宮崎駿監督が遺した引き際の金言 ~「文化人になりたくないんです。町工場の親父ですのでそれを」~ | What happened is all good

宮崎駿監督が遺した引き際の金言 ~「文化人になりたくないんです。町工場の親父ですのでそれを」~

オリンピックの東京招致が決まるかどうかより、この会見のほうがよっぽど気になった。




【ORICON STYLE】宮崎駿監督「やりたいことがある」 引退会見主な一問一答




なんとも印象に残ったのは、





「僕は…文化人になりたくないんです。町工場のオヤジですので、それを貫きたい。」




前のブログにも書いたけれど、僕はさほど熱心に宮崎駿監督作品を追いかけてきたわけではない。まともに見たのは、「ルパン三世~カリオストロの城」、「紅の豚」くらいでしかない。




この二作品だけを見たにしても、宮崎駿という監督のその卓越したドラマツルギーには魅了されたわけだし、ある種、引導はオーディエンスに託すというそのメッセージ性においても実に深みのある作品を世に送り出してくれたものだとも思う。




高い場所に立ち、斧を振り落とすごとく社会をぶったぎるというわけではなく、まさに我々市井にいる一般人と同じ視線から鋭く社会に切れ込むそのスタイルはまさに職人そのものだと僕は思う。






僕は何も映画を創ることが仕事ではないけれど、やはり「表現」に関わる仕事に携わるものの端くれとして、「創造」にはとてつもないエネルギーを要することを理解しているつもりである。





かくいう僕だって、40を過ぎただけで、それに費やすエナジーを供給するためには、莫大なインプットが必要になってきた。昔は自分という個そのものを希求し、研ぎ澄ましてゆけば、何かが生み出せるという自信があった。





今は、そういうわけにはいかない・・・。





何かを創りだすには、まな板の上にある程度のマテリアルをもっておかなければ、そこから何かを生み出すということがどんどんどんどん難しくなっている・・・。





宮崎駿監督の7時間というリアリティのある数字・・・。僕は既に10時間程度だもん・・・。




ここでいよいよアニメ長編映画監督としての幕は下ろされた。




けれど、残された時間の中で、是非、その”やりたいこと”をまっとうしていただきたいと、そう思う。




そして、そこから何が飛び出てくるのか?




それを楽しみとしていたい・・・。