文化について聞いてみて下さい。ちょっと戸惑うか、「福建省のお茶が一番です。四川省のお茶なんか美味くありませんよ。」こんな答えが多いのです。ちょっと考えて下さい。ヨーロッパならスペイン人にドイツのことを聞いているようなものなのです。ですから、中国人に中国茶文化のことを聞くときは最初に相手の出身省や住所を尋ねなければなりません。その上で聞いてみて下さい。今度はお国自慢になります。ここで大事なことは、聞く側の私たちも中国の地域性を知っていなければならないのです。ですからなるべく複数の人に聞くようにしましょう。


 ②以後の問題は又次回お話ししましょう。