わたしのチラシに「決算赤字」と書いています。

市長は「実質収支は黒字」「貯金は増えた」と言います。

市の財政は本当のところどうなのか?とのご意見を複数いただいていますのて、解説します。

 

単年度収支は赤字。実質収支(過年度からの累積の収支)は黒字。

財政調整基金(年度間調整のための基金)は増えています。

すべて表面上は真実です。

 

では、なぜ我々は単年度収支の「決算赤字」を前面に打ち出したか。

それは、現在の広瀬市政の4年間、今後の4年間で

「向こう20年、30年で慢性的赤字の入口に立っている」と確信しているからです。

 

【終身雇用の職員数】

4年間で終身雇用の公務員が60人増えました。

公務員の一人当たりの人件費平均(含む社保等雇用者負担経費)を650万円とすれば

生涯人件費は約3億円となります。60人、40年、180億円の人件費を決めたということになります。

とりわけ、ホテルのような接客窓口をつくるとして採用した「接客のプロ」という職員も

採用後たった1年で市長の独断で終身雇用に切り替えてしまいました。

当時、市役所中がひっくり返るような、驚愕の決定でした。

 

採用当初は相対的に職員の年齢が若く、給料額が低く、いまの影響は少ないのです。

公務員の給料表は右肩上がり。むしろ20年後、30年後にその歪みが現われるのです。

 

【委託を直営に戻す?】

さらに、このほど市長はツイッター等で

「民間委託よりも直接雇用のほうが経費が低減できる」という趣旨の発言をしています。

これを地で行けば、寝屋川市の過去20年間の行政改革は完全に潰れます。

 

そもそも「委託が安い」ではないのです。

今後、自動化・オンライン化が進む。自治体の業務領域が変わる。

本市は府内中核市のなかで、最も財政力指数が低い

換言すれば、地方交付税(国)に依存する度合いが高い自治体です。

その地方交付税は今後、プライマリーバランス黒字化を目指す政府の歳出抑制のなかで確実に絞られる。

寝屋川市の歳出だけを硬直化させる訳にはいかないのです。

そのときに、最も影響を受けるのは、府内のどの市町村でもなく、寝屋川市です。

 

【なぜ市の貯金は増えた?】

寝屋川市のような依存財源比率が高い自治体で

市の貯金が増えた要因はなにか。

それは「(現市政以前の改革で)職員数が約半分になったこと」

「人口当たりの公共施設の面積が(類似団体比較で)最小であること」

「(市民病院等の)多額の繰出金を要する特別会計、外郭団体を持たないこと」です。

 

加えて、いまコロナ関連で

国が自治体に多額の臨時交付金を交付しており

(本市もこれを活用して水道料金基本料金の無償化等をしています)

他市が商品券事業等、シンプルかつ予算執行率が高い事業実施を行っているところ

本市は「寝屋川市独自」に拘るあまり、独特なるも執行率が低い事業が多く

結果、多額の予算が不執行で余ったという事情もあります。

 

しかしそれらは、いま一過性の話。

足下の決算で最も注視すべきは

・職員人件費をはじめとする「今後の財政硬直化」要素が一気に増えたこと

・この4年間でハコモノ投資が劇的に増えたこと(一部、予算否決)

・他方、財政改革の要素はこの4年で「ひとつも」なかったこと

ここで手を打たなければ

依存財源比率が高い(財政力指数が低い)本市として

今後20年後、30年後に及ぼす財政的影響は計り知れません。