高級のレストランのオーナーシェフが厳選された素材で創る料理より、愛する妻の手料理が好きな理由。 | What happened is all good

高級のレストランのオーナーシェフが厳選された素材で創る料理より、愛する妻の手料理が好きな理由。

 そもそも高級レストランというのは、厳選された高級な素材を用いて料理を創るのだから、ある意味、美味くて当たり前だと思う...。けれど、うちの妻は別に紀伊国屋や成城石井で買い物をしてくるわけではなく、近所の商店街やスーパーで買い物を済ませるわけだけれど、僕はやっぱり彼女の手料理が一番、美味いと思っている。

 僕の味付けの好みなり、僕の舌の持つ微妙なその味覚を熟知しているわけだから、当然、僕が美味いと思える料理しか食卓には並ばない...。

 最近、二人で外食することが少ないその理由は、そのあたりにあるのかもしれない...。

 仕事をする上においても、あれがなきゃ駄目、これがなきゃ駄目、あれじゃなきゃ駄目、これじゃなきゃ駄目っていう人間を見ていると、おい、それって本当に仕事が出来るってことなのかよ?って思うことが時にある...。

 妻は食にかけてプロではない...。素材を選ぶ余裕もない。けれど、ちゃんと僕好みの料理を創ることにかけては天才だと思う。

 実は、顧客との関係というのも、ここまで行くと決して縁など切れないと僕は思う。

 つまり、状況や環境を選ぶことなく、仮に予算が少ないにしても最終的にはちゃんと、好みのテイストに仕上げてくれる...。おまけに、敷居も高くなくて待つ必要もないのであれば、高くて制約ばかり多い店よりはそっちを選ぶに決まっている。

 で、そういう風に選ばれるために何をしなければならないか?というと顧客の好みを知る機会をたくさん持たねばならないし、こっちはこっちで中華が来ようがイタリアンが来ようがフレンチが来ようが、何が来ても平然としているために、情報や材料を整えておかなければならない...。

 つまり、営業はとにかく顧客との時間を増やし、スタッフ部門は何が来ても平気なように腕を磨く...。

 それがとても大切なんだと思う。

 あなたが、顧客にとってオンリーワンの料理人なら、必ず顧客はそこに戻ってくる。

 でも、one of themでしかなければ、顧客は他の店にも顔を出すし、心は遷ろう...。

 そんなことを考えながら、かつおの竜田揚げと、ひじきのお浸しと、数々の根菜の煮付けが並ぶ食卓を眺める、木曜の夜だった...。