自衛隊の大型輸送ヘリコプター「チヌーク」を使用した、多国間訓練が実施されたことに関し、「能登半島地震に使え」とか、「訓練なんかしてる場合か」といった意見が「X」(旧ツイッター)上に多数アップされているらしいですね。どうしてこういった偏狭な意見ばかり拡散されるのか…

 

中途半端な《事情通》?が思いつきで発信することで多くの人に誤解が生まれ、フェイクニュースとなって拡大していくことになるのでしょう。本当に、匿名の発信サービスは「百害あって一利しかなし」と思います。タバコなんかは「百害あって一利なし」と言われますが、匿名のSNSサービスには一利程度はあるでしょうが、デメリットの方が断然多いと言わねばなりません。

 

自衛隊の能登半島地震への対応に関して、政府の初動に関して「遅い」という批判が多く、また立憲民主党など「逐次投入」を批判する声も多かったようです。私は「月刊WILL」を定期購読していますが、今月号(2024年4月号)には元自衛官の方達の声が特集されています。

 

それを読むと、初動は決して遅くなく、また逐次投入も理に適ったものであり、政府も自衛隊もきちんと仕事をしていることが分かります。具体的には、地震発生後の僅か1分後には首相官邸の危機管理センターに対策室が設置されていますし、岸田首相も発生5分後には、関係省庁に対応を指示しています。

 

さらに地震発生の僅か20分後には航空自衛隊の各基地から航空機(主に戦闘機…速いからでしょう)を発進させ、現地の様子を上空から探りに向かっています。加えて発生の45分後には、海上自衛隊も哨戒機を現地に向け発進させています。それらからの情報を元に、道路の壊滅状況を把握した上での逐次投入となったのです。迅速かつ合理的な判断でしょう。

 

また、冒頭に挙げた「チヌーク」を使用した多国間訓練への批判では、共産党などの「訓練などでなく、大型輸送ヘリは物質輸送や人員救助に使用するべきだ」といった声が主なものだったようです。しかし訓練は災害対策とは全く別の問題です。

 

救助には相応の対応をしつつ、他方で国自体の守りには揺るぎがないことを内外、特に中・露・北という《危ない隣国》へ示さねばならないのです。同盟国や同志国との連携状況に全く問題がないことを示すことは、国防上非常に大切な自衛隊の任務なのです。というのも、自衛隊には国防と災害救助という、2つの大きな責務があるからで、これほど重要な機関が憲法に明記されていないのは異常な状態だと言わねばなりません。

 

憲法に明文化されていない言わば《鵺》のような存在の人達に、私たち国民は大規模災害の度に多大なるお世話になっているのです。共産党のように「認めない、でも災害の時には助けて貰いたい」などと厚顔無恥にも言い放つような状態が、人として許されるものでしょうか。