【国民健康保険 運営のはなし】


厚生労働省は

現状、市町村が運営する国民健康保険の財政運営を

都道府県に広げる検討をしています(2018年度~)


市町村の人口構成、財政力の違いから

保険料に「大きな差(最大5倍)」があり、これを解消するためです。


新たな負担を抱える都道府県からの反発は必至。

財源確保の議論は欠かせません。


が、これはぜひやっていただきたい。

というのが私の持論です。


地方分権、地域主権が声高に叫ばれる時代にあっても

「基礎自治体だけでは抗えない変化に対して、舵を取っていくこと」が

国、都道府県の役割であると考えるからです。


地方にできることは地方に。

但し、中央でこそできる、ということもあります。



【国債発行額のはなし】


新しい議論を開始するにあたり、「財源の確保」はつきものです。

2011年度は、国債発行総額が過去最高になる見通しです。


・毎年の予算の財源となる新規財源債。

・借換債(過去に発行の国債の借り換えに使う)

・財投債(特殊法人への貸付原資)


リーマンショック後の景気対策の財源として発行した国債が

一部満期を迎え、この金額が110兆円と大きい。


新規財源債の発行水準自体が相対的に大きくなっている為

これを前年並(2010年度)の44兆円、財投債を15兆円とすると

国債全体の発行総額は約170兆円と、過去最高になります。



日本の財政危機は

国債の安定消化(安定的な買い手がいること)に不安が生じることで

顕在化するのかもしれません。


足下の10年国債利回りは1.150%程度と

諸外国との比較で、非常に低利です。


国内銀行をはじめとする機関投資家が

安定的に日本国債を購入していることが、その要因です。


国と地方を合わせた総借入は900兆円です。

「1400兆円の国民金融資産」、と言われますが

その大半は、銀行や生命保険会社を通じて、国や地方に流れています。


住宅ローン他、個人の借入も400兆円ほどあります。


国民金融資産1400兆円-政府借入900兆円-個人借入400兆円=100兆円(!?)

…もう余裕はありません。

これがマイナスとなる場合は、諸外国から国債を買ってもらう必要が生じます。


そのときに、先述の利回りは

大きく跳ね上がるリスクがあるのです。


「受取利息が増える!」などと喜んではいられません。

・銀行や保険会社は、既存保有国債の価格低下により大損失を被り

・景気低迷下にも関わらず、住宅ローン他、借入金利も跳ね上がり

・そしてなにより、日本の国債を購入する諸外国の手前、財政の自律性を失います。



国が舵を取り、船内の整備は地方自治体が行う。

幸福な市民生活を実現するために

両者の責任を明確にして、これを全うしなければなりません。