坂東玉三郎とともに白拍子花子を演じたのは、中村勘九郎、中村七之助、中村梅枝、中村児太郎の4人。
鐘供養に訪れた花子が、娘心のさまざまを踊り、やがて恋の恨みから蛇体をあらわす-という人気舞踊。今作では時には5人そろい、また一人ずつ花笠や手ぬぐいを使って「花子」を踊り継ぐ。
玉三郎の躍りは頭が動かず、体幹がしっかりしている。凛とした美しさが見事です。
「稽古や口伝より、一緒に舞台に立つ方が後輩のためになると思い、こういう形にした。それぞれの思いが語られた後、各人の踊りが出る」と玉三郎が語る。踊り手が入れ替わるタイミングで各俳優のインタビュー映像が挿入され、「道成寺」への思いが語られるほか、客席からは見えない舞台裏の映像も盛り込まれ、ドキュメンタリー映像としても楽しめる。
舞台裏の見せ方にも工夫があり、ただのドキュメンタリーにならないようにと、現場の生の音は入っていない。「汗もかいて、着替えもし、脱ぎもするけれど、皆さんがご覧になって、憧れられるような支度を見せるのが理想。裏でも一挙手一投足、油断のできない時間をご覧いただきます」。シネマ歌舞伎だからこそ実現できた、玉三郎の思いです。
