外国語学校に行かれているお子様は、

小学5年生になるまではお断りしています。

   一番大切なことは母語の確立です。なぜならば母語は第二言語を引き上げることができますが、第二言語が母語以上に伸びることは絶対にありません。外国語学校に行かれているということは、母語が外国語だということです。


   母語の確立に失敗した場合、言語による思考ができず混乱をもたらします。幼児並みの語彙力で深く物事を考えることはできないということです。もちろん第二言語の確立にも失敗します。この状態をセミリンガルあるいはダブルリミテッドと呼びます。母語が確立されてからの第二言語習得は本人の努力次第で可能です。


    次に日本語の特性について述べたいと思います。日本語は大変意地悪な言語です。大勢の外国籍のお子様が中学生になってドロップアウトします。あれだけ日本語ペラペラなのになぜ?と多くの方が疑問を持ちますが、その理由は、耳で聞いて覚えた口語体の日本語を軸に日本語を覚えてしまっているからです。読み書きで日本語を覚えていないということです。これは生活言語を習得しているが、学習言語を習得していない状態を指します。

意地悪なことに、小学校の教科書は口語体で書かれています。

   

    中学校からの教科書は突如文語体になります。これは外国人には全く別の言葉に感じられ、外国語と言ってもいいような状態になってしまいます。

    たくさんの日本語ペラペラの児童が、本人も訳がわからずに、教科書の日本語がわからない状態になってしまうのです。ですから日本語が母語の親は、なるだけきっちりとした言葉で話しかけられる方が良いかと思います。日本語の大人の会話をたくさん聞かせてあげて下さい。小学校では友達も先生も話し言葉です。


    日本人の子は知らず知らずに文語体の言葉を親から聞いて育っています。ただ、ヤンキーと呼ばれる方々のお子様も、全く文語体に接せずに育ってしまう時がありますが、その場合日本人でも中学の教科書は全くわからない状態になります。学習言語の獲得に失敗したことになります。

   

    次に外国語が母語の親ですが、日本の小学校に通っていることを前提に、無理に日本語だけで育てる必要はありません。思春期になった子や、その子が親になった時に、かなり入り組んだ感情についてお子様に寄り添ったり、話し合ったりする必要がありますので、外国語でお子様にお話しになる事はとても重要なことです。ただ本格的な勉強や文法については、小4を終えるまではお控えになる方が良いかと思われます。母語の確立習得は小4までです。


    外国人の子が耳で聞いて覚える日本語のように、第二言語を耳で聞いて口で言える状態を維持することは、日本語の母語習得の邪魔にはなりません。


     これは逆も然りです。


      

      語彙力は思考力

      言葉は命