僕は日頃のヘアカットは,大塚駅前の1100円のお店に行っています.ところが何と中目黒の高級理髪店での調髪のチャンスが巡ってきましたので,勇んで行ってきました.話の発端は僕が社外取締役を務めているジャパンメディカルカンパニーがCLAUDYという会社のクラウドファンディングに協力したことです.この会社はガーナのデザイナーによるファッション,生活用品の販売を行っており,その売り上げの10%がガーナの子どもたちへのワクチン代となります.一方,中目黒などで理髪店を展開する「Mr.Brothers」はガーナに理容学校を作り,現地に雇用を生み出そうとしています.そこでCLAUDYの代表である銅冶さんとMr.Brothers代表の小松さんがコラボして,クラウドファンディングのお礼としてヘアカットを提供することになったのです.
お店は僕が以前に産業医を務めていたコンサルタント会社が入っていた中目黒GTタワーのすぐ裏の商店街にあります.いつもの大塚のシャビーな理髪店とはえらい違いで,外観もオシャレ,客層もはるかに若そうです.従業員は全員タトゥーが入っており,これは僕も頭に剃りを入れないと収まらないのではないかと,いささか心配になりましたが,もちろんそんな事はなく,希望通りに対応してもらえました.仕事はさすがに丁寧かつ鮮やかで,これまで経験したことがないような髪型に仕上がりました.最後にポマードで軽く整髪してもらうと,自分でも若返った気分になりました.じつは今回のヘアカットはすべて動画で撮影されており,調髪後の対談と合わせて,お店のユーチューブにアップされるのです.
店内のソファーに僕と小松さんが着席し,銅冶さんが司会で対談が始まりました.僕が最初に,医師であるのになぜジャパンメディカルカンパニーの社外取締役を務めているのか,赤ちゃんの頭のゆがみを矯正するヘルメット治療の意義と実際について話をし,小松さんが現在の事業展開と,なぜガーナで理容学校を作ろうとしているのか,という話をしました.その後に,まったく関連がないように思われる二つの事業がどのように結びついたのか,今後コラボレーションが発展して行く可能性があるのかなど,自由に話をして対談は終わりとなりました.写真は中央が僕,右がMr.Brothersの小松さん,左がCLAUDYの銅冶さん,銅冶さんはガーナデザインの上下を着用しています.
僕はガーナに行ったことはありませんが,じつはガーナはかの野口英世終焉の地で,日本の医療と大いに関係があります.しかしその後に日本とガーナとの関係が非常に密接であったわけではなく,戦後の日本の医療支援も,それ以外のアフリカ諸国へと向かうことが多かったようです.そもそも日本の開発途上国への支援は,これまで物が中心で,その後のメンテナンスやソフトへの支援がないため,物が壊れたら,巨大廃棄物を残して終わりだと批判されてきました.しかしCLAUDYによるワクチンの提供や,Mr.Brothersによる理容学校建設には,それとは異なる軽さを伴ったポテンシャルを感じます.当社も今後,関係を保って行ければと感じました.ヘアカット後の写真をFacebook にアップしたところ,チョイ悪感がイイとコメントされ,意を強くした次第です.