わが畏友・松永正訓先生から24冊目の著書「60歳からの人生を変える22の発想:医師をやりながらベストセラーを出した僕の方法」小学館新書を頂戴しました。松永先生は元々僕と同じ小児外科医で大学病院に勤務していましたが、健康上の問題もあり40歳過ぎて小児科のクリニックを開業しました。それから本を書き始めたのですが、これまでに出版された自著の数24冊(!)は驚きです。とてもまねをできるわけではありませんが、22の発想というのであれば、その内ひとつやふたつはまねができるかもしれません。この本は医師向けの情報サイト「m3.com」の連載に手を加えたそうですが、高齢化社会を迎えて、医師はもちろんそれ以外の人たちにも、役立つヒントがありそうです。
この本は4つの章から成っています。第1章:60歳を過ぎたら仕事を楽しむという発想を持つ、第2章:仕事の中におもしろさを見つけるコツ、第3章:60歳からの余暇の使い方、第4章:さらに人生を豊かにする方法、です。これを読んで行くと、松永先生は時間をとても大事にしているし、その使い方を自分でコントロールできる人だという事がよく分かります。僕とは大違いです。僕はこれまでの人生も、自分で主体的に組み立ててきたというよりも、周りの状況に流されながら対応してきたら80歳になっていた、という感じなので、心底尊敬してしまいます。松永先生は現在は開業していて、時間の管理がしやすいのでしょうが、診療が終わってから就眠までのスケジュールを書斎に張り出して、それをきちんと守っているというのですから、すばらしいです。もちろんそれくらいでないと、年1冊のペースで本を執筆する事はできないと思います。そんな人と同じようにはできないよ、と思われる方が多いと思いますが、そうでない人にも役立つヒントが載っていますので大丈夫です。
たとえば第2章10:還暦を過ぎたら利他的に生きてみる、第2章12:小さなプライドの芽を大切にする、第3章16:頭が固くならないように週末は人に会って楽しもう、といった発想はどなたにも役に立つのではないでしょうか。利他的に生きるなんて、自分には無理と思われる方が多そうですが、ボランティアやクラウドファンディングであれば、誰でも参加できますし、そこで得られるものもあるはずです。またどんな仕事でも、それにプライドを持つ事は、人生にとってとても重要です。そうでなければ仕事が生活費を得るための苦行になってしまうでしょう。松永先生もこの本で述べているように、医師のつきあう範囲は意外と狭いし、患者さんとの関係がとても重要だとは言っても対等な関係にはならないし、それを医師側から求めても無理なのです。そこで僕は医療以外のつきあいをとても大事にしていますが、松永先生も編集者や同業であるノンフィクション作家との付き合いを大いに楽しみ、大事にしているようです。じつはこの本の第3章20:自分から恩師を作って人生を豊かにする、というところに僕が登場します。僕は松永先生に何も教えていないので、恩師とは面はゆいのですが、他の医師とは違った生き方をし、違った趣味を持っていることを評価してくれたようです。臨床から引退して時間が経つと、医局の若い先生方を含め、僕が医師であったことを覚えている人はいません。でもイタリア研究会を永年運営してきたことを評価してくれる人はいますので、そういう生き方も意味があったのかもしれません。
松永先生、これからも健康に気をつけて著作を続けてください。僕から先生のスケジュールを見ると座っている時間が長すぎるかな。もう少し身体を動かすことも心がけてください。