この「捕手論」はどちらかといえば日陰の存在にスポットをあてた本です。
伝説の「江夏の21球」を、捕手側からみた「水沼四郎の21球」の章がまた、面白い。水沼は打席に立つ近鉄の石渡に話しかけたそうです。「いつ(スクイズを)やってくるんだ」と。大学の後輩である石渡は、いつもなら何か話し返してくるのにその時は何の反応もなかった。そこで、水沼はスクイズを確信したそうです。
球審との駆け引きなど野球の裏側をかいま見せてくれる面白い本です。
印象に残ったのは、元広島達川選手の話です。彼はいつも投手をかばい、コントロールミスでも自分のサインミスだと言い続けたそうです。本の一番最後に、同僚の大野選手が達川選手について口にした言葉で、彼がどれだけ投手陣に信頼されていたかが分かりました。読んでみるとまた野球が違った視点から見られるようになる本です。
捕手論 (光文社新書)